魅力と欠点の心理(3)〜自尊感情と欠点の関係について〜

「愛そうとしているのは自分のことだけ」にご用心

私達は「誰かの役に立ちたい」「喜びになりたい」という感覚や欲求を持っていて、この感覚は消えることはありません。しかし、この影響で「誰かの役に立てない自分が許せない」とも感じています。だから自分自身の欠点やできないこと、無力さを嫌い、受け入れたくないと感じることも多いのですが、そこに罠が待ち構えていることもあるんですよね。

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私達は「誰かの役に立ちたい」「喜びになりたい」という感覚や欲求を持っています。

これは自尊感情とよばれるものです。この感覚や欲求を自分で止めているとき、自分がより良い存在だと感じにくかったり、苦しさ感じるものです。

ここで少し想像してみてください。

もし、大切な人の役に立てなかったり、喜びになれなかったとしたら、どんな気分になるでしょうか。

多くの場合、嫌な気分を感じますよね。このとき、罪悪感と呼ばれる感情を感じていることが多いもの。罪悪感とは、自分は愛されるにふさわしくないという感覚をもたらすものです。

自分は誰かの喜びになれなかったちっぽけな存在で、こんな自分はきっと愛されないだろう、と感じ始めるというわけです。

ここで、自分の欠点を意識するとすれば、自分の欠点をどう扱い始めるでしょうか。

おそらく、自分にこんな欠点があるから、役に立てないんだ、喜びになれないんだと思う。そんな状態になることも想像していただけるのではないでしょうか。

だから、自分の欠点が許せない、自分に欠点があるから魅力的ではない、という思いが生じることもあるでしょう。

 

○欠点があるからといって自分を認めないと・・・

カウンセリングの現場にいますと、どこか自分を見失っている状態や、私は誰の役にも立てていない気がする、というご相談をお受けすることがあります。

自分自身を信じられなかったり、自分を否定的に見ていたり、逆にコンプレックスなどの影響から、特別な存在だと強く感じていたい(そうでないと不安だ)と感じている場合もあります。

こういったご相談をくださる方は、それほどまでに「誰かの役に立ちたい」と願っていたのでしょうね。ただ、あまりに自分を見失ってしまうと、「自分は特別な存在であらねば」「大切に扱われたいのに」と強く感じるようにもなりますね。

誰しも「自分は特別な存在でありたい」「大切に扱われたい」と感じているものです。これは自己愛と呼ばれるもの。

しかし、誰かの喜びになりたいと思ったけれど実現できなかった、などの事情があると、ときに自分に欠点の存在や、理想の自分になれないことを理由に、自分を否定的に見つめたり、過剰に「自分はいつも特別な存在であらねば」と思うようにもなります。

これは、過剰な自己愛を求め続けている状態、と言えます。言い換えれば、本当は誰かの役に立ちたいのだけれど、実際は「自分が愛そうとしているのは自分のことだけ」という状態、になるわけです。

だから、今までは誰かの喜びになりたいと願っていたけれど、いつの間にか自分の欠点が許せず苦しんだり、いつも理想の自分を求めながら、どこか他者からの承認を常に求めつづけてしまうようにもなります。

その内面では、自分の欠点を嫌い、自分をちっぽけに見つめ、いつまでも理想の自分にならねばと感じ続けている、というわけです。

こうなると、誰かの喜びになることも、自分を認めることも難しくなりますし、何より自分に対する不十分な感じが消えませんから、劣等感を抱えたり、周囲のあなたへの支援・応援も、同情や慰めのように感じてしまい、なかなか受け取れなくなります。

毎日頑張っていても、なかなか幸せを実感したり、自分自身が頑張っている事実も認めがたくなります。

それもこれも、自分自身に欠点(気に入らないところ)がある、(人と比較して)理想の自分になれないことを理由に、自分を認めない態度を続けているから起きること、と言えます。

 

○自分を認めることがブレイクスルーへの道

私達は「誰かの役に立ちたい」「喜びになりたい」という感覚や欲求を持っていて、この感覚は消えることはありません。しかし、この影響で「誰かの役に立てない自分が許せない」とも感じています。

だから、誰かの役に立てない自分を嫌い、自分を受け入れることを拒むこともありますし、自分の欠点を嫌うこともあるでしょう。

ただ、自分が魅力的になり、幸せを実感していくためには「今の自分も捨てたものじゃないよね」と、自分を認めるプロセスが大切です。

自分を認める、受け入れるといったプロセスを経て、自分が自分をアテにすることが、幸せを実感し、魅力を発揮するために大切なことです。

たとえば、仕事で失敗したとして、失敗を理由に自分を否定することもできますが、その自分をアテにする発想を持ってもいいんです。失敗した自分だって捨てたもんじゃない、と自分を認めてもいいんです。

もちろん、今の自分の長所をコツコツ認めていってもいいですし、今日、自分ができたことを認めてもいいですよね。これも「その程度のこと(長所)、誰でもできるし(あるし)たいして意味ないよ」と否定することだって簡単にできます。

この「選択」が自分の感覚の違いを作ります。

自分自身を認めているからこそ、自分なりに上手に愛せるようになりますし、自分の魅力も自覚できるようになっていくものです。誰かの喜びになっている感覚も徐々に得られていきます。

>>>『魅力と欠点の心理(4)〜自分を受け容れることで欠点は魅力に変わる〜』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。