人目が気になる心理~アザー・コンプレックス~

人目が気になる「アザーコンプレックス」

人目が気になるのは一般的なことですが、過度に人目が気になって心が苦しくなったり、生活や行動に制限ができたりする状態は“アザー・コンプレックス(アザコン)”と言われています。心理的には、他人からどう見られると感じるかには、自分が自分をどう見ているのかが影響しています。他人軸や世間軸に振り回されるのではなく、自分軸を取り戻しましょう。自分の感情が原因ならば、自己肯定などで変えていくことが可能です。

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人からどう思われるのかが気になる、相手が自分のことをどう思っているのかが気になる、自分の言動で嫌われたらどうしよう・怒られたらどうしようと人からの評価が気になるという気持ちは、ほとんどの人が少なからず持っているものです。

●人目が気になる

もともと日本には、世間体や外聞といった人目を気にする「恥の文化」があります。他人に恥ずかしくないようにと、振る舞いを正してきた歴史があります。

それは、かつては相互監視や相互扶助のシステムとして機能していました。恥の意識は、礼儀や思いやりを育むしくみであり、暗黙の了解や常識を外れないための抑止効果が高かったのです。

しかし、現代の苦悩で、人の目が過剰に気になる、人間関係で気をつかいすぎて疲れる、人からの評価に振り回される、人目が気になり自己表現や行動が過度に制限される、よく見られようと本来の自分ではない人を演じるといったことがあるならば、それはアザー・コンプレックス(アザコン)と言われる状態かもしれません。

●心と感じることの関係

心理的には、他人からどう見られると感じるかは、自分が自分をどう見ているのかが影響しています。

例えば、なかなか決められないことに“自己嫌悪”があったとします。決められない優柔不断な自分を嫌っていると、「自分が自分を嫌うように、人も自分を嫌うだろう」と心は感じます。

「きっと嫌われるだろう」と思いながら人と関わると、少し相手の表情が曇ったりうつむいたりするだけでも、「ほらやっぱり嫌われた!」と結び付けやすいのです。

同じように、「自分は悪い」「自分はダメ」といった“自己否定”があると、人の言葉が自分を否定している意味合いに聞こえやすくなります。人によっては、軽く扱われている、バカにされていると感じることもあります。

「みんなと違ってはいけない」と違いを隠そうとしたり、普通や流行や人に合わせようとして、自分の気持ちを後回しにしたりするでしょう。

また、「申し訳ない」「自分のせいではないか」といった“罪悪感”が心にあると、怒られる、責められる、攻撃される、迷惑がられると感じやすいでしょう。

相手からの善意や好意を素直に受け取りにくくなりますし、遠慮や我慢をしなければいけないと、自分の気持ちを抑え込むことも多いでしょう。

また、「何かしないと受け容れられない」「役に立たないと愛されない」などと感じる“無価値感”が心にあると、何もしない自分は「存在する価値がない」と思われるとこわくなったり、がんばり続けなければ「愛されない」と焦って不安になったりするでしょう。

本当は嫌なことを「無理してでも引き受けなければいけない」と断ることができなかったり、必要以上にサービスをして疲れてしまったりもするでしょう。

●「人目が気になる」を減らすには

私たちは心にある感情が原因になって、「きっと人からこう思われるだろう」と理解しています。よく思われないというオソレは、自分自身をよいものとして見ていないことの裏返しなのです。

実際の監視役は他人の目ではなく、自分が自分を監視カメラで見ているようなものと理解していただくといいでしょう。

そして、自分が自分をどう見ているかが影響するならば、自分を肯定する、自分を評価するといったことに取り組んでいくと、人目が気になる度合いが減らしていけるでしょう。

他人軸や世間軸などの人の目を基準にしていると、人の動向に振り回されますし、人を変えるのは難しいものです。しかし、「私がどう思っているのか」「私はどう感じているのか」と自分が主体の自分軸を基準にすると、自分次第で変えられるものになります。

●自己肯定の取り組み

自己肯定が苦手な方は、人から「素晴らしい」と言われるような部分がなければ肯定できないと誤解している方が多いです。

むしろ、肯定したい部分は、その人が当たり前にしていることの中にあります。その人にとって「いつものこと」だから、あえて「できていること」と認識せず、肯定されていないことがほとんどです。

例えば、社内恋愛で同じ部署の人にヒドイ失恋をしたのに、いつも通り出勤している場合。一般論では、会社に行くのは普通かもしれません。でも、この状況で仕事に行くのは、毎日どれほどの気持ちを乗り越えてのことでしょう。「とてもがんばっている」と肯定していいのではないでしょうか。

自分は何もできていないと自分を責めている場合。他人から成果を認められるようなことはできていないのかもしれません。でも、ひどく打ちのめされた心の状態で、それでも何かしよう、なんとかしたいと思う気持ちが失われていないのならば、「自分には強さがある」と肯定していただきたいのです。

いろいろな方法で自己肯定に取り組むと、やがて人の目の中に優しさを感じられるでしょう。そして、自分も人に対して優しい目ができるようになるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大塚 統子

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。