魅力と欠点の心理(4)〜自分を受け容れることで欠点は魅力に変わる〜

自分の良いところから認め、どんな自分でも価値を見ていこう

なかなか欠点をそのまま受け容れられないときは、自分を受け容れ、認めるプロセスが有効です。
今は欠点を魅力のように感じられなくても、欠点を受け容れられる自分に変容していけば、欠点を魅力なんだな、と実感することもできるようになっていきます。

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このシリーズの最終回は、欠点を魅力として捉えていくプロセスについてお伝えしたいと思います。

○自分のよいところを認める

欠点を魅力の種として、また自分で受け入れていくためには、「自分を認める」プロセスを先に進めておくと、欠点を受け入れやすくなります。

具体的な事例を使って解説します。

【アサヒサさん(仮名・男性)は、ずっと落ち込みやすい自分でいることが悩みでした。物事深く考え込んで行動できなかったり、なにか失敗すると凹んで当分回復しない自分が嫌で、自分を情けないと思っていました。だから恋愛でも積極的になれず、失恋を繰り返していました。また、仕事でも受身の姿勢でいたので、積極的ではない姿勢を指摘されることもしばしば。生きづらいなぁ、と感じていたのです。】

この場合、アサヒサさんは「落ち込みやすく凹みやすい自分」が嫌いであり、欠点だと感じているわけですね。

自分がその部分を嫌っているので、人にも嫌われるだろうと感じ、劣等感を感じている状態です。

そこで恋愛の中で彼女に「もっとしっかりしてよ」だとか、仕事で上司に「もっと積極性を持ちなさい」と言われたとしたら、まぁ泣きっ面に蜂になりますよね。まさに自分自身の投影の通りになった、と感じる瞬間でもあるでしょう。

そこで、もしアサヒサさんが「なんだよ、自分でもそれぐらいわかってるよ。なんでイチイチ指摘するんだよ。オレのこと誰もわかっていない!」と不満を持つとしたら、この不満は、人と対立したり、自分を否定する材料になってしまいますね。

このような方向に気持ちを持っていくと、なかなか欠点を受け容れることが難しくなりますし、欠点は問題の種、となっていくわけです。

ここには「誰もわかっていない」という悲しみや被害者意識があり、この気持ちの奥には「自分は落ち込みやすく誰の喜びにもなれないのではないか」という罪悪感が眠っています。こうなると、どれだけ自分が頑張っていたとしても、なかなか自分自身を認められなくなり、受け容れたくもなくなることが多いでしょう。

そんなときはちょっと勇気が必要なのですが、「視点を変える」といいのです。

確かにアサヒサさんには「落ち込みやすく凹みやすい」という欠点を感じているのかもしれません。

しかしそれがアサヒサさんの全てではないはずなのです。

まず、それが全てではない、と認識することからはじめて、自分の長所をリストアップしていく作業をコツコツ続ける、というわけです。

また、毎日の中で自分が「できていること」を意識していくことを続けます。

自分に良い態度を取れていないときほど、自分を褒めるとなんだか慰めのように感じますが、真摯に自分を受け容れる姿勢をもってコツコツ認めていくことがコツです。

そもそも自分には自分なりの良さ、魅力、価値が存在するのですから、強がる必要も、他の人と比較する必要も、厳しすぎる基準で見つめる必要もありません。あるものを淡々と認めて、受け容れていく感じです。

これを続けることで「確かに凹みやすい自分はいるけれど、自分も捨てたものじゃないかもな」と思えるようになり、結果、今まで受け容れられなかった欠点を受け容れる態度が整っていくことが多いものです。

○投影を取り戻せると更に準備が進む

ある程度自分の欠点と向き合っていくと、徐々に「投影を取り戻す」ということが可能になっていきます。

ここでの「投影を取り戻す」という言葉の意味は、「自分で自分を嫌っているから、人も同じように嫌っていると感じている」ことに自ら気づくことを意味します。

例えば、アサヒサさんが昔の彼女に「もっとしっかりしてよ」と言われてフラれたことがあるとします。

そのとき彼女は、しっかりしていないアサヒサさんに心底不満で「いい加減にしてほしい」とだけ言いたかったのか。それとも「あなたをパートナーとして選んでいるのに」という意味合いで伝えてきたのか。その彼女の真意を理解できるようにもなるのです。

上司が「もっと積極的になりなさい」と指摘してくるなら、その言葉をダメ出しと取るか、それとも「お前の意見が聞きたい」「お前にはできるんじゃないか」という意味として取るのか、その選択の幅が生まれてくるというわけです。

もちろん彼女や上司がどんな意図で話したかは、その本人しかわからないでしょう。ただ、相手の言葉をどう理解し、どのような動機づけをして行動をするのかは自分で決められます。どんな出来事も自分への罰とするのか、それとも気付きとするのかは、自分で決められます。

まだ、自分の欠点はまだ受け容れられなくとも、欠点を嫌っている自分を受け入れようとしてくれた彼女がいる、エールを送ってくれる上司がいる、と解釈できるならば、自分自身に対する評価も変わってくるものなのです。

 

○自分を受け容れる難しさも存在する

ただし、このプロセスには壁も存在します。それが過去の痛みです。

例えば、実際に自分の欠点をけなされた、ひどく扱われたという経験があれば、辛い感情が蘇ることもありますし、自分に欠点があるから愛されないのだ、と思うこともあるでしょう。

こういった感情は丁寧に認めながら、解放していくことである程度和らいでいきます。自分の気持ちをノートに書き留めたり、信頼できる人に相談することで楽になることもあります。自分の気持ちをうまく付き合いながら、コツコツ自分の長所見つめていくことで、欠点を受け容れ、魅力の種にすることが可能になっていきます。

 

○欠点が魅力だと気付けるとき

そもそも自分自身が最も「自分は自分でいい」と感じられるのは「誰かの喜びになっている」と実感できるときです。これは自分の欠点によってなされる場合より、自分の長所、強い部分を使ってなされるものです。

そして、人の弱い部分に私達の愛や強さは流れます。弱い部分は愛される部分です。

どちらも自分なんだな、と見つめていくと、徐々に

「あの人ってちょっと凹みやすいよね(そういう所があってもいいよね)」
「あいつはいつもビビリだよな。(でもめっちゃいいやつなんだけどさ)」
「君は不安になると本当に人の話を聞かないよね(ま、だから私がいるんだけどね)」

といった風に人の気持ちに気づけるようになります。

実は、自分が嫌い、隠そうとしていた部分を愛してくれたり、受け容れてくれる人がいるということに気づけたとき「欠点は魅力になりえるもの」と実感できるものです。

つまり、自分で自分を受け入れた分だけ、自分に欠点があってもいい、人は愛してくれていると気づけるようになる、ということなのです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。