息子がけがをさせてしまった相手の親との接し方

相談者名
りさ
初めまして。息子が休み時間に先にやられたのでやり返したところ同級生にけがをさせてしまい、怪我の具合が後遺症が残ってしまうという大変悲しい結果になりました。もちろん、息子は深く反省し、謝罪も何度もしています。こちらの対応は学校の先生方の指示に従っていたのですが、それに不満をもっておられ、息子の処分等にも納得しておられません。
行事等で学校で顔を合わせるたびにまた何か言われるのではないかと、常に不安で一杯です。
けがの状態からして怒りも腹立ちも最もだと思いますが、こちらとしては誠心誠意つくしており、今後どう接していけばよいのか毎日悩み続けています
カウンセラー
大門昌代
りささんはじめまして。大門と申します。よろしくお願いします。
息子さんが怪我をさせてしまった同級生の親御さんとの接し方について、とても悩んでおられるわけですね。
怪我をさせようと思ってやったことではないですが、息子さんが相手に怪我をさせてしまったことで、大変心を痛められているでしょうし、相手の親御さんの怒りも、同じ親として理解できるだけに、どうしていいかわからないとう状態なんでしょうね。
怪我の対応は、学校の先生方の指示にしたがって、誠心誠意されておられるわけですから、私からは心理面からのサポートをさせていただきますね。

相手に怪我をさせてしまったという時点で、息子さんや親であるりささんは、罪悪感を強く感じておられます。
罪悪感という感情について、少し説明させていただきますね。
「悪い事をしてしまった」「自分は悪い」「全部自分のせいだ」と感じ、「悪い自分は、罰せられなくてはならない」「悪い自分は、罪を償わなければならない」と感じるのが、罪悪感です。

一般的には、悪いことをしたら、罪を償わなくてはと思います。ですが、それが何かとても犠牲を払わなくてはいけないようにも感じます。そして犠牲を払うことは誰しも嫌なので、自分がやってしまったことを、正当化しようとする場合もあります。
こうなってしまったら、正しい正しくないとか、どちらが間違っているなどの争いに発展してしまうのですが、りささんの場合は、誠心誠意相手に謝罪して、罪を償おうとされているわけですから、自分を正当化するようなことはされておられません。
そのかわり、「とても悪い事をしたので、罪を償わなければならない」という思いが、強くなっています。
もちろん、悪い事をしたら誠心誠意謝罪することは、必要です。
償えるものであれば、償うことも必要です。
ですが、あまりに自分が悪いと強く感じすぎると、罪を償わなければならないという気持ちも、とても強くなってしまうのです。
そして、その思いが強くなればなるほど、「他の人もきっとそう思うだろう」と感じ、他の人から攻撃される怖れも感じるようになります。

>行事等で学校で顔を合わせるたびにまた何か言われるのではないかと、常に不安で一杯です。

という思いは、攻撃される怖れを感じておられるわけです。
それぐらい、息子さんが相手に怪我をさせてしまったということを、申し訳ないと深く感じ、自分を罰しなくてはいけないと感じておられるということです。

もしこのまま、自分を責める気持ちがどんどん強くなって、自己攻撃の容量がオーバーしてしまったら、自分へ向けていた攻撃性は、他の人へ向いてしまうようになります。
「こんなに誠心誠意謝っているのに、どうして許してくれないの!その態度は間違っている!」というような感じです。
誤解しないで下さいね。
りささんが、そう思っておられるというお話しではありません。
自分を責める気持ちが強くなりすぎて、自己攻撃の容量がオーバーしてしまったら、他の人を攻撃してしまうことがあるという一般的なお話しです。

