ワンコニコニコ ~完璧主義のゆるめ方~

予定通りにいかなかったとき、落ち込み、自分を責めてしまうことはありませんか?
テストで満点を目指していたのに、70点しか取れなくて落ち込んだ、とか、
ずっとダイエットを頑張ってたのに暴飲暴食してしまった!とか。

私もそんなクセがあるのですが、その日は彼とのデート中に起こったのでした。

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今日は彼と付き合って初めてのお泊まり。
観光スケジュールは全て彼が考えてくれることになり、私は宿探し係に任命されました。

私が役に立てるのはここしかない!
予算内でステキな、最高の宿を探すんだ!!

使命感に燃えて見つけたホテルは、オープンしたばかりで綺麗だし、口コミもいいし、駅近でとっても良さそうです。
ネット予約をして、当日は荷物を預るために朝一でホテルに向かいました。

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「予約できてない?!」

ホテルに到着し名前を言うと、予約名簿に名前がないと言うのです。
よくよく調べてもらうと、予約履歴はあるけれども、おとといキャンセルされてるというのです。

「そんな!ちゃんと確認メールを見たし…!!」
「お客様はその確認メールでキャンセルボタンを押されています」

覚えています。予約続行ボタンの隣にあったキャンセルボタン。
なんと私、間違えてキャンセルボタンを押しちゃったらしいのです。

幸いなことに部屋は空いていたので、その場で予約を取り直すことができました。

「私のせいで台無しにしちゃった…ごめんね」

彼は無事部屋もとれたし良かったじゃない、と笑ってくれてました。
でも、私は初めてのお泊まりデートという特別な日だからちゃんとしたかった。
完璧に、楽しくて幸せな2日間にしたかったんです。

私の心は申し訳なさと悔しさでいっぱい。
2日間罪悪感を引きずり、もやもやと残念な初旅行になってしまいました。

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旅行からスッキリしない日々を過ごしていた私は、実家に遊びに帰ることにしました。

目的は実家で飼っているコーギー。
久しぶりに会ったワンコは大喜び、全力で飛びついてきます。
たくさん戯れ、一緒に散歩して、憂鬱だった気持ちも少し晴れてきました。
そして、その日は私がごはんをあげることに。

うちでは、「おすわり、お手、おかわり、回って伏せ」をしてからごはんをあげるお約束があるのです。
ドッグフードを準備し、おすわりから次の指示を出そうとした瞬間…

シュバババッ!!!

素早い手さばきでお手おかわりを済まし、くるんっと回って伏せをするワンコ。
その目は、「綺さん、ボクできました!次はごはんですよネ!」とキラキラ期待に満ちています。

え?できてません。
できてませんよワンコ様…?!

やり直して貰わなきゃ…そう思って手を差し出そうとした瞬間、またもや光の速さでミッションをこなし見上げてくるワンコ。

ど、どうしよう…

冷や汗をかきながら純粋無垢な瞳を見つめていると、私達の様子を見ていた父親が「フフッ」と小さくふきだしました。

「あー、いいよご飯あげてやって」
「でも、できてないし…」
「ちゃんとやったからええねん、なぁワンコ?」

ちゃんと、やった…?
『ちゃんと』はできてないんじゃないか…?

でも、確かに行動はできている。
嬉しそうにニコニコしているワンコと父に囲まれ、ぽかんとする私。

こんなもんで「できた」って言って良いんだ…。

翌日は父とバッチリ呼吸を合わせ、ミッションクリアしたワンコ。
嬉しそうに、昨日と同じ笑顔を見せていました。

彼との旅行のとき、私もワンコみたいになれたら良かったのかな。

心から旅行を楽しめなかったのは、私のミスで宿泊予約をキャンセルしてしまったせいではなく、その後の心の持ちようだったのかもしれません。

ハプニングはあったものの、ちゃんと泊まることができたんですもの。
もし、2人で笑い話にして、彼と一緒に楽しい時間を過ごそうとできていたら…。
きっと一生に残る素敵な思い出になっただろうなぁ。

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どれだけ頑張ろうと思っても、人間ですからミスもありますし、うまくいかないときもありますよね。
人は自分の頑張りより失敗を見やすいものです。
特に、自分の努力でどうにかなるんじゃ、と思えることには厳しくなりがちです。

ワンコのように、できた部分に注目する。
そして自分を認めてあげると、次の行動に前向きな気持ちで進みやすくなるのかもしれません。

この記事を書いたカウンセラー

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我慢の多い恋愛・対人関係、慢性的な孤独感、メンタルヘルスの相談を多く扱う。 どんな暗がりの中にも光を見つけ、深い受容力と繊細な共感力で心に寄りそうスタイルは圧倒的な安心感があると好評。 クライアント本来の魅力を取り戻し「自分らしいカラフルな生き方」を育むサポートが得意。※2023/11/1~休会中