どんなことでも「私が悪い」と思う〜自己攻撃型の罪悪感〜

自分を責めて苦しくなった時に知っておきたいこと

罪悪感は「私が悪い」と自分を責める感情です。罪悪感で自己攻撃している時の心理を、悪循環になる理由、普通を目指した結果感じるもの、「愛されたい」が生み出すルール、「私を責める」という思い込みなどから解説します。そして、何を手放し、何を感じ、何に意識を向けるといいのかを紹介します。

どんなことでも「私が悪い」「私のせい」と自分を責めていませんか?

例えば、「間違えた?」「余計だった?」「失礼だった?」と気になって仕方がない、誰かを「傷つける」「迷惑をかける」という怖れが強い、とか。でも、意外と人からは、よく「そんなに気を遣わないで」「遠慮しないで」と言われていたりしませんか?

また、「相手の期待に応えられない」と自分を責める方もいます。これは、相手から具体的に期待を伝えられた場合もありますが、自分が忖度して「そうに違いない」と思っている場合もあるようです。

●「私が悪い」の悪循環

「私が悪い」「私のせい」と感じる感情を罪悪感と言います。

罪悪感で自己攻撃をしている状態だと、「人から責められる」「攻撃される」と感じやすくなります。

それは、自分が自分を悪いと思っているから、同じように、「人も私を悪く思う」と思う、投影が起こりやすいのです。その状態では、相手には悪意がない言葉も、まるで自分が責められているような言葉に感じ取りやすいのです。

そして、「やっぱり私が悪いんだ」と、悪循環を繰り返すわけです。

●「普通になりたい」とがんばるけれど

罪悪感で自分を責めている状態では、「私が迷惑をかける」「私が悪いと怒られる」などと思います。

そのため、何かいいことをして、自分の悪い部分や劣っている部分の埋め合わせをしようとします。これを、補償行為と言います。補償行為は、行動そのものは素晴らしい行動です。

しかし、気持ちの面では、どんなにがんばっても「ようやく人並み」と思うだけで、充実感や達成感はありません。がんばっているのに、そのがんばりを認められないので、やがて虚しくなったり、燃え尽きたりしてしまいます。

●多すぎるルールを手放す

では、なぜこんな罪悪感を持つかというと、ひとつには「愛されたい」がルーツの場合があります。子供は「いい子でいたら」愛されるし、認めてもらえると学習します。そして、いい子でいるためのルールをたくさん作ります。

例えば、「お手伝いをしなきゃ」「弟の面倒見なきゃ」「わがままを言ってはいけない」「泣いてはいけない」など。この場合のルールとは、「〜しなきゃ」「〜してはいけない」など、自分自身に課した決まり事です。

これらのルールは悪いものばかりではありません。現在でも役立つものもあるでしょう。しかし、ルールの数があまりにも多かったり、今では要らないルールまで抱えていると、どうしても守れないルールが増えます。そして、ルールを守れない自分を「私が悪い」と責めます。

まずは、自分がどんなルールを持っているのかを書き出してみましょう。そして、今は必要ないルールや「〜しなきゃ」「〜してはいけない」といった不要な思い込みが自分にあると気づいてみましょう。気がついたら、「手放す」と決めましょう。

●「あなたは私を責める人」を手放す

もうひとつ、自分を責め続ける理由に、「私が私を責めるから、どうかこれ以上私を責めないでください」という心理があります。人から否定されるのが辛すぎて、その前に自分で自分を否定しておき、心を守ろうとします。しかし、自分を責めることには手加減も終わりもないので、かえって辛いでしょう。

そしてこの時、実は周りの人に対して「あなたは私を責める人」と思っています。もし罪悪感から自分を解放したいなら、「みんなが敵じゃない」という視点を持ってみましょう。すべての人が味方ではないかもしれないけれど、すべての人が敵でもないようです。「あなたは私を責める人」という思い込みも、手放してみるといいでしょう。

●誰かに愛を贈る

罪悪感にとらわれている時には「責められる」証拠を探します。「責められる」証拠を探すと、「責められるかも」という材料ばかり見つけ出すでしょう。

大きく視点を変えるには、誰かに「責められる」証拠ではなく、誰かや自分に「愛がある」証拠を探してみることです。ひとつには、心の奥にある「愛された記憶」を思い出すことがヒントになります。

あなたを愛してくれた人、大切にしてくれた人、優しくしてくれた人が「いる」としたら。それは誰でしょうか?

赤ちゃんは一切の愛情なしには育ちません。たとえ親に愛されなかったとしても、祖父母や親戚や先生など、誰かしらあなたを大事にした人が必ず「いる」はずです。自分に向けられた優しさ・善意・愛情などを感じることを、自分に許可してみましょう。

そして、かつて誰かから愛されたように、誰かを愛することにチャレンジしてみましょう。誰かの素晴らしさを認めたり、誰かに感謝したりしてみましょう。今度はあなたが誰かに愛をプレゼントする番です。

自分の悪いところに意識を向けるのではなく、誰かに意識を向けてみましょう。誰かに興味を持って、誰かを愛してみましょう。すると不思議なもので、自分を責める世界からは簡単に抜け出せるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。