ケンカも悪いもんじゃない

“ケンカ”。それはどんな人間関係においても起こりうるものです。
ケンカをすることは、落ち込む、自己嫌悪する、八つ当たりしてしまうなど、嫌な気持になる原因になってしまいますよね。
そういった理由から、ケンカを極力しないように気をつかったり我慢している、という方もいらっしゃるかもしれません。
“ケンカするほど仲がいい”なんて言葉はありますが、
「しないにこした事は無い」というのが、大半の方の意見ではないでしょうか?
私は、出産して半年を過ぎたころ、夫と激しいケンカをして家を出て行ったことがありました。
原因は覚えていないですが、始まったケンカが収集つかなくなり、
「買い物に行ってくる」と、投げ出すような形で私が出ていきました。
初めは、本当にスーパーに行って帰ってくるつもりだったのですが、湧き上がるイライラやモヤモヤを振り切るようにひたすら歩き続け、
気が付いた時には自宅よりだいぶ離れたところまで行っていました。
立ち止まって現在地を確認した事で頭も冷え、近くのカフェで暖かいココアを一杯飲み、
自分がどうしたかったのか、やっと落ち着いて考えることができました。
その頃の私は、慣れない育児で何と言っても余裕がありませんでした。
オンとオフの切り替えなんてないようなものですし、加えて寝不足。
夫は家事や育児を手伝ってくれましたが、私が、一人になる時間を欲している事には気が付いていなかったようです。
(私も、主張をしていませんでした)
夫が休日にソファでテレビを見ている姿を見て、
「休みがちゃんとあるっていいよね~」なんて嫌味を言ってしまう事も増え、同時にやってくる自己嫌悪にも苦しみました。
私がしょっちゅう文句を言っていたので、夫もあまり私と話さなくなり、
そんな夫に「話を聞いてくれない!」と私が更に怒り、とても悪循環でした。
私は余裕のない状態なので、湧き上がってくるものを夫にぶつけ、それを繰り返してしまう自分自身にもパニックになっていました。
夫へは日頃のイライラから、何とかして言い負かし、自分が正しいと証明したい、なんてことも考えていたと思います。
しかし、私が本当にしたかった事がこんな事だったのか、というと・・・そうではありません。
心理学では、【怒りは助けを求める心の声】ととらえることがあります。
この時の私も、決して夫に「勝ちたい」わけではありませんでした。
「今の私をわかってほしい、助けてほしい」という気持ちを伝えたかったんです。
でも、これを素直に伝えようとしても、
「言っても分かってもらえないかもしれない」
「自分の気持ちを自分でコントロールできないなんて情けない」
といった不安や自分を責める気持ちが邪魔をしていました。
でも、自分から伝えようとせずに「汲み取ってほしい」というのは、やはり難しい事なんですよね。
イライラしている私と、そんな私を避けていた夫の間には、とても距離があったでしょうからなおさらです。
私は家出をきっかけに、「ちゃんと話そう」と思いました。
それは、家族が大切で、みんなで楽しく過ごしたいからです。
それには自分の本当に伝えたいこと、希望を伝える事は必要になります。
自分の正直な気持ちを伝えるのは勇気がいりますから、初めはスムーズにいかないかもしれません。
それでも、”何を伝えたくて相手と話しているのか”を意識できていれば、ケンカも決して悪い事ではありません。
ただお互いを傷つけあうものではなく、ちゃんとしたコミュニケーションになるからです。
一度ケンカが始まってしまうと、自分の本心を冷静に見つめるというのは難しい作業ではありますが、それができるようになることで、
自分にも、相手にも愛がちゃんと存在していることが見えてきます。
私のケンカで言えば、私が助けてほしいと思っていたのは、”イライラせず、家族で仲良く過ごしたいから”でしたし、
私が家出から帰ると、夫は子供の世話しながら待っていてくれました。
帰ってゴチャゴチャだったら、私が、「自分が家出したからいけないんだ」と、自分自身を責めることを、わかっていてくれたからです。
私たちは、関係を壊したくてケンカをしているわけではありません。
それぞれの気持ちを伝えあい、それを受け入れたり受け入れてもらうためです。
それを体験していく事で、お互いの関係はより深く強いものになっていきます。
あなたが本当に伝えたかったものはなんなのか。
ケンカの際は、ぜひ一度考えてみてくださいね。
山本美登里のプロフィールへ>>>

この記事を書いたカウンセラー

About Author

夫・6歳の息子との日常生活と心理学を繋げた、リアリティのあるカウンセリングを元に、自分のボーダー、概念を緩める提案を行う。 「心理カウンセリング」と身構えることのない、ラフでオープンな人柄とやりとりが、素直になれない・自分を出す事に抵抗がある・開放感を求めているクライアントに好評。