●春の熊のように

季節が移り変わりだんだん寒くなってくると、元来出不精な僕は、
これから訪れる冬に備えて栄養を蓄える熊のように、ひっそりとしてしまう
ことがよくあります。
そうなった時の僕は大抵、同時に内面で何かしらの変化や気づきを体験している
のですが、反面、外的な刺激から遠ざかってしまうようなところがあったりする
のです。
そういう時期の自分には全く気づけないのですが、ふと我に返ると、世の中や
周りのみんなの時間が自然に流れていることを知り、愕然とします。
それはまるで冬眠から目覚めた熊のような気分です。
「へぇ〜」と言うだけで済ませればいいのかもしれないけれど、自分自身が
今年の流行語すら知らないでいるような人間だということに愕然としていたりします。
これではいけないと思い、生活の中に刺激や変化を取り入れるべく、とりあえず
近頃は自分の住んでいる町の周辺を散策することから始めました。
あてもなく、なにとなく町並みをさまようのって、せわしなく生きている自分に
とっては最高の贅沢の一つかもしれないなぁ、と思います。
この季節特有の乾いた風は、全ての生き物に対して平等に降り注がれるけれど、
その風をどのように受け止めるかはそれぞれですよね。
僕は今年の風をどのように受け止め、どのように感じているだろう?
そんなことを考えながら最近はあまり行っていないような場所を訪れると、
野球場ぐらいのスペースが空き地になっている所に出くわしました。
すごくびっくりしたのですが、その後すぐにわく疑問。
「あれ?ここって何があったっけ??」
長年住み慣れた町なのに、しかもものすごいスペースが空き地になってるのに、
何があったのか思い出せない・・・。
慣れというものは恐ろしいですね。自分自身のアンテナが錆びついていることに
気づかされます。
でも、気づけたことは良い刺激になりました。
家に戻った折に、その場所のことを家族に聞いてみました。
すると、
「あそこは建築資材置き場だったろ。」
「何いってんのよ、団地だったじゃない。」
「違うよ、普通の住宅地だったよ。」
・・・。
僕は個性的な家族を持てて幸せです。
このことがきっかけになって、「今与えられている現実に変化を加えてみる」と
いうことに最近は凝っています。
例えば、駅からの帰り道をいつもと違ったルートで帰ってみる。
風景が変わるだけでも新鮮な気持ちになれます。
面白そうなお店も見つけました。
今から思うと、なんで僕は駅から家までの最短ルートにこだわっていたのだろう?
ちょっと違う道を通ったところで、せいぜい5分ぐらいしか変わらないのに。
ああ、そうか。行動が変わると感情も変わるんだ。
おお!ちょっとすごい発見です!
「内面の変化を体験」って、要は単調な生活を繰り返しているってことですね。
変化は行動した時のほうがリアルだということもわかりました。
熊は今、冬に備えるために栄養を蓄えるのではなく、暖かな春を楽しむために
今できることとして栄養を摂っているのかもしれませんね。
これからは、冬の熊がする冬眠を一番大切にするのではなく、春の熊のように
動くことを大切にするような自分でありたいと思う今日この頃です。
高橋大

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己イメージの変革・男女関係・人生の目的 を探す、などの分野を得意とする。 心の力学をわかりやすく説明する理性的な側面と、多くの臨床経験を通して培った直感的な把握能力をもってするカウンセリングに定評がある。 長期的な支持を受けることも多く、長い目で見守るスタンスを重視している。