仕事で充実感を味わうために「やらされ感」とどう付き合えばいい?

仕事に注いでいる時間や労力って、相当なものです。

1年で仕事に費やす時間は、1日8時間×20日×12カ月=1920時間
10年なら1万9200時間。
20年なら3万8400時間。

単位が万を超えると、もはやまるでリアルにはイメージができませんね。
残業なしでざっくりとこの数字だとしたら、残業しながら働いている人はどれほどの時間を仕事に注いでいるでしょうか。

人生の中で、これだけたくさんの時間と労力を仕事に費やしているんですね。

今、仕事をどんな気持ちでしているでしょうか。
「大変だ」「仕方なくやっている」「やらねばらなない」という気分でしょうか。
それとも、「面白い」「やりたい」という気分でしょうか。

もし、「仕事は大変なもので、やらなくてはいけないからやっている」と思っていたら、1年のうち1920時間「大変だ」とか「ほんとはやりたくないな」などの気持ちで過ごすことになるかもしれません。
だとしたら1日の仕事時間も「なかなか時計の針が進まない」というように長く感じられるかもしれません。

一方で「仕事は面白いし、やりたいからやっている」と思いながら1920時間を過ごせるとしたら、どんな気分になるでしょうか。

◆やらされ感から抜け出すには

この仕事は、やらされてやっている。
この状態で仕事をしているのって、しんどいものです。
なぜ自分がやらなきゃいけないんだと考え始めると、だんだん気分が悪くなるし、文句を言いたくなる気持ちも出てきたりします。
けれどこの状態は、わざわざ悪い気分を自分に味わわせているともいえるかもしれません。
わざわざ悪い気分を1日7時間も8時間も自分に味わわせているとしたら、かなりもったいない気もしてきます。

もし、気分を自分で選べるとしたら……。
いい気分と悪い気分、どちらを選びたいと思いますか。
いい気分のほうが、いいですよね。

いい気分を選ぶための簡単な方法があります。
それは……この仕事を必要としている誰かに届けたいと思ってみることです。

やらされている感があるとき、目の前の仕事に主体性を持てていないものです。
ほんとはやりたくないけど、やれと言われているからやっている。
こう思っているとき、「やれと言ってくる存在(上司や会社)」に自分を明け渡しているともいえるんですね。
「なんでやらなきゃいけないんだ(ほんとはやりたくないのに)」という気持ちにもなるものです。

仕事の出来、不出来の判断も自分ではできなくて、「やれと言ってくる存在」の判断に従うしかない。
こうなったら、仕事はつらいものになってしまいます。

判断の基準や意思決定権が自分にないと感じられるとき、仕事はしんどいものになってしまうんですね。

そこから抜け出すには「この仕事は自分の意思でやっている」と思える状態をつくることなんです。
そのときに「この仕事を届けたい誰か」を想定すると、自分の意思を持ちやすくなります。

例えば、レポート作成を任されたとします。
上司に言われたからやると思っているとき、見ている相手は上司です。
このとき、上司の先にいる人を見ることもできます。
「お客様にとって役立つサービスのためのレポートなんだ」と思ったとしたら、見ているのはお客様です。

上司から「これ作っておいて」と頼まれたレポートであっても「お客様のサービス向上のために」と思って作ったとしたら、そこに主体性が生まれます。
やらされ感から抜け出して、自分の意思でやっていると感じることができるでしょう。

「上司がいい営業判断できるように、このレポートを作ろう」と思ったとしたら、それも自分の意思でやっていると感じることができるでしょう。

同じ仕事でも、自分の意思でやっていると感じられると「もっとこんな工夫をしてみようかな」「こうしたほうが、もっとよくなるんじゃないかな」といろいろなアイデアも出てきやすくなります。
すると仕事が面白くなっていくし、やった分だけ自分の力にもなっていきます。

仕事を頼んだ上司も、プラスアルファが加えられて仕事を上げてきた部下には「仕事を任せられる」と思うものです。
そのため「大事な仕事があったときにはやらせてみよう」となり、結果としてチャンスも回ってきやすくなります。

この仕事を届けたい誰かのために、自分にできることをする。
こう考えることが、いい循環を生み出していきます。

目の前の時間をどんなふうに送ろうか。
どうせなら、いい時間、充実した時間にしたいな。
じゃあ、いま、そのために何ができるかな?

ひとつひとつは小さな積み重ねかもしれません。
でも、ひとつひとつの小さな積み重ねが、自分の未来へとつながっていきます。
やらされ感を上手に抜けて、いい時間を積み重ねてみてくださいね。

この記事を書いたカウンセラー