待っていてばかりいても

こんにちは、平です。

日本人の恋愛には、だれかに見つけてもらいたいという“待ちの恋愛”が多いといわれます。

それはまるで、白馬に乗った王子様があなたを見初めてくれるようなもの。あなたはなにもしないのに、とても素敵な王子様があなたに恋をし、アプローチしてくれるという物語です。

王子様が積極的なタイプなら、それでもちろん、「めでたし」なのです。

しかし、日本の王子様もとい男性たちは、世界的に見てもシャイで内気ときています。とくに、昨今はやりの草食系男子に至っては、アプローチもままならないようなのです。

アメリカやヨーロッパの友人に恋愛のアプローチの話を聞いてみると、「なんで、そんなこと聞くの?」というような顔をされます。

気に入った人がいれば、男性ばかりじゃなく、女性からだってアプローチし、好意を表すのはあたりまえのことであるようなのです。

彼ら曰く、「だって、自分の気持ちを表現しなければ、なにも始まらないじゃない」。

それはもう、あたりまえのことを言われてしまうわけですが、日本ではこのあたりまえのことが、なかなか上手に進まない場合が多いわけです。

で、私は彼らに言うわけです。「日本ではね、セクシャル・ハラスメントっていうのがあるので、アプローチするのにもいろいろ気を遣うんだよね」。すると「われわれの国にだって、それは存在するよ」と言われます。

でも、たとえば、日本では「きみ、きれいだね」などと言い過ぎると、それがセクシャル・ハラスメントになるなどと話すと、「信じられない」という顔をされます。

男性であれ女性であれ、自分の好みではない人にアプローチされると、あまりいいかんじはしないかもしれません。でも、アプローチ程度なら、さほど大きな問題にはならないのではないでしょうか。

もちろん、何度も拒絶しているのに理解されないとか、いやがっているのに猛プッシュが止まらないとか、そういう場合は不快にもなるでしょうが、気持ちを示した程度で大問題になったという話は私は聞いたことがありません。

なのに、シャイで内気なタイプの人は、「そんなことをしたら、もう会社にいられなくなる」とか、ひどいケースでは、「もうこの会社を辞めなければいけない」とまで考えるようです。

ふつう、人が人を好きになるには、まずはおたがい、知り合うというプロセスがあります。メールや電話で会話したり、食事に行ったり、お酒を飲んだりといったことですね。

そして、そのなかで自分に合う人を見つけていくのですが、日本人にはここまでの段階がものすごく謙虚というか、意識しすぎてうまくいかないことがとても多いようです。

たとえば、男性の多くは、女性から「一度、食事に連れていってくださいよ」とか「飲みにいきましょうよ」と言われて不快だと思うことはないものです。

むしろ、相手の男性があなたのことを気に入っているのだとしたら、こんな会話をきっかけに、二人の関係性は深まっていくかもしれません。

実際、恋多きタイプの女性や、いつもボーイフレンドが途切れないという女性は、この種のコミュニケーションがとても上手です。

と、考えると、ひょっとして、恋愛においていちばん大事なのは、このアプローチの時点なのかもしれないのです。

英語で、「ハロー、アイ・ラブ・ユー」というのですが、これは、ただ「こんにちは」と挨拶する関係の相手に、いきなり「アイ・ラブ・ユー」という告白をしても成功しないということを意味します。もしくは、そんなコミュニケーションをしてしまうのはウブで無粋な男という蔑視をこめた表現として使われることもあります。

現状より一段階、近しい関係へと、いかにして築き上げていくのかがいちばんの問題かもしれませんね。

恋愛上手な女の子に聞いた話では、彼の趣味について、「ねえねえ、教えて!」とアプローチするのがいちばんうまくいくアプローチ法なのだとか。

たとえば、「ねえねえ、ガンダムってなんなの?」と聞いてみたとしたら、「おまえ、ガンダムも知らねぇのかよという言葉に始まって、3時間ぐらい熱く語ってくれるかもしれません。

実際、これがきっかけで、結婚したという人がいるのです。ただし、結婚後もずっとガンダムの先生なので、最近はだいぶウザイと思っているらしいですが‥‥。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。