「しっかりした人」と言われるけれど、実は臆病な私 ~過剰な自意識が生む問題とその処方箋~

自意識の罠から抜け出す鍵は、自分以外のものに興味を持つこと

『人からはしっかりしてると言われますが、実は私、とっても臆病なんです。なかなか物事決められないこともあるし、つい人の目を気にしてしまうんです。
人からアテにされたり評価されることも多いのですが、実はそれが毎日の息苦しさなんです。つい、そんなに私はできる人じゃないのに、と思ってしまいます。でもそう口にすれば人には嫌味だと捉えられてしまいそうで、怖くて「辛い」と言い出せません。』

そういったお悩みが元で、恋愛がうまくいかない、仕事でつい息苦しさを感じてしまう、他人や家族の期待が重すぎていい関係が作ればない・・・そういったご相談をいただくことがあります。

実はこういった問題には「自意識」が影響していることが多いのですね。今回の心理学講座はこの「自意識」のお話を書かせていただこうと思います。

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人からは「しっかりした人」と言われるけれど、実は臆病な私。でも人にどう思われるかを気にして「無理」「怖い」と言えない。だからいつも頑張りすぎたり、人から頼られても断れなくて、疲れ果ててしまう。

こういったご相談をいただくことは実はと多い・・・と書きますと、意外に思われるでしょうか?

それぐらい「普段は見えない人の内面」があるのかもしれません。もしかするとあなた自身やあなたの周りの人の中に、同じように悩んでいる方がいらっしゃるかもしれませんね。

今回の心理学講座では、こういった問題がどうして起きるのかを「自意識」というキーワードからお話してみたいと思います。

まず、「自意識」とは、その文字のごとく「自分という存在に対してもつ意識」のことを指します。「自分と他の人とはその存在として違うものだ」と考える自分が自意識です。

この自意識は誰しも多かれ少なかれもっているものです。つまり、そもそも自意識自体が悪いという意味ではないのですね。

ただし、私達の学ぶ心理学では「自意識」を強めすぎてしまうと、必要以上に怖れが強まり、臆病になったり、時には用心深くなりすぎてしまう、と考えられています。

つい、人の目を気にしすぎたり、自分の中で人との比較を強めたり・・・。

その結果、必要以上に頑張りすぎてしまったり、時には、自分の言動を人に誤解されたり、自分としては望まない「印象」を相手に伝えてしまう場合があります。

私達の自意識が強まっている状態は、まるで「自分が間違いを侵さないように徹底的に自分を監視しているような状態」とも言えます。

その結果、ネガティヴな意味での「自立」が強まります。ここでの自立とは「自分自身の気持ち・感情」や「人とのつながり」を断絶する、という意味です。

だから、相手の気持がいまいちピンとこないこともあれば、自分がいったいどうしたいのかがよくわからないと感じることもあるかもしれません。

また、自意識が過剰になっていると、つい、人と自分を比べすぎたり、頑張りすぎてしまうことがおきやすくなります。ただ、ここでの「頑張り」、実は「人に認められたい」「人と関わりたい」「対等さを得たい」といった目的を持っていることが多いのですね。

これを心理学では補償行為と呼びます。どこか自意識が過剰になっている分、努力して人に受け入れてもらいたいと自分の至らない部分を埋め合わせようと努力するようになるのです。

しかし、この自意識が強まっている状態では、「自分をオープンにして人と関わろう」とすることが難しいので、結果的に「努力している自分が評価されている」「本当の私を知られたら嫌われる」という思いが残りやすく、その内面では強い不安が残るのです。

もしあなたが、その内面の不安が強いのに、人から「しっかりしているね」と言われるのであれば、自分が自立して一人で頑張る時間が長かったので、「自分の意見・軸がしっかりしている」ように人から見られていた、ということかもしれません。

だから、あなたが自立を強めて努力すればするほど、何故かそのあなたに依存する人が出てくるのです。周囲からは「あなたはしっかりしている、頼れる」と見えるからですね。

たしかにこういった努力を積み重ねると、いいも悪いもなくあなたの自力はつきますから、あなた自身がしっかりしていることに違いはないのかもしれません。が、自分の内面の感覚との不一致が起きるだけ、息苦しさや不安が募ってしまうこともよくある話です。

そんなときは、過剰になってしまっている自意識をどう手放すか?を実践することで、自分らしさを取り戻せたり、息苦しさや不安を感じる毎日を変えていくことができます。

この自意識の問題を乗り越えていくには、「自分以外のものに興味・関心を持つこと」がポイントになります。

自分の人生を楽しく生きることや、他の人やモノの存在に興味を向けることです。

できるできないは横において、自分がどう毎日を過ごしたいのか?を考えてみること。
自分の周囲にあるものに意識を向けること。
興味を持てる趣味や人とともに過ごすこと。
人の気持ちに興味関心を持つこと。

どこか「自分以外のもの」に興味を持ちはじめると、自意識から抜け出すことができるようになります。特に、他の人の気持ちに反応し、自分から応えることができるようになると、不安が手放せ、気持ちも楽になります。

更に「自分が人に反応し、与えたことが相手の喜びにつながっている」という実感が積み重なると、自信を感じられたり、気持ちの面での開放感が感じられるようにもなります。

少なくとも、自分は周囲からどう見られているだろうと意識して行動していると、どれだけ頑張っても、その内面の感覚が変わらず、自信を感じられないことが多いようです。ここが苦しいところといいますか、疲れ果てる理由になるようです。

ただし、自意識を手放すといっても、先に書きましたように、自意識そのものが悪いわけではないのです。どうか、どこか自意識が強まっている自分を必要以上に否定的に捉えないでいただきたいな、とも僕は願っています。そこにはきっとそれなりの事情があるはずですから。

また、強い自意識を持つ事情として、強い劣等感コンプレックスや、今も記憶として色濃く残る未処理の感情が存在する場合もあります。その場合は、焦らずゆっくり自分を向き合ったり、その時点から信頼できる人に相談するといった状態を作るほうがより安全かもしれませんね。

繰り返しになりますが、過剰な自意識から抜け出す鍵は、自分以外のものに興味を持つこと、人とのつながりを持つことです。自分が人からどう見られているかを意識することとは違うことがポイントです。

何か参考にしていただければ幸いです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。