「喪失」の乗り越え方(4)~愛を受け取る力があなたを強くする~

この出会いから得たものすべてを感謝とともに受け取れた時、やっと失ったものも自分も、許すことができます。

元彼、元カノ、前の仕事、前の住処、ご縁のあった友人たち、あなたの人生のある時期を支えてくれた家族やペットなど、大切なものの喪失は、ただ関係性が「終わり」を迎えたというだけではなくて、あなたが、新しい人生のステージへと踏み出すのに、どうしても必要な陣痛のような役割を果たしてくれていることが多いようです。

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「喪失」はあったけれど、「愛」はなかった?

「喪失」の悲しみはあまりにも大きくて、私たちは、起こったことに憤りを感ぜずにはいられません。楽しい時間、楽しい関係性、そんな幸せな気持ちになれる相手や仕事、大切な趣味や場所を失うと、それが楽しくて、幸せだった分だけ「失った」ことを辛く感じてしまうので、その相手や仕事、大切なものをあえて「それほど好きでもなかった」ことにしようとします。

相手も自分をそれほど愛していなかった。私も、相手をそれほど愛していたわけでもない気がする。だから、この「喪失」は大したことではない、と脳内で処理しようとします。「愛されていたのに失った」は、悲しすぎるから、「本当は大して愛されていなかったのではないか」と疑い始め、相手の気持ちはもちろん、自分の愛もそんなに大きなものではなかったかもしれないと思うのです。

 

「愛」を受け取ることでやっと相手も自分も許せるとしたら、、、

「失ってしまったかもしれないけれど、ある一時、確かにそこに愛はあった」。自分も愛したし、「愛された」、と「愛」を受け取ることは、人を愛すること、愛されることへの自信を回復するために、とても大切です。

どんな楽しい思い出がありましたか?その人、その仕事、その場所のどこが、そんなに好きでしたか?どんなことが嬉しかったですか?どこを愛しましたか?あなたのどこを喜んでくれましたか?あなたをどう愛してくれましたか?あなたは、どう愛しましたか?その人と、その仕事と、その場所と出会えたことで、あなたの人生はどう変わりましたか?何を学べましたか?あなたは、どんな自分と出会えましたか?

その出会いこそが一つの小さな奇跡ではありませんでしたか?

この出会いが素晴らしいものだったからこそ、この関係性が大切なものだったからこそ、失いたくないし、しがみつきたくなるのですが、出会うべくして出会った目的の一つを完了させる勇気をもって、その人(もの、場所)からの愛をしっかりと受け取りましょう。

この体験があったからこそ、今の「あなた」に成長することができたのです。この出会いそのもの、この出会いから得たものすべてを感謝の気持ちとともに受け取れた時、やっと失ったものも自分も、許すことができます。

 

卒業は次のステージに進むあなたへのボンボヤージュ

卒業は、喜ばしいものであったとしても、一抹の寂しさがつきものです。「喪失」を乗り越えるプロセスについても同じで、「喪失体験」→「ショック」→「否認」→「怒り」→「悲しみ」→「感謝」→「許し」と心の作業を進めてきても、最後に、この幸せだった関係性を完了させて、次のステージに進む時には、やはり寂しさを感じます。

新しい恋だったり、仕事だったり、住処だったり、仲間を得ることは、ワクワクドキドキする体験です。そんな新しいステージへと漕ぎ出す喜びもありますが、それを心底楽しむためには、心が、過去を「過去」として受け入れて完了させる必要があります。

喪失の悲しみは辛いにも関わらず、その悲しみを抱き続け、手放して完了させることを寂しく怖いと感じて、二の足を踏みたくなります。でも、卒業は、次のステージに進むあなたを応援するための区切りでもあります。

元彼、元カノ、前の仕事、前の住処、ご縁のあった友人たち、あなたの人生のある時期を支えてくれた家族やペットの喪失は、ただの「終わり」ではなくて、あなたが、新しい人生のステージへと進むのに、どうしても必要な陣痛のような役割を果たしてくれているのかもしれません。とすれば、この過去の関係性を卒業して手放し、過去を過去にすることは、次のステージへの船出を力強く後押しする応援の力を受け取ることでもあります。

いつの日か、この喪失体験を乗り越えることが、あなたがさらに成熟するための大きなプロセスの一環なのだと思えるほど、新しい出会いの喜びを受け取れますように。

(完)

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