文句の代わりにできること

こんにちは 平です。

私たちの心は、愛を感じていると幸せな気分になり、それ以外の感情を感じていると不快な気分になります。

ゆえに、心理療法の基本的な考え方においては、その中心に必ず“許し”があります。

“許せない思い”があると、私たちはそのだれかを憎み、攻撃しています。そして、その相手のことを愛することはけっしてありませんから、気分は不快で、幸せでいることはできません。

こんな言い方をすると、「なんで、あんなひどいことを私にした人を愛さねばならないの?」と思うことでしょう。

しかしながら、敵対とか攻撃といった復讐的な考え方においては、一方から見れば勝利であったとしても、もう一方から見れば敗けとなります。

その人が勝った側の人に大きな復讐心を感じ、攻撃性を増したりすると、けっして安心感を得ることはできません。

つまり、だれかを非難したり、攻撃したり、文句を言ったりする代わりに、なんらかの形でその人にギフトを与え、愛するということをしないかぎり、あなたの心はほんとうの意味での平和を達成できないようなのです。

私は個人的に4万人近くの人のカウンセリングを行ってきたわけですが、人は愛を止めてしまったとき、どうも、罪悪感を感じるようです。

もちろん、そう感じること自体が間違いなのですが、罪悪感があるがゆえ、どんなひどい目に遭ったとしても、あなたはなぜか、「ねえねえ、ぜったい私、悪くないよね」と確認したくなったりします。あなたはまったく悪くないのに、です。

そこで、ふだん、あなたが攻撃しているあの人に、きょうは文句の代わりにギフトを与えてあげてほしいわけです。

もちろん、これはあなたの心の中だけでけっこうです。

たとえば、口数が少なく、ガンコで、いつもイライラとしているおとうさんがいるとしましょう。あなたはそんなおとうさんが大嫌いで、いつも非難してきたのかもしれません。

長年、あなたはそのおとうさんに文句を言いつづけ、愛の扉を閉ざしています。が、きょうは、「なにがあれば、おとうさんはああはならなかったか」を考えてほしいのです。

たとえば、おとうさんの子ども時代の体験や、家庭環境なのかもしれませんね。

それは、自分の生まれる前のことで、自分には関係ないとあなたは思うかもしれません。でも、だれでもいいのです、彼が受け取ってこなかったものをあげる人は。

けっして笑うことをしないおとうさんに、あなたは“笑顔”というギフトをあげることができます。それは、あなたがおとうさんの前で、いつもにこやかに笑っているということです。

おとうさんのあのしかめ面の影響を受け、おとうさんの前にいるときはあなたもしかめ面になっています。でも、きょう、いつも笑顔のあなたでいるのです。

すると、おとうさんのほうがあなたの笑顔に引っぱられて、思わず笑ってしまうかもしれません。そんなあなたになることが、実はギフトかもしれないのです。

また、おとうさんには“やさしさ”というギフトを与えつづけましょう。

おとうさんが、あのしかめ面とイライラをあきらめるほどのやさしさを与えつづけるのです。もちろん、当初、彼は「なぜそんなことをしてくれるのか」と疑いつづけるでしょうが‥‥。

このように、あなたが文句を言う代わりに愛とギフトを与えつづけると、相手は変わるかもしれないし、変わらないかもしれません。

しかし、いずれにしても、あなたの気分は以前に比べると悪くないはずです。

「あいつのせいで、おれの人生は台無しだ」という考え方の代わりに、「なにがあって、あいつはこうなってしまったのだろう。だれも彼を愛してあげなかったのか?」と考えるうちに、慈愛が満ちてきます。

よろしければ、一度、お試しあれ。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。