ときには距離をとることが愛情のこともあります~優しすぎる「あなた」を守るために~

人の痛みがわかると「助けたい」気持ちが強くなりすぎることがあります。

自分の気持ちを抑えてまで相手のニーズを見たそうと頑張りすぎると、相手はあなたに「わかってもらえる」と期待した分、あなたが思い通りにしてくれないと傷ついて、あなたを攻撃することもあるでしょう。こんなときは、心理的な距離が近すぎるのかもしれません。

人の痛みがわかるということは、自分も同じ痛みを抱えている(た)ということに他なりません。それを忘れてムリをするとお互いの無価値感を強化しあう共依存の罠にはまりやすくなります。罪悪感や無価値感が強いときは、自分も他人もなかなか「信頼」できません。

だからこそ、「助けたい」人がいるときほど人を「信頼」して、率先して「助け」を求め、安心できる人たちとつながることが大事になります。自分の力を信じられない「相手」の分まで、「相手」の力を「信頼」して、適切な距離をとることが相手の力を引き出すことにつながります。

◎リクエストを頂きました◎
===================================
罪悪感や無価値感に苦しんでいる人がいると、自分も同じように辛かったことを思い出してその気持ちを聞いて助けたいと思うのですが、そのうちに「もっと褒めて」「本当は認めていないのではないか」と試すようなことを繰り返し言われ、拒絶されたと思うと激しく攻撃されます。このような人とどう付き合ったらいいのでしょうか。
===================================

リクエストをありがとうございます。今日は、つい相手から依存されてしまいがちな人の心の持ち方について考えてみます。

● 優しさが相手の「甘え」を引き出す

自分が他人に理解されずに孤独感に苛まれた経験があると、つい人とうまく関われずに分離感を感じている人が気になります。そんな時に気持ちをわかってもらえることが、どれほど励みになるかわかっているだけに「助けたい」という気持ちが募ります。それは、自分と同じ痛みをもつ人への「優しさ」であり、そのような温かい気持ちを持てることは、言うまでもなく素晴らしいことです。

ただ、その相手があまりにも深く傷ついているときは、その温かい気遣いが、それまでその人が我慢してきた「わかってほしい」、「甘えたい」という欲求(ニーズ)を刺激してしまい、堰を切ったようにあなたに向かって「甘え」が噴き出すことがあります。その人が心許せる人が少ないと、「甘え」は集中的に「わかってくれそうな」人に向かうので、「助けたい」と手をさしのべたものの、あまりにも依存されて疲れ果ててしまいそうです。

その相手にしても、あなたの「優しい」言葉を信じたい気持ちでいっぱいなのだけれど、もし違っていたら傷つきそうで怖くて、ついあなたを試すようなことを繰り返してしまいます。「信じたいのに信じられない」のがこの人に辛さで、あなたに期待するがゆえにあなたの「優しさ」を試すようなことをするのですが、そのたびに相手の期待する対応ができないと怒られていては、どんなに「優しい」人でも消耗します。

「甘え」というのは、心の距離が近いほど出やすくなりますし、抑えが利かなくなります。一方的に甘えられて負担感が強いならば、心の距離が近くなりすぎているのかもしれません。

● まずは「自分」から助けよう

人の痛みを知る「優しい」人は、つい人を助けるためにムリをしがちです。しかし、「助けてほしい」気持ちがわかるのは、自分の中にも「助けてほしい」気持ちがあるからでしょう。自分も同じ気持ちをもっているからこそ、相手の気持ちが痛いほどわかるのです。

ところが「助けたい」気持ちが強すぎるとついそれを忘れてしまい、自分の気持ちを我慢してまで相手のニーズを満たそうとします。結果的に、相手はますます依存的になり、それが満たされないと「やっぱり自分はダメなのだ」と無価値感を強化しますし、もともと「助けたい」と思ったあなたも「やっぱり自分ではムリだ」と無価値感と罪悪感に苛まれます。残念ながら、これでは二人ともがお互いの無価値感を強化し合う、共依存の罠にからめとられてしまいます。

飛行機に乗ると、安全のための注意事項に「酸素マスクをしなければならないときは、隣に子供が座っていても、まず自分のマスクをつけてから子供がマスクをつけられるように手助けしましょう」と書かれています。自分の安全が確保されていれば、心のゆとりをもって人を助けることができるからです。

人の心の痛みに寄り添うときも同じで、自分の心の痛みに寄り添いながら、まずは自分が気持ちよくつきあえる人とつながることや安心できる場をもつことが大事です。

● 必要なのは「信頼」

罪悪感や無価値感が強いとき、私たちは自分も他人も「信頼」できなくなっています。自分で自分を助けられると思えないから他人に依存したくなるし、誰も「助けてくれない」と他人を責めたくなってしまいます。でも、どちらも真実ではありません。自分で自分を助けるためにできることは何かあるはずですし、期待通りではないかもしれないけれど、助けられるところは助けたいと思っている人はいます。

自分も他人も「信頼」できなくなっている人にこそ、その人の力を「信頼」してみてください。相手を「助ける」ときにムリをしてしまうのは、もしかしたら相手への「信頼」が足りないからなのかもしれません。でも、相手を「信頼」してあげることが、その人の本来持っている力を取り戻すきっかけになることは多いです。適度な距離をとって見守ることが「優しさ」である場合もありますね。

● 一人でやらなくてもいい

一人で助けようと思わないでください。相手が他人を「信頼」できないのなら、その分まで、あなたがまわりの人を「信頼」してください。この人の気持ちをわかる人が、他にもいることを「信頼」する気持ちがあると、適度な心理的距離をとれるようになるのではないでしょうか。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

みずがき ひろみ

感情や感覚といった女性性をフルに使い、心のブロックを外すカウンセリングが得意。「目からウロコが何枚も落ちる」と見方が変わることに定評がある。 深層心理に眠る「願い」を掘り起こす「癒し」を通して、人生の豊かさを受け取りたい人の、恋愛、ビジネスでの自己実現をパワフルにサポートしている。