●無力感を抜けて思うこと

カウンセラーになる為の勉強をしていた時に、その当時の先生から
「医者、看護婦、カウンセラー等の職業の人は、人の役にたちたい、
 何とか助けになりたいという気持ちでいっぱいな人が多い。
 だから、100人のクライアントのうち
 99人助けたとしても、残りの1人を助けられなかった時に、
 すごい無力感を感じてしまいつぶれてしまうカウンセラーも多い。
 でも、その無力にとらわれてしまったら次の100人を見捨ててしまうことになる、
 だからこの仕事は、無力感との戦いになるよ。」
と教えてもらいました。
僕は落ち込みやすいほうなので、カウンセラーになってやっていけるだろうかと考えたことがあります。
(人からは原さんも落ち込むことあるんですか?と言われますが実はそうなんですね。)
実際、カウンセラーになってからは、無力感との戦いの連続でした。
特にカウンセラーになったばかりで、カウンセリング経験が少なかった頃は、
なんとかクライアントさんのお役に立ちたい気持ちにカウンセリング技術、表現力、結果が付いていかず、
悩み続ける日々でした。
何百回と、「もうカウンセラーをやめよう」と思った日がありました。
本当に毎日つぶれてしまいそうな日々でした。
その無力感から僕を救ってくれたのが、その当時のクライアントさん達でした。
無力感に襲われるたびに、頭の中にクライアントさんのことが頭に浮かびます。
僕を信じて命をはっているクライアントさんがいる、僕を頼ってくれているクライアントさんがいる、
それぞれの思いを抱えながら僕にカウンセリングを依頼してくれる人がいる。
その人達がいるのに僕が今リタイアするわけにはいかないと頭によぎると、
自分の無力感よりクライアントさんを大切にしたいという気持ちになりました。
無力感にとらわれずに、なんとか助けになれる方法を考えようと思いました。
なんとかしてあげたいという気持ちで胸がいっぱいになりました。
その気持ちが僕を踏ん張らせてくれました。
今、思い返してみてもクライアントさんに助けられてここまでこれたんだなと思います。
そのことを思うたびに感謝の気持ちでいっぱいになります。
その気持ちは、当時のクライアントさん達だけでなく、
今現在のクライアントさん達にも思っています。
僕を信じてくれる人の為に、もっと頑張ろう、もっと力をつけたいと思います。
だから、僕はプロカウンセラーになった今でも、
カウンセリングの勉強はずっと続けています。
より早くより楽になってもらえるよう、結果がでるよう、満足してもらえるような力をつけようと
思って一生懸命です。
その気持ちは誰にも負けない自信があります。
僕はカウンセリングに一番大切なのはハートだと思っています。
どれだけ相手の気持ちになって考えれるか、どれだけわかろうとしてあげれるのか、
どれだけ親身になって考えられるのか、どれだけ相手のことを考えてあげれるのか、
そのハートを大切にしたいと思っています。
時にはその思いから、厳しい意見を言ってしまうこともあります。
でも、その気持ちは伝わるのでしょうね。
お話したクライアントさんから最終的にはその言葉に感謝していただけます。
ありがたいことです。
そのハートから溢れる思いを上手く伝えることができなかったりして、
悔しい思いをすることも少なくありません、
相手にどう表現していけばいいのか僕の課題でもあります。
僕がこのことを友人に語ると、こんなに熱い思いがをもっているなんで見た目の穏やかな雰囲気からは
想像できないと言ってくれるんですが、僕はいつもそう思ってクライアントさんと接しているんですね。
こんな思いを持たせていただけるのも、クライアントさんがいてくれるからこそだと思います。
僕をここまで育ててくれたのも、
そして今も、育ててくれているのはクライアントさん達のおかげだなとしみじみ思います。
本当に感謝しております。
ありがとうございます。
無力感との戦いは、カウンセリングの経験が少なかった当時だけかというと
そうではありません。
無力感との戦いは今も続いています。
クライアントさんの多くは1日でも早く問題を解決したい、なるべく短期間で自分を変えたい、
よりよい結果が早く欲しいと思われています。
でも、どうしても解決のプロセスを考えると時間が必要な場合があります。
時間がいるのは、クライアントさんも解ってはいるのですが、心情的には早くなんとかしたいと思います。
クライアントさんの気持ちに答えてあげたい、でも現実には時間がかかる、
そんな時にも自分の無力さを感じます。
でもそれでもなんとかしたいと思います。
無力感よりもクライアントさんのことを大切にしたいと思います。
クライアントさんが一人だと1年かかる問題解決のプロセスを半年のプロセスにしてあげたい、
半年かかるところを3ヶ月にしてあげたい、3ヶ月かかることを1ヶ月にしてあげたいと思います。
なるべく短縮してあげたいと思います。
その思いが実際にカウンセリングの結果として現るんですね。
一人では長くかかるプロセスを短縮することができます。
問題を解決して、クライアントさんの喜んでいる顔を見れた時は本当に嬉しいですね。
この無力感との戦いが僕を成長させてくれているようです。
そう思うとこの無力感にも感謝しなければいけないのかもしれませんね。
ここ5ヶ月間程、僕は大きな無力感と戦っていました。
それはここ数年の中で一番大きかったと思います。
家族のこと、彼女のこと、大切な友達のこと、身近にいる大切な人達のことで悩んでいました。
大切な人達は、それぞれ悩みを持っていました。
僕は身近な人の力になれているのか?
カウンセラーという職業なのに身近な人の助けになれていないのではないだろうか?
そう思うと胸が張り裂けそうになりました。
助けになれていないと思うのは僕の傲慢さかもしれませんが、大切な人だけにそう思ってしまいます。
無力感にはまってしまうと同時に劣等感、無価値感、罪悪感などの感じたくないような感情が
セット商品のようについてきます。
この感情を感じるのは、ほんまにしんどいですね。
この感情からどうやって抜け出したらいいんだろう?
この感情とどうお付き合いしていったらいいんだろう?
そう思いながらすごしていました。
物は考えようで、僕自身がこの嫌な感情の抜け方や、つきあいかたを覚えることで、
クライアントさんに提供できるようになると考えると真剣にこのことを考えれました。
カウンセラーとしての腕もあがりますし、もちネタも増えるなと思ったんですね。
こんな嫌な感情を感じてもちネタが増えると思えるのはいい職業かもしれませんね。
(笑)
そして長かったここ5ヶ月の無力感もようやく終止符が打たれ抜けることができました。
家族や、彼女、大切な友達の為に役にたてるような自分になりたいという思いが
僕を無力感の淵から救ってくれました。
なんと表現していいか解りませんが、その思いに生かされた感じがしました。
大切な人がいるからこそ抜けられたと思います。
一人ではこの無力感から抜けられないかもしれません。
本当にありがたいと思います。
いろんなことがある度にその時はつらいのですが、
問題を乗り越えるたびに、こえられない問題はないなと実感します。
それに僕は一人じゃないなぁ、色んな人に生かされているなと思います。
色んな人の関わりの中で今の自分がいるんだなと思います。
そう思うとほんま感謝の気持ちでいっぱいになります。
僕の大切な人達やクライアントさん達にとって僕もその色んな人の一人になれたらなと思います。
原裕輝

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。