「もう同じ痛みを感じたくない」が恋愛を怖いものにする 〜恋愛とハートブレイク〜

「もう同じ痛みを感じたくない」という思いが強いと恋愛が怖くなる

過去の失恋、家族や人との関わりの中で強い痛みを感じ、その感情をうまく消化できていないと恋愛が怖くなることがあります。人と関わることが怖い、また傷つくのではないかと思えば恋愛に対しても苦手意識を持つようになることがあります。ただ、だからといって「恋愛が嫌いではない・むしろ興味がある」としたら、これは深い悩みになると考えられないでしょうか。

今回の講座の内容は前回の講座と関連した内容でもあります。

僕たちは生きている中で様々な心の傷を抱えるようになるものです。

家族に理解されなかった、両親に優しくされなかった、友達から傷つけられた、友達を傷つけた、愛する人に愛されなかった、愛する人を傷つけてしまった・・・。

さまざまな傷心を抱えながら、それでも毎日頑張って生きている人もいらっしゃる、と言えるのではないでしょうか。

ただ、もう親密な人との関係で感じた痛みを解放できずにいるとしたら、「もう昔のような痛みを感じたくない」と感じて恋愛を遠ざけてしまうことが起こります。人によっては「恋愛=傷つくもの・怖いもの」とかんじることもあるようです。

○「もう同じ痛みを感じたくない」という気持ちがもたらす恋愛パターン

例えば、過去の恋愛の中で、望んだことではないにせよ深い失恋の傷を抱える経験をしたり、好きな人と別れたくなくて必死に努力して関係を維持しようとしたけれど結果的に別れることになった、といった経験をした人がいるとしましょう。

すると、まず「自分の身に起きた事実を受け入れられない」と感じることが少なくありません。

どうしてこんなことになったの?なぜ別れることになったの?と戸惑い、ときには強いショックを受けることもあるんです。

また、辛い、苦しいといった気持ちを感じるよりも先に、怒りが湧き出すことも少なくありません。

「あの人は私をどうしてこんなに傷つけるようなことをしたんだ」「相手のことが許せない」といった気持ちになるわけです。

そして次第に「もう傷つきたくない」「もう同じ経験はしたくない」という思いが強まり、自分が傷つきそうなこと、辛い思いをしそうなことから距離をおいたり、それを避けるような行動を取る場合があります。

ただ、自分の中に「恋愛への興味」「幸せなパートナーシップを求める気持ち」を持つこともあるわけですよね。

つまり、もう傷つきたくないと思いながら、幸せな恋愛を求める気持ちも感じる。

実際にこのような状況になるとしたらどんな気持ちになるでしょう。

「切ない」という言葉がぴったりなほど、胸のあたりがモヤモヤ、人によってはかきむしられるような思いを感じることもあるのではないでしょうか。

このとき、自分の内面では「もう二度と同じ痛みを感じたくない」といった気持ちと「恋愛や幸せへの興味」がぶつかって葛藤状態になっているのです。

ただ、実際には「過去と痛みを感じないような振る舞う」「痛みを回避する行動を手放せず、そのままの状態が続いてしまう」となってしまうことも少なくありません。

むしろ、そのように感じる時間が長くなるほど、より恋愛(人と関わること)が怖くなってしまう場合もあります。

例えば、「恋愛したくないわけじゃない。でも、また誰かを愛したり信じたらまた昔のように傷つくかもしれない」といった怖れは、「もう二度と傷つかないように振る舞うこと」を続ければ続けるほど強くなっていく傾向があるのです。

また傷つくのではないかと思えば思うほど、傷つくことが怖くなり、きっと傷つく、絶対傷つく、といった思い込みを強める理由になることもあるんですよね。

すると、今度は「傷つくこと」だけでなく「恋愛」や「幸せ」について考えること自体に怖れを感じ、更に恋愛や幸せを遠ざけるような行動を続ける場合も出てくるわけです。

つまり、「もう同じ痛みを感じたくない」という気持ちが強ければ強いほど、そもそも自分が行動できていたことができなくなったり、人と関わることが難しくなることがあり、これが幸せな恋愛を遠ざけ、怖いものにしてしまう理由となるのです。

○痛みを癒すことは自分を取り戻すこと

もし、自分自身が過去の痛みを思い出しても平気だと思えるならば、特段問題にする必要はないのかもしれません。

もし、自分自身で過去を思い出しても、大切な人と関われるなら、特段問題にする必要はないのかもしれません。

しかし、もし上手に好きな人と関われない、過去の経験が今も気になって恋愛に興味があっても踏みさせないとしたら、一度自分自身の気持ちを整理したり、時には辛い気持ちを解放するなどの癒やしに取り組まれてみてもいいかもしれません。

もし、「もう同じ痛みを感じたくない」という気持ちが強ければ強いほど、かつて自分ができていたことができなくなっているのであれば、「痛みを癒すこと」は「自分を取り戻すこと」となります。

ただ、昔と同じような自分になるわけではありません。あの頃の自分に戻るわけでもありません。

人は、辛い経験、悲しい経験、失敗を通じて、更に様々なことを知り、また「どうすればうまくいくのか」を学ぶものです。

ときには、昔の自分以上に人の痛みがわかる自分になれたり、もっと人の気持ちの大切さや価値が分かる自分へと成長することも十分可能です。

しかし、「もう二度と傷つかないように振る舞い続ける」としたら、おそらくこのプロセスに進むことはないのかもしれません。

もしあなたが「もう二度と昔のようなつらい思いをしたくない」と感じ、それゆえに恋愛を怖れているならば、まず自分を大切にしてみてはいかがでしょうか。

痛みに必要なのは罰ではなく、優しさであり、理解であり、受け入れることです。

傷ついたことは何ら恥ずかしいことではなく、あなたがなにかにチャレンジしたり、大切な人に信頼を向けた証ではないでしょうか。

その自分の気持ちを丁寧に紡いて整えていくことで、また新しい自分、新しい恋愛と向き合える自分になっていけるでしょう。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら

1.「いい人でいなければいけない」という思い込みが恋愛を遠ざける
2.「もう同じ痛みを感じたくない」が恋愛を怖いものにする 〜恋愛とハートブレイク〜
3.「あの人と同じようにはなりたくない」が恋愛をネガティブなものにする 〜恋愛とシャドー〜
4.「私らしく愛すること」が幸せな恋愛を導く

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。