夫の本心

相談者名
あこ
結婚7年目になる夫がいます。
夫との会話と言えばほとんど子供の話、それも私から子供達の報告です。相談をすれば乗ってくれるし子供の面倒も見てくれるよき夫ですが、会社の話はもちろん何を考えているのか全く話してくれません。
無口と言うわけではないのですが、昔両親の不倫や離婚など辛い経験をして心を閉ざし、誰にも本心を話さなくなりました。
ケンカすると私に対して不満があるようなことを言われるの(それでもあまり話さず我慢してる様子)で、爆発する前に発散して欲しいのですが。
本心を話さない夫と暮らしていると、彼にとって私はいったい何なんだろう?とむなしくなります。
カウンセラー
三島桃子
あこさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよろ
しくお願いいたします。

なるほど、そうですよね、夫という、一番自分に近い存在である人が心を開いてくれ
ないとしたら、「私の存在って何?」と感じてしまうのも無理はないですよね。寂し
くなったり、空しくなったり、悲しくなったりするのが当たり前だと思います。

人は本来、自分に近い人には心を開くものです。お互いに心を開けば親密感やつな
がっている感覚を持てるし、安心できるのです。ですから、あこさんの気持ちは当然
と言えば当然なのですよね。

ここで、視点をご主人に移してみましょう。

ご主人は過去の事情もあり、誰にも本音を言わない、心を開かない、という状況のよ
うです。ただ、ご主人の側からすると、一番近い存在である奥さんには、ご主人なり
に心を開いているつもりかもしれません。

そもそも、男性は女性に比べるとあまり心をオープンにしないものですし、「夫が何
を考えているかわからない」という不満を持つ奥さんはけっこう多いのですが、男性
側にそのあたり確認してみると、「自分の奥さんに心を開いていないわけがない。心
を本当に閉じていれば、一緒になんて暮らさない」などと、非常に心外な様子でおっ
しゃいます。

ただ、あこさんのご主人のように、過去の出来事で傷ついた経験がある人は、一般的
な男性以上に心をオープンにできていないということはあるでしょう。とすれば、あ
こさんの奥さんとしてのやるせなさも、やはり大きくなりますよね。

こういう場合、どうすればいいのでしょうか?

まずは、「これでもこの人にとっては、奥さんである私が世界で一番心を開くことの
できる存在なのだ」ということを知識として知っておいてください。そして、自信を
持ってください。「この人にとって、私はとても大切な存在なのだ」と。

その上で、「その私にさえ本音をほとんど言えないとしたら、この人は本当に傷つい
ているんだな」ということを受け止めてみてください。

人は深く傷つくと、心の中の時間が止まるようなところがあります。たとえば、3歳
ぐらいで深く傷ついた経験があると、心の中に3歳のままの自分が残ってしまうよう
な感じになるのです。もちろん、年相応に成長していく部分もあるのですが、傷が癒
えないとこの3歳の部分というのが残ってしまいます。自分でもわかりませんけど
ね。

そして、たとえば仕事をするにしても、どこかで3歳の子ががまんして通勤するよう
な感じになるのです。本人も気が付かないことですが、ものすごくストレスを抱える
であろう、ということは想像がつきますよね。3歳の子ががんばるわけですから。

あこさんのご主人の場合は、何歳ぐらいの子どもがご主人の中にいるような感じがし
ますか?直感で考えていただければ、大体当たると思います。もし10歳ぐらいだと
したら、10歳の少年が大人の男として仕事をし、家庭では夫、父親として生きてい
るとしたら、なんだかえらいな~って思いませんか?

ご主人の中の少年を、愛おしいな、よくがんばっているな、と、優しくねぎらうよう
な気持ちで見てあげることができるでしょうか?

これができると、ご主人に対する不満が少し小さくなると思います。

そしてできれば、時々、ご主人の中の少年に話しかけるような感じで、「よくがん
ばってるよね~」とか、「いつもありがとう」というような言葉をかけてあげられる
といいと思います。ご主人が嫌がらないようなら、たまにはヨシヨシという感じで頭
とかなでてあげてもいいと思いますよ。ご主人はきょとんとするかもしれませんが、
案外内心嬉しく感じたりするものです。ただ、プライドが傷つくように感じる方もい
ますので、そのあたりはあこさんのご主人の場合はどうか考えてみてくださいね。

あこさんの方が、このような感じでご主人に対する感覚を変えることができると、不
思議なのですが、それがご主人に自然に伝わります。すると、ずっとひとりぼっちで
がんばっていたご主人の中の傷ついた少年が安心するのです。「やっと僕に気付いて
くれる人が現れた」と。安心するということは、満たされるということであり、傷が
癒えていくということでもあります。

傷が癒えると、この少年は自然に成長します。そして、段々とあこさんに対して心を
開くことができるようになってくると思います。

大切なことは、ご主人を変えようとは思わないことです。変えようと思うとコント
ロールになり、いい結果につながりません。

ご主人が変わることは期待せず、ただ、ご主人の中の傷ついた子どもを見てあげる、
愛してあげる、ということに心を向けてください。これができれば、たとえご主人が
変わらなくてもあこさん自身がラクになります。とりあえずそれだけでもいいや、ぐ
らいに思っておくことがミソ(笑)です。

それができたとき、「おや?」と思うようなことがおそらく起こってくると思いま
す。前はこんなこと言わなかったのにな、しなかったのにな、みたいなことが出てく
るでしょう。それがどんなことなのかはわかりませんが、期待せず、でも絶望せずに
いてください。

もし万一、ご主人の中の子どもを愛おしいと思ってあげられない感じがするようでし
たら、ご自分の中にも傷ついた子供がいないかチェックしてみてください。ご自分の
中にも傷ついた子供がいるようでしたら、ご主人のことよりも、まずはご自分のこと
にフォーカスしていった方がベターですので、その際はカウンセリングなどをご利用
してみてください。

ご相談ありがとうございました!

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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