パートナーを幸せにしたい人ための恋愛心理学(3) 〜距離ができた関係の修復〜

距離ができた関係の修復と罪悪感の話

「パートナーと距離ができ、今更元には戻るとしてもどうしたらいいかわからない」という抵抗感について伺うことがあります。
実はこのとき自分からパートナーに関わっていなかったという罪悪感で自分を縛り付けていることが多いのです。

***

特に夫婦や長くお付き合いされている恋愛にまつわるカウンセリングの中で「パートナーと距離ができているんだけど今更向き合う気になれない」「どうすればもう一度向き合えるのだろうか」といったお話を伺うことがあります。

「相手とは一度距離ができたのに、今更どうすればいいのか」と感じ、関わりづらくなっている様子、といえばいいでしょうか。これもまた悩ましいパートナーシップ問題と言えそうですね。

○自分が愛していないという罪悪感

パートナーとの距離ができた関係では、お互いに「自分はパートナーにちゃんと関わっていなかった」という罪悪感で自分を縛り付けていることが多いのです。

これは「自分は(分かっていることを)何もしていない」という罪悪感です。

ここには、前回も書きました「自尊感情」〜人の役に立ちたい、喜びになりたい〜という感覚が影響しているんですね。私達は相手の役に立ちたいと願う反面、そうなれない自分を許すことができない、という考え方。

だから、「相手を愛していない自分を相手に見せても、相手は喜ばないだろう、更に批判されるのではないか」と感じている場合もあります。

罪悪感は「自分は毒だ」という感覚をもたらしますから、毒の自分は愛されないどころか責められる、と感じるわけですね。

それぐらいお互いが「自分の価値を感じていない」ことが多いのです。だから、相手と関わろうとすると「自分がちっぽけな存在」のように感じられて更に嫌な気分になるので、「何を今更、どう向き合えってんだ」のように感じてしまうわけです。

ただ、この「愛していないという罪悪感」は、「愛するつもりも、興味もない相手」との関係では感じません。愛情も思いもないのに罪悪感を感じることはないのです。

つまり、未だに「相手を愛したい」のは自分だということです。それができずに苦しんでいるのが自分であり、だからパートナーとの距離が詰められないでいるのです。

しかし実際は「愛していない罪悪感」を感じないように防衛しはじめるんです。その一つの形態が「関わらない」「距離を置く」ことなんです。「関わらなきゃ嫌な気分になれない」と考えるんですね。

ただ、実際はそれでも罪悪感は感じますから、どれだけ距離をおいて関わらないようにしても、なかなか嫌な気分は収まりがつかないんですね。

また、自分が嫌な気分を感じる度合いだけ、今度は「自分は悪くない、相手に非がある」と相手を非難するカタチでの「罪悪感の否認」が起こる場合もあります。そうすることで、嫌な気分から逃れようとするわけです。

ただ、どちらにしても嫌な気分は変わらないことが多いものなのです。

なぜなら「自分は相手のためにやりたいことをやっていない」ということに何ら変わりはないからです。

つまり、自分自身が本当に感じていることを表現しない限りスッキリしないのです。

○パートナーと向き合えない事情

さて、もしパートナーと距離ができたり向き合えなくなったのなら、そこにはきっと事情があるはずです。

典型的な例が「自分なりにパートナーのために頑張ったのに、相手が喜ばなかった」というもの。

自分なりに仕事を頑張った、家事や育児を頑張った、稼いでいた、相手を心配していた。なのに、相手は喜ばず、辛そうにしていたり、つまらなそうに毎日を過ごしていた、なんてことがあると、まぁ「自分がそばにいても意味ないな」と思うものでしょう。

ここには「自分なりの思いが伝わらない」という深い悲しみが隠れている場合が多いのです。

つまり、「パートナーと向き合うと深い悲しみを感じるから、距離をおいている」と側面もあるのでしょう。

しかし、そうしたところで自分の中の悲しみや罪悪感が消えることはないから悩ましいのですね。

○「喜ばせることができないから辛い」と言えない

このような感情の動きを見つめていきますと、次のような事が考えられますね。

そもそもパートナーとの距離ができる関係の前提には、自分なりに考え、努力して、パートナーのために与えるけれど、相手に「何が欲しい?」と聞けずにいたり、「私はこれが欲しい」と素直に言えないといった、心理的な「自立」があった。

そもそも二人がそばにいたときから距離があったということが多いようです。

そばにいるときからずっと本当の自分の気持ちを隠し、言いたいことが言えずにいたのかもしれません。

「自分なりに努力したけれど、うまく喜ばせられなくて辛かった」

「俺や私はこんなに頑張ったのにどうして?」という人は多いのですけどね。「うまく愛せないことが苦しい」といえる人はあまりいないのです。そんな弱々しい自分は隠したいと思うでしょうからね。

しかしそれを伝えない限り、パートナーが、あなたの中で何が起きているのかを知ることができません。つまり、パートナーはあなたを愛し、支えることができないことも多いです。

もし、一度距離ができた関係を取り戻すことを考えるなら、お互いがお互いの気持を整理して、本当の気持ちを話す勇気が求められるでしょう。

そこで差し出された相手の弱さとは、そもそもは「自分に向けられた愛」でもあります。

そこで遠慮したり、ダメを出したらやはり関係は壊れていくもの。お互いにしっかり受け止めていくことが求められると言えますね。

(続)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。