人と親しくなるのに抵抗がある〜親密感でつながる〜

人と親密になるのを怖れる3つの理由と対処法

人と親しくなろうとすると抵抗があると悩む人がいます。それには3つのオソレの心理があります。本当の自分を知られるオソレ・ガマンをしなければならないというオソレ・依存的な自分が出てくるオソレです。これらのオソレへの対処法は、自己肯定感を高める、相手を信頼する、遠慮の殻を破る、相互依存を目指すことなどがあります。勇気をもって自分発のコミュニケーションをすると、心地よい親密感でつながる関係が築けるでしょう。

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「一歩踏み込んだ親密な関係が築けない」「初対面の人は大丈夫だけど、何度か会っている人との関係が苦手」「人との距離感がわからない」「好きな人に近づけない」など、親しくなることへの抵抗で悩まれる方がいらっしゃいます。

その心理パターンと対処法をいくつか紹介します。

●本当の自分を知られるのがこわい

誰にでも「いい人に見られたい」欲求はあります。ちょっとした知り合いになら、いい人の面だけを見せることができるでしょう。しかし、より親しい関係になると、いい人を演じてばかりではいられなくなり、本当の自分が出てきます。

たとえば、「自分はとてもダメなヤツで、知られたらがっかりされる」とか「自分はイヤなヤツで、知られたら嫌われる」とか思っていたら、自分を隠そうとするでしょう。自己嫌悪や自己否定があると、ダメな自分を隠すために人との間に距離や壁を作り、親密になることを避けようとします。

このタイプは、自分のいいところを見つけたり、自己肯定感を高めたりすることに取り組むと、本当の自分を表現しやすくなるでしょう。

同時に、自分が相手を「こんな自分を見せたら私を嫌う人」と扱っていることにも気がついておきましょう。人に親しみを感じさせる人は、自分のダメな所や失敗を隠しません。それは、「それを話してもあなたは私をうけいれてくれる」という信頼があるからです。自分が相手を信頼するかどうかが大切なのです。

また、自分は受け身の姿勢で「相手がうけいれてくれる保障があるなら心を開こう」と考える方がいますが、お互いが受け身では距離は縮まりません。親密になるには、自分から心を開いていく勇気が必要です。

●これ以上のガマンをしたくない

人間関係でガマンや犠牲のパターンがあると、「人と親しくなると、さらにガマンをしなければならなくなる」と思い、人との距離をとる場合があります。これは子供時代に愛されるための手段や、親を困らせないための愛情表現が、ガマンだった人に多く見られる傾向です。

このタイプは、自分よりも相手を優先する、外に出ると気を遣い過ぎて疲れてしまう、人の話の聞き役になることが多いなど、いつも自分が面倒を見る側で、自分のことは誰にもわかってもらえないと思っていたりもします。

このタイプに大切なのは、対等さのある関係の構築です。具体的に取り組むのは、気楽な言葉使いで話す、イヤなことにはイヤと言う、無理なことは断るなどです。そのためには、自分が遠慮の殻から出る勇気が必要です。遠慮は親密さを遠ざけます。

ちなみに、NOを伝えることは相手を拒絶・否定することではありません。自分の事情を知ってもらい、相手とよりよい関係を築くためのコミュニケーションのひとつです。対等な関係では、ケンカもできるし、お互い本音が言い合えます。

●依存的な自分になりたくない

親しくなると、「その人を独占したくなる」「ああしてほしい、こうしてほしいと欲求が止まらなくなる」「相手に依存的になる」「全部をちゃんとうけとめてほしくなる」など、いわゆる重くなる自分がいて、そうなるのがこわくて特定の人と親密になるのを怖れているケースがあります。

これは、子供時代に親に満たされなかった感情が、せき止められたダムに満杯に溜まっていて、親密な人ができるとその人に向けて一気に放出されるようなものです。実際に過去に誰かに一点集中で依存して、関係が壊れた経験をした場合もあるでしょう。あるいは、自分の中に膨大な依存心(ニーズ)があるのを自覚していて、理性で押しとどめている場合もあるでしょう。

この場合は、満たされなかった感情をカウンセリングなどで安全に処理する、いろいろな人にニーズを小出しにしてみるなど、自分自身のニーズを扱えるようになると人とかかわりやすくなります。

また、どちらかが依存・どちらかが自立の人間関係ではなく、相互依存という在り方を目指すといいでしょう。

相互依存とは、お互いが完璧な人間ではないことを認め合い、お互いの不完全なところを補い合う関係です。自分の得意なこと・できることで相手に貢献し、自分の苦手なこと・できないことは相手に委ねる関係です。相手の弱さを愛することが自分の中にある愛を大きくし、ダメな自分を差し出すことが相手の素晴らしさを引き出すことになる、お互いを高め合う関係です。

人にはみんなニーズがあります。それは悪いことではありません。ただ、自分のニーズだけを満たそうとすると、相手から奪うような罪悪感を持ちます。

心の法則では「ほしいものは、あげるもの」といいます。もし自分が「わかってほしい」と思うなら、相手に理解を与えていきましょう。「愛されたい」なら「愛する」ことに取り組みましょう。親密さが欲しいなら、相手に信頼を与えていきましょう。

勇気をもって自分から働きかけてみたら、頭で考えているのとは違う体験ができるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大塚 統子

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。