完璧主義が作る心の疲弊〜完璧にできなくてもいい〜

完璧にできなくてもいい

何かの出来事があったわけではないのに、心が弱り、気力、活力、やる気、エネルギーがでてこなくなってしまった。思い当たるきっかけもないのになぜ?カウンセリングをしていくと完璧主義の心理が心を弱らせてしまっていたことがわかることがあります。何故、完璧主義が心を弱らせてしまうことがあるのかを解説します。

■心からエネルギーが出なくなったきっかけがみあたらない?

カウンセリングで「心から気力が出なくって・・・」というお話をお聞きすることがあります。

「仕事をやらなきゃと思うんですけど、気力がでてこなくて・・・。職場の人達から仕事をしているように見えるように、とりあえずパソコン触るふりをして何とか一日をやり過ごす日が増えてきました」

「ご飯も作る気も起きなくってレトルトを温めるだけで精一杯で・・・」
などなど、

心が疲れていて、気力、活力、やる気、エネルギーがでてこないというお話です。

きっかけは?

きっかけをお聞きするとパワハラがあってからというケースもあれば、失恋をきっかけにというケースもあるなど、何かしらきっかけがあり、それをきっかけに心が弱り、心からエネルギーが湧いてこなくなったというお話をお聞きすることがあります。

しかし、きっかけをお聞きしても、ご本人的には思い当たるものがないというお話の場合もあります。

きっかけらしい、きっかけは思いつかないとのこと。
気づいたら心が疲れていて、心からエネルギーが湧いてこなくなっていたというお話。

そんなケースのお話を、よくよくお聞きしてさせていただいていると、何かのきっかけが心にダメージを負わせ、心を弱らせていたのではなく、完璧主義の心理が徐々に心を疲弊させてしまっていて、心からエネルギーが湧いてこなくなるくらいまでに心を弱らせてしまっていたということがわかることがあります。

■完璧主義の心理が作る心の疲弊

完璧主義とは、文字通り完璧を求めてしまう心理です。

完璧を求めるので、良い仕事をする、良い作品をつくる、精度の高い商品を作るなど、良い効果を生むことがあります。

一方、完璧主義が強いことで、完璧にできたことでないと認められない(肯定できない)傾向が強くなってしまいがちなこともおこります。

例え話を使って、完璧主義が強いと完璧にできたことでないと認められない傾向が強くなることを説明しますね。

例えば・・・
車のセールスマンがいたとします。

そのセールスマンは車を売ることは得意なのですが、売った後の事務処理は苦手で時々事務処理でちょんぼをしてしまい、社内の人にフォローしてもらうこともしばしばあったとします。

そして一年間の売上げが店舗でベスト3に入ったとします。

そのセールスマンの友人達は、
「トップ3に入るってすごいじゃない」
と言うのですが、そのセールスマンは友人達の賞賛を受け取れません。

そのセールスマンは言うのです。

「売上げの数字的には良かったけど、数字に出てない事務作業というところで、職場の仲間の足を引っ張っていることが多いから、この成績はほめられたものじゃないんだ。入社してもう何年も経っているのに、きちんと仕事をこなせなくてダメだなぁと思うんだ」
と、そのセールスマンは賞賛を受け取るどころか、自分を責めるモードに入ってしまいました。

という具合に、
完璧主義があると、完璧にできてないことは認めづらくなってしまいがちになります。

完璧主義が強ければ強いほど、自分を認められず、そして完璧を追い求め、自分にダメだしをしてしまいがちです。

完璧主義が少しあると、仮に5%でも完璧にできていないところがあれば自分を認められず(肯定できず)。

完璧主義がだいぶんあると、1%でも完璧にできていないところがあれば自分を認められず(肯定できず)。

完璧主義がウルトラスーパー強いと、0.00001%でも完璧にできていないところがあれば自分を認められず(肯定できず)。

という具合に、完璧主義の心理が強ければ強いほど自分を認める(肯定する)ことが難しくなってきます。

世の中、完璧にできることって早々多くはありませんので、完璧主義が強くなればなるほど、自分を認められる(肯定できる)シーンは、本当に少なくなってしまいます。
そして自分にダメ出しするシーンが多くなります。

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完璧主義の心理が自分のことを認めらるシーンを少なくする(肯定するシーンが少ない)

完璧主義の心理が自分のダメだしのシーンを多くする
というのは、

心にとってのプラスエネルギーを補給できるシーンが少ない

心にとってのマイナスの影響を及ぼすシーンが多い
という現象を起こしていることになります。

これは体に例えると、栄養や睡眠を補給せぬまま、体を酷使させているようなものです。
これを続けると、いつかは体は動かなくなりますよね?

心も一緒なんです
心にとってのプラスはなく、マイナスばかりだと、心はいつか疲弊しきって動かなくなります。
心からエネルギーが湧いてこない状態になっちゃうんです。

完璧主義の心理が、気づかぬ内に徐々に心を疲弊させていき、気づいた時には疲弊しきっていることが起きることがあります。

■完璧にできなくて良いことを許そう

先ほどは、
車のセールスマンを使って、仕事バージョンで完璧主義の心理が完璧にできていないと認められないこと(肯定できないこと)を説明しましたが、仕事だけでこのようなことが起こるわけではありません。

仕事バージョンとして、
父親バージョンとして、
母親バージョンとして、
家事バージョンとして、
介護バージョンとして、
完璧に愛してあげれないバージョンとして、
などなど、
色んなバージョンで認められない(肯定できない)ことが起こります。
そして、色んなバージョンで至らない自分にダメ出しが起こります

あなたには、どのバージョンで完璧にできない自分を認められず(肯定できず)、ダメだしをしていますか?
*できれば、どのバージョンもないほうがいいですね。

世の中で完璧にできることって早々ありません。
あったとしても完璧にし続けられる人はいません。
完璧にできなくてもいいんです。

どうか完璧にできなくても良いことをご自身に許してあげてくださいね。

ご自身に「完璧にできなくていいんだよ」と言ってあげましょう。

そうやって完璧にできなくてもいいことをご自身に許していくことが、心を疲弊させていく現象のストップにつながっていきますから。

(続)

 

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。