また、罪悪感があると当然そこには近づきたくありませんし、とても居心地が悪いのが普通です。
ですから、相手の親御さんと顔を合わせるのがとても苦痛になってきます。
そうすると、どんどん学校から足が遠のいてしまい、相手の親御さんと出来るだけ顔を合わさないように避けるようにもなってしまいます。
そうなってしまったら、相手の親御さんからすると、「私達を避けるなんて!悪いと思っていないの!」という感じに写ってしまいます。
悪いと思っているからこそ、相手の顔を見れないわけですが、相手に新たな怒りを芽生えさせてしまう結果に発展してきます。
罪悪感が元で、どんどんと関係性が悪くなってしまうわけです。

そのようなことにならないために、りささん達親子は、罪悪感を癒す必要があるのです。
確かに相手に後遺症が残るぐらいの怪我をさせたことは、悪い事かもしれません。
でも、もう十分自分を責めたのではないでしょうか。
今からは、相手との関係性を悪くしない為にも、ご自身を許していく作業が必要なのです。
それは、息子さんも同じことです。

また、相手の親御さんも実は、罪悪感を感じておられるのです。
「うちの息子が先に手を出してしまった」=「悪い事をした」そう感じておられます。
先ほども書きましたが、罪悪感があると、自分を罰する気持ちが出てきて、その容量がオーバーすると、相手に攻撃性を向けてきます。
つまり、「うちの息子が先に手を出した」→「悪い事をした」→「責められる」→「身を守らなければ」という状況になり、腹立ちという形で攻撃してしまっているのです。
処分に納得されていないのも、そういうことではないかと思います。

罪悪感とは、罪の意識です。
「自分が悪い」と思っている気持ちを手放して、「自分は無罪である」と、書き換えてしまうことで、罪悪感を消していくことができます。
「でも、相手に怪我をさせたのは、自分の息子なのだから、自分も無罪ではない」と思われるかもしれませんが、りさんは、息子さんを罪人だと思いますか?有罪だと思いますか?
やりすぎてしまったのかもしれませんが、不可抗力だと思いませんか?
大怪我をさせようと思ってやったことではないのです。
ですから、息子さんの事はおそらく罪人だとは、思わないはずです。
にも関わらず、りささんは、罪悪感を今も感じ続け、ご自身を罪人として扱っておられます。

罪悪感を癒していくツールの一つに「許し」があります。
自分自身を許しましょう。
「やれるだけのことをやった」と、ご自身を許してあげるのです。
そして、「相手も悪い事をしたと感じているんだな、だからこそ攻撃的なんだな」と、相手の親御さんも許しましょう。

罪悪感を感じる→自分を責める→責めきれなくなって相手を責める→どんどん関係性が悪くなる
という罪悪感の悪いループにはまらないために、ご自身を許して罪悪感を消していきましょう。

具体的には、誠心誠意やれるだけのことをやったのか、もう一度チェックしてみましょう。
おそらく、様々な方法で誠意を尽くしてやっておられると思いますが、もしも何か謝れていない部分があるのであれば、誠意を込めて謝っておきましょう。
そして、やれるだけのことをやったら、自分を罪人として扱うのをやめましょう。
これ以上、罰を受ける必要はありません。
息子さんだって、学校の指示にしたがい処分を受けておられるのですから、もう罰を受ける必要はありません。
自分を許すことができたら、自分を責める気持ちがなくなっていきますから、相手から攻撃されるのではという怖れもなくなってきます。
そうすると、学校行事などで相手の親御さんに会ったとしても、今のような不安を感じることはなくなります。
相手の親御さんを、避ける必要がなくなるのです。
そして、相手の親御さんを「この人も、罪悪感で苦しんでいるのだな」という目で見てあげてください。
「あなたは悪くない」と、りささんと同じように、罪悪感で自分を罰している相手の親御さんを、りささんが許してあげる目で見てあげてください。
決して、相手の親御さんが、りささん達親子を攻撃してくる恐ろしい人だという目で見ないことがポイントです。

とても大変だと思います。自分を責める気持ちが治まらなかったり、罪悪感から抜け出せないようであれば、カウンセリングをご利用下さいね。
ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。