「あの人と同じようにはなりたくない」が恋愛をネガティブなものにする 〜恋愛とシャドー〜

あの人と同じようにはなりたくないと思うほど、恋愛が窮屈になる

あなたには「あの人と同じようにはなりたくない」と思える人がいるでしょうか。もし、その対象が母、父など近しい人であった場合、恋愛や夫婦に対するよいイメージが抱けず、恋愛そのものをネガティブに捉えてしまう理由になることがあります。

さて、今回は「あの人と同じようにはなりたくない」という気持ちと恋愛について解説していきます。

誰もが「できる限り多くの人と親密になれればいいな」と思うものでしょうが、しかし実生活の中では「うわーあの人は苦手」「この人のようにはなりたくないな」と思うこともありえますよね。

できればそう思わない自分になりたいところですが、ついつい避けたくなる人がいても不思議ではないと思いませんか?

この「あの人のようになりたくない」と思う対象のことをシャドーと呼びます。

このシャドーは「あの人のようになりたくない」という対象のことを指しているように思いますが、実際は「自分の中に存在する同じ要素に関して自分が嫌っている」と理解される方がいいでしょう。

例えば「あの人はいつも話を聞かないし頑固。あんな風になりたくない」と感じているとしたら、自分の中の同じ要素をあなたが嫌っており心の中で禁止(封印)している、といった感じのイメージが分かりやすいでしょうか。

いくつが具体例をあげてみますね。

例えば「私のお父さんは仕事人間で家庭を顧みない人。あんな男性最低だわ」と感じている場合。

仕事ばかりして家庭を顧みない男性に怒りを感じやすくなるだけでなく、自分自身が家庭や家族のことを大切にできなかったときにひどく自分を責める理由を持つことになる、とも言えます。

更に別の例を挙げましょう。

「私のお母さんは過干渉で心配性。いつも心配ばかりして信頼してくれない。あんな母親(大人)にはなりたくない。」と感じている場合。

心配性な人を見るたびにイライラするだけでなく、恋愛や夫婦関係の中で心配事があっても「心配しちゃいけない、相手に関わったら迷惑だ」と思い込みすぎて、本当はパートナーや家族と関わるほうがいい場面をスルーしてしまうことにもなりかねない、といった感じです。

ここに書いた例はあえて極端な話にしていますが、僕たちにとって「あの人と同じようにはなりたくない」という思いをたくさん抱えていると、どうしても恋愛や対人関係の中で問題を抱えやすくなったり、時には恋愛自体にネガティブなイメージを持つ理由になることがあるのです。

○「母のようにはなりたくない」「父のようにはなりたくない」

「あの人のようになりたくない」という思いに関して、カウンセリングの中で扱うことが少なくないものとして「母のようにはなりたくない」「父のようにはなりたくない」があげられます。

もちろん母や父のようになりたくないと思うには、それなりの事情があるものであって、それは闇雲に否定することではなく理解するほうがいいものでしょうね。

ただ、例えば「母のようになりたくない」と強く思っていると、恋愛の先にある結婚や家族を持つことに対して漠然とした怖れを感じる場合があるのです。

そもそも人は自分の体験したこと、感じている気持ちを通じて世界を見ています。

これを投影と言えばそうなりますし、それこそが自分の観念だとも言えます。

すると、もし自分が母になったとき、「私は母のようになってしまうのではないか」という不安を感じやすくなるのです。

ん?母のようになりたくないのに、母のようになってしまうっておかしいじゃないか?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

実はここには禁止の心理の影響があるのです。

僕たちは何事も禁止したものに興味を抱く傾向があリ、禁止したことに興味を持つようになるわけです。

例えば、鶴の恩返しのお話の中にある「絶対に見てはなりません」と言われたら最後、つい我慢できずに見てしまう、いった例がその典型例です。

この話を「母のようになりたくない」に置き換えてみると、どうなるでしょうか。

私は母のようになりたくはない(≒母を理解していない・許していない)。

しかし、禁止の心理の影響で「母のようになってしまうのではないか」といった不安を抱える。

だからより「母のようにならないように」と振る舞う。

しかし、また「母のようになっていないだろうか」と気にする。

ご想像いただけると思いますが、これが延々と繰り返されるとしたら非常に疲れる話ですよね。そんなときに「あなたはお母さんにそっくりね」なんて親戚などに言われたら、そりゃもう怒り爆発となる人がいても不思議ではないですよね。

ただ、実は問題はそれだけでないのです。

そもそも「私はなりたくない自分になっていないだろうか」と感じている人が「私はパートナーや家族から愛されていると感じられるのか」という点も見逃せない部分なのです。

そう考えると「〇〇のようになりたくない」といった思いを持っている状況を続ければ続けるほど、自分が窮屈になり、かつ、人から愛されていると感じにくくなってしまうのです。

これが恋愛を窮屈なもの、ネガティブなものにしてしまう理由となることがあるのです。

○「〇〇になりたくない」は常に手放すメリットのほうが大きい

これは恋愛に限ったことではありませんが、「〇〇にはなりたくない」という気持ちを感じることはいいとしても、そういった思いは理解して手放す方が常にメリットが大きいです。

言い換えるならば、恨みつらみ、禁止の理由になるものは手放すことが癒やしになるというわけです。

これは嫉妬に関しても同じことが言えます。幸せな人を見て羨ましすぎて嫉妬し「あんな人にはなりたくないわ」と感情的になる場合も、今の状態や相手のことを理解して手放すほうが、自分の制限にならないという意味でメリットが大きいものです。

また、もし「〇〇のようになりたくない」と思うなら、ではいったい自分はどんな自分になりたいのかをより具体的に考えるほうが前向きな選択になります。

ただ、自分が許していない何かはいつも自分の中の制限となって残るので、許せないものを理解して許すことは、どんなときも自分をより良い方向に導く手法だと言えるでしょう。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら

1.「いい人でいなければいけない」という思い込みが恋愛を遠ざける
2.「もう同じ痛みを感じたくない」が恋愛を怖いものにする 〜恋愛とハートブレイク〜
3.「あの人と同じようにはなりたくない」が恋愛をネガティブなものにする 〜恋愛とシャドー〜
4.「私らしく愛すること」が幸せな恋愛を導く

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。