人を判断していませんか?
「この人はこういう人だ」という決めつけることを、判断していると表現します。
判断してしまうと、その人の他の部分が見えなくなってしまいます。もしかしたら、判断している以外の素晴らしい要素を、その人がもっているかもしれないのに、見落としてしまうのです。
誰でも決めつけられるのは、気分がよくありませんから、判断する人に良い印象を持ちづらくなり、関係性が悪くなってしまうことが多くあるのです。
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「あの人は、理解してくれないに違いない」
「あの人に関わると、嫌味を言われるに違いない」
などのように、相手をよく知ろうとする前に、決めつけてしまうことを【判断】と言います。
一般的に使われている判断は、「物事を判断する」などのように、何かを見極めるという意味合いで使われることが多いですが、今回お話しするのは、「決めつけ」という意味合いでの【判断】についてです。
私たちには、心の防衛機能のようなものがどうやら備わっているらしく、決めつけることで、人と距離をとり、あまり関わらなくして、傷つかないようにすることがあります。
その決めつけが、【判断】なのです。
例えば、「男性はすぐに威張る」「女性はわがままだ」というように、誰かを性別で決めつけてしまったりすることもあります。
また、「普通は謝るのに、謝らないなんて普通じゃない人だ」「こんな時は、手土産を持参するものなに、手土産なしなんて常識外れな人だ」というように、自分にとっての「普通」や「常識」というもので、決めつけて【判断】することもあります。
昔出会った男性の中には、威張る人もいたのかもしれませんし、昔出会った女性の中には、わがままな人もいたのかもしれません。
でもそれは、その時出会った人がそうだったというだけで、今目の前にいる人とは別人であり、今目の前にいる人は、そうではないかもしれないのです。
でも、【判断】してしまっていると、また昔と同じ経験をして傷つきたくはありませんから、距離をとり、関わらないようにしようとします。
この態度、相手からするとどう映るでしょうか?
威張ってもいないし、わがままを言っているわけでもない。ましてや、あなたを傷つけているわけでもないのに、よそよそしくされてしまうのですから、感じが悪いのです。
感じが悪い人とと、お近づきになりたい人は、ほとんどいないでしょうから、関係性は悪くなってしまいます。
他にも、判断していると関係性をこじらせてしまう様々な問題が出てきます。
「男性はすぐに威張る」と決めつけていると、男性が威張っているようにしか見えなくなってしまい、男性のやさしさや、心遣いに気付かなくなってしまいます。
「女性はわがままだ」と決めつけていると、女性がわがままなようにしか見えなくなってしまい、女性のやさしさや、心遣いに気付かなくなってしまいます。
目の前にいる人は、やさしく、心遣いができる人なのかもしれないのですが、その部分にまったく気づけなくなってしまうのです。
「普通は謝るのに、謝らないなんて普通じゃない」と、自分にとっての普通という基準で判断してしまうと、その人が謝らない理由を知ろうとしません。
もしかしたら、何かそこに誤解があって、その人は謝る必要はないのかもしれないのですし、謝れない理由があるのかもしれないのです。
「こんな時は、手土産を持参するものなに、手土産なしなんて常識外れな人だ」と、自分にとっての常識という基準で判断してしまうと、その人の事情を無視することになってしまいます。
もしかしたら、その人は手土産を持参することが、かえって失礼にあたると考えているのかもしれませんし、電車の中に準備した手土産を忘れてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいなのかもしれません。
人には事情というものがありますし、人によって常識や普通という基準は違うのです。
それぞれが持っている常識や普通を、受け入れ、すり合わせていくことで、人間関係は良好にしていくことができます。
また、【判断】していると、自分の世界が狭くなってしまいます。
決めつけたものしか見えないような状態になってしまうので、新しい発見には、なかなか出会えません。
もしかしたら、手土産を持参しないあの人は、とってもやさしく思いやりのある人なのかもしれないのですが、そのことが見えないので、人に対する新たな発見ができないのです。
決めつけて【判断】してしまっていることは、意外と多くあるものです。
そのことに気付かないでいると、人との関係性を悪化させ、こじらせてしまいます。
【判断】していることに気付いたら、「他の見方はないだろうか?」「目の前のこの人を知ってみよう」と、意識してみるといいかもしれませんね。
>>>『人との関係をこじらせるやっかいなもの(2)~強すぎる不信感~』へ続く