実績の無さからくる無力感

F_Rさんは、カウンセリングサービスのサイトを読んでくださったんですね。記事を
読み、ご自分の過去を振り返る中で、物事を前向きに捉えられるようになったとのこ
と、大きな変化ですね、すごいと思います！

この変化は、F_Rさん自身の力で起こしたものです。人間、つらい過去に向き合うの
には勇気がいります。F_Rさんは、無意識にか、意識してか、どちらかはわかりませ
んが、この勇気を持てたということです。そんなF_Rさんなら、人生にさらなる変化
を起こしていくこともできると思います。大丈夫ですよ！

でも、F_Rさん自身は、一歩踏み出そうとしても、今までの失敗を考えると、なかな
か前に進めない、というお気持ちのようですね。

そういうお気持ちになること、よくわかります。私自身、どちらかというと、人生転
びそうになりながらなんとかやってきた、というタイプで、崖っぷちに追いつめられ
た時もありました。その時には、何をやってもだめなように感じていました。

絶望感に押しつぶされそうな時もあるかもしれませんが、そこから抜け出すことはで
きると思いますよ。

それでは、F_Rさんが、今いるところから一歩を踏み出すためにできることを、一緒
に考えていきたいと思います。

○「失敗」の捉え方～自分を責め過ぎないように～

物事がうまくいかないことを私たちは「失敗」と呼びますよね。そして、自分に関わ
る「失敗」については、どうしても自分を責めてしまいがちです。「自分がちゃんと
していなかったから」「自分に能力がなかったから」などなど、自分を責めようと思
えば、理由はいくらでも見つかるものです。

でも、少し距離をとって物事を眺めてみると、「失敗」にはもっと複雑にからみあう
事情があることが見えると思います。

例えば、交通事故を例に考えてみましょう。見通しの悪い交差点で、車が歩行者に接
触し、歩行者がけがをしたとします。車の運転手か、歩行者か、どちらかがもう少し
注意していたら避けられたことかもしれません。あるいは、そこが見通しのよい場所
であったなら、運転手も歩行者もぼーっとしてても、事故は起こらなかったかもしれ
ません。交通法規では運転手の過失とみなされますが、実際の要因はひとつだけでは
ないわけです。

さらに、ではなぜ運転手は、歩行者はその時注意が足りなかったのか？と考えてみる
と、体調が悪かったのかもしれませんし、心配ごとがあったのかもしれません。体調
が悪いのはどうしてだったか、心配事は誰のせいか・・・などと、犯人捜しをしてみ
ても、同じ発想でずっと考えていくと、終点には行きつくことがありません。

つきつめると、犯人はいないのです。社会の秩序を保つという部分では、もちろん運
転手は責任をとらないといけないのですが、それとは別の側面もあるのです。

ですから、F_Rさんも、これまでの「失敗」について、ご自分を責めすぎないように
してくださいね。自分を少し責めてしまうのは、人間仕方ないですが、責めすぎると
自分が苦しくなり、余裕がなくなり、他の物事もうまくいかなくなるという悪循環を
起こします。「犯人はいない」と思っていただければと思います。

○F_Rさんの持っているもの

F_Rさんは、「実績がない」自分は、「何にもない」、という感覚かもしれません
が、私から見ると、F_Rさんの持っている「いいもの」がたくさん見えます。

まず、人間どんな学歴であってもかわまないと思いますが、それでも高卒は立派な学
歴です。それから、文面からF_Rさんが一生懸命人生に立ち向かっている姿が見え、
そこには誠実さを感じます。熱中できる趣味も持っておられるんですね。趣味の場で
は女性が惚れるほどのかっこよさを発揮しているようで、すてきだなあと思います。

最初の方にも書いたように、「自分と向かい合う勇気」も持ってらっしゃいます。

そして何と言っても、積み上げてきた「経験」があります。F_Rさんご自身は「失敗
ばかり」で、「実績がない」と思われているようですが、「失敗ばかり」だって、立
派な経験であり、実績です。F_Rさんの身に起こった様々な出来事を通してしか見え
ないものが必ずあります。それを大切にしてください。ご自分の過去を「よくないも
の」として扱うのではなく、「財産」だと思っていただけたら、と思います。

もちろん、急にそんなふうには思えないかも知れません。まずは、「この経験が財産
になるといいな」というぐらいでも結構ですので、そんな方向で意識してみること
が、F_Rさんのこれからを照らす光になると思います。

○コミットメントからスタートする

F_Rさんのこれからをより良いものにしていくために、具体的にアプローチしていく
方法をご提案したいと思います。

「コミットメント」とは、「腹をくくること」です。コミットすることで、迷いがな
くなり、本当に大切なことが見えたり、自分の行動を決めて動き出すことができま
す。

ではF_Rさんの場合は、どんなコミットメントがあり得るのでしょうか？

まず大切なのではないかな、と思うことは、「自分の過去を受け入れる」というコ
ミットメントです。失敗に感じられる経験がたくさんあるかもしれませんが、これが
オレだ、といい意味で開き直ることができたら、男が上がりますよ！

「失敗ばかりの過去を隠したい」、と思っている人を見たら、F_Rさんはどう感じる
でしょうか？また、「失敗ばかりだけど、それがオレだ」と、あけっぴろげな人を見
たら、どう感じるでしょうか？明らかに、後者の方がオトコマエではないでしょう
か。

「うまくいかなかったことはいろいろあるけど、これがオレのオリジナルな人生だ、
自分で受け入れるぞ！」
例えばこんなふうなコミットメントもいいのではないかと思います。

また、こんなコミットメントはどうでしょうか。
「無理・無駄・手遅れ、と思っても、できることからやる！」

「やる」と「やらない」は、やっぱり大違いです。無理する必要はありませんが、実
際にできるのであれば、もう無駄でもなんでもいいからやってみると、想定外にいい
ことを引き寄せたりします。

それから、ご相談の文章の中で気になった部分があります。「様々な期待や立場から
逃げてきた」とありますよね。周りから期待されたり、何かの立場を与えられそう
だったということでしょうか？だとしたら、F_Rさんは周りから期待されるだけのも
のを持っている、ということだと思います。

今後そういう機会があったら、「逃げない」ということを意識してみてはどうでしょ
う。「これからはできれば逃げない」というぐらいの、ゆるやかなコミットメントで
もけっこうですので。

それでも逃げたくなったとしたら、そこにはそれなりの事情があると思いますし、ど
うして逃げたくなるのか？という部分を考えていくことが必要かも知れませんね。

コミットメントは、何度もするものだと言われています。コミットして、行動して、
コミットして、行動して、の繰り返しです。行動がコミットメントどおりにいかなく
てもかまいません。またコミットすればいいだけのことです。

最終的には自分で決めてこそのコミットメントですので、ご自分にとってピンとくる
ものをひとつ考えてみていただけたらと思います。よかったらチャレンジしてみてく
ださい。

３４歳のF_Rさん。私は、以前よりも前向きで生き生きしている今のF_Rさんを感じま
す。そして、今後さらに生き生きするであろうF_Rさんの姿も想像しています。

応援していますね。
ご相談ありがとうございました。