フラれてしまった彼(女)と縁を戻したいのですが、何とかなりませんか?

相手を自由にしてあげられるほど愛することができたなら・・・

大好きな人との関係性が切れてしまうのは、とても辛いものです。「復縁したいのですが」と相談すると、カウンセラーは「手放しましょう」と言います。いったん関係性が切れてしまうと、やり直すにしてもそのままではうまくいきません。これまでのお相手への期待を手放さないと、新しい関係性を作れないのです。あなたが、相手を自由にしてあげられるほど愛することができたなら、あなたの与える力も受け取る力もぐーんとバージョンアップしますから、ステージが変わります。その時、相手が本当に真実の人ならば、やり直すチャンスが巡ってきます。

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別れてしまったけれど復縁したい、というご相談はとても多いです。

大好きな人との関係性が切れてしまうのは、とても辛いものです。どうしてあそこでこんな事を言ってしまったのか、あんな態度をとってしまったのだろう、と心の中で自分を蹴飛ばしては、今からでもできることがあるなら、何でもするからやり直せないものだろうか、と思います。

おつき合いをしている最中は、つい「本当に愛しているなら、〇〇してくれるんじゃないかしら?」と思い、あなたの期待通りにしてくれない相手に対して「早くLINEの返事をちょーだい!」「どうして私が髪を切ったことに気づいてくれないの?」などなど、注文が多くなりがちです。

これは、最初のロマンスの時期に、あなたに恋をして、あなたを素晴らしい人として扱ってくれた「彼」を、「理想のパパ」か「スーパーマン」のように思って期待が膨らんだ分、その通りにしてくれないと「私のことを愛していないのかしら?」と不安になるからなのです。

私たちは、恋愛をして、誰かと心理的な距離が縮まると、心の奥底に隠していた子供の頃にため込んだ感情が出て来ます。心理的な距離が近づけば近づくほど、昔、親子関係で満たされなかったニーズを、パートナーに満たしてもらえるのではないかと無自覚に期待してしまうのです。そして、相手が期待通りにしてくれないと愛を失ったように感じて不安になり、怒りっぽくなります。

相手は相手で同じようにあなたを「理想のママ」か「聖母マリアさま」のように思うと甘えが出てきますから、お互いにガッカリして、恋愛初期に「最高の相手に出会えた!」と盛り上がった分、ガッカリの度合いが大きいなんてことになります。

そんな、お互いに期待してはガッカリするというパターンを何度か繰り返して、「もういいわ!」とどちらかがあきらめて別れ話になり、やっと、「私が期待した通りのものではなかったけれど、そこに愛も優しさもあったじゃない!」と気づけるというのは、恋愛よくアルアル、です。

そうすると、あのロマンスの甘い関係性を壊しちゃったのは自分ではないか、自分が女性として(あるいは男性として)不十分だったから大事なものを失ってしまったのではないかと、強い罪悪感や無価値感に襲われると、いてもたってもいられない気持ちになりますね。

「何とか復縁できませんか?」
「今からでもできることがあれば、何でもやります」
「私、彼(女)でなければダメなんです」

と思います。私もそういう気持ちになったこと、何度もあります。

「復縁したいのですが」と相談すると、大概、「まず、手放しですよ」とカウンセラーは言います、ね。

私も、何度も、何度も、何度も、そんな気持ちを手放してきました。あまりにも何度も手放しているので、今は「これはキツイわ」とは思いますが、もう、「だから一生幸せになれない」とは思いません。でも、最初に離婚したときの「手放し」は「人生が終わる」のではないかと感じました。私にとっては「清水の舞台から飛び降りる」ような体験でした。

「手放す」ときに感じる残念さ、惨めさ、悲しみは、とても大きいので、どうしても「復縁」という希望を握りしめていたい、「断念したくない」と思うのです。でも、残念ながら、これは執着です。

いったん関係性が拗れて別れてしまったとすれば、同じ人とやり直すにしても、同じ関係性ではうまくいきません。なので、これまでの、あなたの彼(女)への期待を手放さないと、新しい関係性を作れないのです。

「復縁」したければ、「復縁したい」を手放して!そんな元も子もないアドバイスになりますが、ちゃんと理屈は通ります。

パートナーシップが、真っ白なキャンバスに、二人で絵を描くような作業だと思ってみましょう。嬉しいことや楽しいこともあったけれど、最後に辛いことや悲しいこと、腹立たしいこともいっぱい描いたとすると、絵を描いた体験の後味はあまりいいものではありません。

もう描き続けたくないから、真っ白なキャンバスから始めたい、と相手は言い出したのです。

「復縁したい」と思うならば、あなたの心のキャンバスをいったん真っ白にしたいわけです。おつきあいを始める前の、お互いに自由に相手を見ていた頃の二人にいったん戻りたいのです。それが、相手の希望に一番叶うあり方なのです。

だから、いったん相手を完全に自由にしてあげる必要があります。とても勇気がいります。「復縁したい」気持ちも、ご破算にします。すべて「相手次第でいいよ」、ということなんです。「真っ白なキャンパスが欲しい」と言っている相手に、「真っ白なキャンバス」を差し出す勇気が求められているのです。

言い方を変えれば、「そんな見返りを期待しない愛し方ができるほど、彼(女)を愛せますか?」ということでもあるんです。

あなたがそこまで彼(女)を愛せたら、そして、相手を自由にしてあげることができたなら、関係性のステージが変わります。あなたの与える力も受け取る力もぐーんとバージョンアップしますから。

彼(女)は、新しい出会いがあって、他の人とおつきあいをするかもしれません。でも、ほどなくして、あなたと彼(女)がつまずいた、期待とガッカリのパターンに直面します。その時、あなたが彼(女)を手放せた度合いだけ、彼(女)のあなたに対する印象はいいので、「色々あったけれど、そんなに悪くなかったな、あのおつきあいも」と思えるのです。あなたとの楽しかった思い出も蘇ってきます。

その頃、彼(女)からご機嫌伺いのメールや電話が入ることは多いです。

ここで、喜び勇んで飛びつかないこと、です。今のパートナーとの間の悩み事を持ち出されることもあるでしょう。でも、友人として、親切に相談に応じるにとどめましょう。この段階では、まだ、お互いに手放しが完了していません。

そんなことが何回かあるうちに、彼(女)のあなたへの信頼が回復してきて、別れる前のいざこざを許せるようになります。

しばらくするとお友達と一緒に会って、楽しく過ごす、ということもできるようになるでしょう。お互いにとって、お互いが真実のパートナーならば、またお互いを選び直すチャンスがもう一度巡ってくることもあります。

ただ、本当に、ここまでしっかり手放しができると、人として成熟するので、前の恋人が子供っぽく見えますし、もっと素敵な新しい恋人候補が現れることもあって、必ずしも、もう一度同じ人とやり直そうと思わなくなることが多いようです。

その場合でも、とてもいい友人同士になれるので、チャレンジのし甲斐は間違いなくあります。

今、後悔と自己攻撃で悲しいばかりだとしても、もう一度人生を楽しく生きるチャンスは、あなたの手の中にあります。勇気を見つけられたら、私たちに応援させてくださいね。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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