「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」問題

パートナーのことを、母親や父親のように扱ってしまって、ケンカになってしまうことって少なくありません。
どうして、我々はパートナーのことを、親のように扱ってしまうことがあるのでしょうか?

夫婦や恋人同士がケンカしたとき、「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」というセリフが飛び出してくることがよくあるようです。
ケンカの場面ではなくても、そんなことを思ったことがある人は少なくないかもしれませんね。

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今回、担当させていただく大門昌代です。どうぞ、よろしくお願いします。

◆私たちが人生で最初に出会う親密な人は、両親になります。

私たちは、社会で生きていくための様々なことを、家庭で学びますし、人との距離感や、考え方、価値観、習慣なども家庭で学んでいきます。
もちろん、少し大きくなってからは、学校や友人関係からも学んでいきますが、スタートは家庭ということになります。

赤ちゃんの頃からの関係になるので、とりわけ両親との関係はその後の私たちに大きく影響を及ぼすことになります。

そして、大人になった私たちにとって、親密な関係というのは、パートナーということになります。
もちろん、友人や学校の先生や、近所の人たち、会社の同僚や、趣味の仲間など、さまざまな人と関わっていきますが、親密さという点でいくと、パートナーというのは、何も隠しようがない全てを知って知られている存在ということで、両親と同じような距離感になっていくのです。

両親には、赤ちゃんから子供時代のあなたのことは知られていても、思春期以降は、両親に隠している部分も多くありますよね?
そんな両親に秘密にしている部分ですら、パートナーには知られてしまうわけですから、両親以上に親密な関係性になっていくともいえます。

もちろんパートナーも、最初から両親よりも近い存在というわけではありません。
付き合い始めの頃などは、お互い良くみられたいと思いますから、隠し事もいっぱいあります。
でも、どんどんと関りが深くなってくると、つまり、幼い頃の両親との距離感に近づいてくると、親との間にあった不平不満が顔を出しはじめたり、親がやってくれたようなことをパートナーに望んだりするようになります。

これが、「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」問題の始まりになるのです。

 

◆お母さん(お父さん)は、私の願いを叶えてくれたという場合と、願いを叶えてくれなかった場合は同じように現れる

女性の場合を例にとって解説しますね。仮にA子さんとしましょう。
お父さんは、A子さんのことをとても大切にしてくれました。
悪いことをすれば叱られますが、A子さんが欲しいというものは、可能な限り与えてくれましたし、行きたい場所へも、可能な限り連れて行ってくれました。
落ち込んでいれば、抱きしめてくれたし、熱が出れば、看病もしてくれました。

そうすると、A子さんにとって親密な男性は、「私の全てを満たしてくれる人」ということになります。
これが基準になるので、大人になって彼ができたときに、お父さんと同じようにしてくれることを彼に望んでしまいます。

彼との関係性が親子よりも近くなってくればなってくるほど、お父さんと同じようにと望む気持ちが強くなってきてしまうのです。
彼にだって都合があることや、彼には彼の価値観があることを、うっかり忘れてしまうわけですね。

では逆の場合、今度はB子さんということにしましょう。
B子さんのお父さんは、ほとんどB子さんをかまってくれることがなく、何か買ってほしいものがあっても、言い出せなかったし、行きたい場所へ連れて行ってくれるようなことはありませんでした。
落ち込んでいると、「そんなことくらいで落ち込むな!」と怒鳴られ、熱が出れば、「自己管理ができていない」と怒られました。

そうすると、B子さんは、親密な男性であるお父さんは、私の願いを叶えてくれない、私を大切にしてくれないという不満を持ちます。
もちろん大きく傷ついてしまいますしね。
その分、男性には期待しないように自立的になる可能性が高いですが、心の奥底に、お父さんへの「もっと、やさしくしてほしい」「もっと、大切にしてほしい」という期待を抱え込むことになります。
でも、その期待は心の奥底に押し込めていますし、期待しても叶わないのですから、表面上は諦めています。

そんなB子さんに彼ができて、どんどん親密になっていくと、お父さんがしてくれなかったこと、お父さんへの諦めた期待が彼に向って噴き出してしまいます。
そして、理想のお父さんのように愛してほしいと、彼に望んでしまうようになるのです。

例は、女性のお話しになりましたが、男性の場合も同じです。
パートナーは異性になることが多いですから、異性の親がどのように愛してくれたか?や、異性の親への不平不満が、パートナーへの欲求となってしまうのです。

 

◆大人と子どもではなく、大人同士という関係性

「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」問題のスタートは、親の愛し方や、親への不平不満ですが、あなたが欲しかったものや、あなたがもらっていたものは、子ども時代に欲しかったものなのです。
また、あなたは幼い子どもであり、自分には力がないと思っていた時代のことでもあります。

パートナーとの間で、「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」問題が出てきたときは、お互いに相手に親の愛し方を求めていないか?親への不平不満を、パートナーにぶつけていないか?を、少し冷静になってみてみる必要がありますね。

そして、今自分は大人であることも意識していきましょう。
親に望んでいたことの大半は、自分で満たすことができる望みではないでしょうか?
また、全てを自分で満たさなくとも、パートナーに自分の望むことを伝えることができるだけのコミュニケーションスキルは、身についているのではないでしょうか?

 

◆それだけ関係性が近くなったということなのかも?

今まで仲良くしていたのに、「私はあなたのお母さんじゃない!」「僕は君のお父さんじゃない!」問題が出てきたということは、もしかしたら、それだけ二人の仲が親密になって二人が近づいてきたからかもしれません。
付き合い初めに、このような問題はほとんど出てきませんからね。

パートナーとは、大人として親子よりも近しい関係性になっていきます。
大人になったあなたにとって、一番近くより親密な存在はパートナーです。
大人として、近しい人とどのように関わっていくのか?
どのように助け合っていくのか?を、考えるチャンスがやってきていると、捉えてみてくださいね。

簡単ですけれど、参考になりましたら幸いです。
ありがとうございました。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大門 昌代

恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より2冊出版。