制限ある関係

こんにちは 平です。

私どもで、相変わらず多いご相談の一つが不倫に関するものです。

多くのみなさんは、こうおっしゃいます。
「好きになった人が結婚していただけなんです‥‥」

「出会いがもう少し速ければ、なんの問題もなかったのに‥‥」

まさにその通りなのですが、多くの人はこの不倫がもたらすいちばん大きな“損失”に関してご存じないようです。

損失?

そう、“損失”なのです。“制限された関係”といってもいいでしょう。

まず、彼(彼女)は結婚していて、家庭があることを知ったうえで、「それでも彼(彼女)とおつきあいしたい」というところから二人の関係はスタートします。

当初は、「あの人とつきあえるのなら、どんながまんでもする」と思っていたりします。すでにここで制限というものが出てくるわけですね。

たとえば、なかなか私の部屋に泊まっていってはくれないし、週末は家族のためにあるので、デートはできない。それはそれはもう、二人の関係は制限だらけ、がまんだらけになっているわけです。

やがて、歌にもあるように「せめて一度だけでいいから、週末にお泊まりデートをしたい」などと思うようになってきます。人の欲望というものはどんどん大きくなり、制限を外したくなったりするものなのです。当たり前のことなのですが。

そして、あなたは彼(彼女)に愛されるようにとものすごく大きな努力をしますし、“大きな愛”になろうともします。

が、しかし、カウンセラーとして客観的に見ていくと、「せっかくそれほどの努力をするなら、フリーの男性(女性)に向けてしたほうがいいのでは?」と思ってしまうわけです。そのほうが、未来ある関係を手に入られる可能性がぜんぜん大きいですからね。

でも、多くの人は、「彼(彼女)のためだからこそできるんです‥‥」とおっしゃいます。まるで「彼(彼女)以外に私を好きになってくれそうな人はいない」、そして、「私が好きになれる人は彼(彼女)以外にいない」というかんじで、ここでもものすごく制限された世界観が存在しています。

この制限された世界観というものは、大なり小なり、だれもがもっています。

ちなみに、あまりにも仕事が忙しく、自分のことに十分に時間がさけないとき、「ビールぐらい好きに飲ませろよ」と飲み過ぎてしまうようなことがありますが、これも制限のある暮らしにあることがその要因です。

同じように、自分がしている犠牲のすべてを補うぐらい、特定のだれかに対して、もしくは、特定のなにかに関しては、ものすごくわがままになったりすることもあります。そうやって、バランスを取ろうとするわけです。

そして、不倫の関係を見て私がよく思うことなのですが、そのものすごく制限された恋愛においては、多くの人が“情熱的な愛情”というものでそのバランスを取ろうとしています。

それは、1カ月前に仕事の依頼を受けていたにもかかわらず、29日間はほったらかしにしておき、最後の1日ですごい情熱をもって仕事を仕上げる人のパターンにもよく似ています。

違う見方をすれば、それだけの集中力と情熱を発揮するために、29日間が必要だともいえるわけです。

しかしながら、気づいていただきたいのは、あなたが情熱的になったり、自由になったりするために、制限を使う必要はまったくないということです。

たとえば、もしも、余命3カ月だと宣言されたとしたら、あなたはきゅうに自分に許可が下りたような気がして、したいことをしたり、行きたい場所に旅したりするかもしれません。

が、それはじつは「あなたがその気になりさえすれば、したいことはできるのですよ」ということなのです。

ひょっとして、不倫にハマる人の深層心理の中には、「まったく障害がない中で愛し愛される関係など存在するわけがない」という思いがあるのかもしれません。

さらに、自分が不倫をすることにより、「ほら、やっぱり、一人の女性を愛し抜く男なんかいるわけがない」ということを証明していることもしばしばあるようです。

「制限のない関係」。まずは、それを望むことからスタートしてみませんか。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。