子どもに甘えられると心がザワツクのはなぜ?~自分への慈愛のお話し~

未消化の感情が愛を阻む

「子どもが甘えてくると心がザワツク。
心がモヤモヤして上手く受け止めてあげられない。
自分は冷たい母親だな、と思う」

そんなお話しを伺うことがあります。

子どもを可愛いとは思うけれど、実際にワガママを言われたりベタベタとくっついてこられると心がザワザワして離れたくなる。
そして、なぜ自分は我が子を受け容れてあげられないんだろう。
そんな自分は、冷酷で鬼のような母親じゃないか。

そうやってなにかを上手く出来ないときや本当は愛したいのに愛とは違う違和感を感じたとき、私たちはひどく自分を責めてしまいます。
まるで自分という人間は愛という部分が欠落しているように感じるのですが、もちろんそんなことはありません。

「我が子をしっかりとまるごと受け止めてあげたい」
「いつも笑顔で明るく愛情たっぷりのお母さんになりたい」

この思いは愛です。
愛はあるのだけどストレートに差し出せないのは、未消化の感情が愛を阻んでいるからなのです。

 

愛したいのに愛せないとき

たとえば、Aさんというお母さんがいたとします。
Aさんには7歳の娘がいます。

7歳の子どもが親に甘えてくるのは当たり前で当然のことだと、Aさんも思っている。
だけど、実際に娘が甘えてくると心がザワザワとして落ち着かない。
違和感、不快感、嫌悪感のようなものまで感じる。

そう感じる自分を責めもするし、我が子にそんなことを感じてはいけない、と自分の感情を否定したり無かったことにしようとしたりもする。

でも、自分を責めることも不快な感情を感じることも止められないし、無くすことも出来ない。
娘もそんなAさんの葛藤を感じてか、荒れて暴れることもあればAさんに暴言を吐くことも。

そんなことが何回も繰り返されて、しかもその波はどんどん大きくなって太刀打ちできないように感じて苦しい。

7歳の娘と本気でケンカになってしまう自分は、母としても人としても最悪だと思う。

私たちが、本当は愛したいのに愛せないとき、痛みの感情がブロックになっているのです。

 

自分への思い遣り

Aさんのような状態のとき

娘を上手く愛せないし、そんな自分を責めている。
でも、母親なんだから我が子を愛さなければならないし、自分を責めても解決しないのだから自己攻撃もやめなければ。

そう思うかもしれません。

けれどそんなときは、娘さんを上手く愛せない自分がいることや、自分を責めることを止められない自分を無くそうとせずに、そう感じている自分へ慈愛の目を向け、どんな自分も受け容れてゆくことが、我が子をも優しく柔らかく包み込むことにつながってゆきます。

「あ、私は娘に甘えられると心がザワザワするのだな」と、そのザワザワをどうにかしようせず、そのザワザワと一緒に居てあげるイメージ。

私たちは自分が我慢していることや自分が持っていないと思っているものは、人に差し出すことが出来ません。

「なんで私が我慢しているのに、あなたは我慢できないの?」
「あげたくても私はそれを持っていないのだから、私に求めてこないで」

Aさんは自分が子どものころ、お母さんに甘えられる状態ではなかったのかもしれません。
お母さんに見てほしくても見てもらえない寂しさ。
愛情をもらえないことへの怒りをずっと抱えてきたのかもしれません。

そんな孤独感や無価値感、怒りがワッと出てきそうになると、そんな感情は感じたくないから蓋をしたくなるし逃げたくなることって私たちにはよくあります。
けれどそこで、その感情から目を背けてフタをしてしまうとその感情は消化されずに心の底に留まったままになってしまうのです。

すると娘さんに甘えられたとき、心の底に留まったままの未消化の痛みの感情がザワツクのです。

 

慈愛という自己受容

私たちは意識的にも無意識的にもいろんな観念で自分を縛っています。

・人に甘えてはいけない
・怒りの感情を持ってはいけない
・人に迷惑をかけてはいけない
・間違えてはいけない
・失敗してはいけない

過去のあらゆる体験から自分を厳しく律します。
ある時期、その考えは生き延びるために必要だったり成長の助けにもなるのですが、あまりにそれが高じると、生きづらさを生み出します。

生きづらくどうしようもなくなたっときは、自分の中の痛みの感情に気づき、その存在を認めて受け容れてゆくことで、未消化の感情が解放されます。
私たちのどんな感情も大切な自分の一部で、要らないものなどひとつもないのです。

ひとつづつ丁寧にどんな自分も受け容れるという小さな体験を積み重ねることで、自分自身への慈愛の心が芽生えます。
心の奥底に留まっていた未消化の感情が解放されると、これまでの生きづらさが嘘のように心が軽くなります。

痛みや苦しみでさえ包み込む、あなた自身から湧き出る慈愛という自己受容のエネルギー。
それは自分だけではなく、周りに人にも波及してゆきます。
穏やかな人といると心が安らぐように。
楽しい人といると楽しくなるように。
周りの人との関係が温かく優しいものに変容してゆくのです。

しんどいときこそ、どんな自分にも慈愛の目を向けてあげようと思ってくださいね。

あなたにたくさんの安らぎと幸せを願っています。

来週は、朝陽みきカウンセラーがお送りいたします。
どうぞ、お楽しみに♪

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恋愛や夫婦、浮気、離婚などのパートナーシップから対人関係、子育て、また、死や自己受容のテーマなど幅広いジャンルを得意とする。 女性的で包容力があり、安心して頼れる姉貴的な存在。クライアントからは「話しをすると元気になる」「いつも安心させてくれる」などの絶大なる支持を得ている。