親や教師に完璧を求めてしまう心理

親や先生を代表とする「権威」に対して、私たちは完璧を求め、不完全な部分を見つけるとそこに怒りを感じる場合があります。

その心理は、過去に権威に対して感じていた「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」と言った欲求(ニーズ)を満たしてもらえなかった思いが、今も心の中に未完了のまま残っているために起こります。
こんなにダメな自分を全て受け止め、欲求を満たしてくれるのは完璧な存在以外にはあり得ないという、自らの無価値感が元になっているのですが、それを感じることが苦しいので、相手が完璧でないことを責めることによって、自分の内面にある苦しみを回避しようとしているのです。
権威に対して完璧を求めないようになるためには、まず、この心理に気づくこと。
そして、ルーツである子供時代に満たされなかった欲求が、親や家族を助けるために「良い子」になって我慢していたという理由に気づくことです。
それは、無価値感の誤解を解き、自分の価値に気づくことのできるチャンスでもあります。

◎リクエストを頂きました◎
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親や先生などに対して完璧を望んでしまう心理を教えて下さい。

親や先生などもただの人間なのだから欠点やうまくできなくて当たり前のはずなのに それを許せず完璧な存在であってほしいと望んでしまいます。
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私たちは、思いの大小はあれど「権威」に対して完璧であることを望んでいます。

権威とは、親や先生を筆頭に、上司や先輩や経営者や所属している団体等のトップに感じるものです。

私たちは、わかってほしい、助けてほしい、愛してほしいという欲求を持っています。

親や先生などに完璧を求める時というのは、自覚していない場合の方が多いのですが、この欲求を満たしてほしいと願っていて、しかし、それが満たしてもらえない、受け入れてもらえないと思っている場合です。

そこには、自分は愛される価値がない、という無価値感があり、こんなにダメな自分を全て受け入れてもらうには相手が完璧でなければ無理だ、という思いがあります。

だから完璧を求めてしまうのですが、それだけでなく、この無価値感を感じるのは苦しすぎるので、相手が完璧でないことを責めることで、この苦しみを回避するための自己防衛にも使っているのです。

この心理は子供時代に満たされなかった思いが大人になった今になって再現されている場合が多いです。

 

私たちは子供時代、素直に欲求を感じ表現します。

お菓子屋さんの前で「おかし買って~!」と駄々をこね、その欲求が満たされないと道に寝転んで「買ってくれるまで動かない~!」と泣きわめいて親を困らせる。

そんな感じです。

しかし、こんな風に素直に駄々をこねることができるとは限りません。

子供ながらに我慢して、迷惑をかけないようにがんばっている場合も多いのです。

子供時代の我慢が大きくなる事例の一つが「良い子」を小さい時からずっとやってきた場合。

例えば、親が共働きで毎日忙しいとか、親の仲が悪くて仲裁役だったとか、兄弟に病弱の人や問題行動を起こす人がいたなどのケース。

こうした場合、無意識に「良い子」になって家族を助けようとしたりします。

すると、素直に欲求を感じ、表現することができず、我慢するようになります。

しかしそれは、子供には辛すぎるので、安らぎの場所を自らの心の中に作っていきます。

それが「理想の親」「理想の状況」です。

こんな風に親がいつも一緒にいてくれたら、仲が良かったら、わかってくれたら、愛してくれたら、きっと楽しくて安らいでいられる。

そこは素直に自分の欲求を感じ、表現することができる世界です。

こうした世界を作って逃げ込むのですね。

逃げるといっても、それは切実すぎるほどの苦しみや悲しみがあるからこそ。

自分を守るためにやむ得ず心がやることなのです。

それは自分を守るためだけでなく、家族を助けるために「良い子」になって我慢を続けるための方法でもあります。

あまりに健気で家族思いの愛情から来ているのですね。

理想の親や世界は、欲求を満たす代わりをしてくれるわけですが、実際に満たされるわけではありません。

ですから「こんな親がいてくれたらいいのに」という思いが強いほど、現実の親に対して「どうして甘えさせてくれないの!」という怒りが強くなり、けれどそれを表現するわけにもいかず、その思いを閉じ込めるためにますます「良い子」になっていったりするのです。

大人になってもこの思いは残ったままです。しかも自覚できていない場合がとても多い。

すると意識できるのは、親や先生や権威に対して完璧を求めて、不完全だと許せない、という思いで止まってしまうことが多いのです。

しかし、ここまで解説してきたように、その心理は欲求(ニーズ)の抑圧から来ているのですね。

 

では、どうしたら権威に対して完璧を求めなくなるのでしょう。

最初は、こうした自分の心理について気づきを持つこと。

今回の記事を元に自分なりに子供時代から今までの思いを整理してみてください。

大切なのは、その健気さ、がんばりと愛情の大きさを感じながらやることです。

そうでないと反省会になってしまう可能性があります。それでは正しい自分の心を知ることができません。

 

次に、弱音を吐く、助けを求める、手伝ってもらう、甘える、などの練習を積んでいくことです。

しかし、これはとても難しいこと。なにせ、長いこと我慢していますし、抑圧の度合いだけ解放したら爆発してしまうのではないか、と怖れも強くなります。

ですから、簡単なことから、また、相手はやりやすい人からやっていくことが大切です。

仕事で簡単なことを手伝ってもらう、荷物を持ってもらう。

食事の時にお店を決める時、自分の食べたい店にしてもらう、たまにはお茶をご馳走になる。

思っていることを信頼できる友達などに聞いてもらう時間を作る。

こうやって、我慢せず、弱音を吐いて、一人でやらずに誰かを頼ることを練習していくと、大元の欲求が減っていき、権威に完璧を求め、許せないという思いは減っていきます。

何より大切なのは、自分が我慢してきた理由は、親や家族のための愛情からやっていたことをいつも思い出すことです。

自分がどれほどがんばってきたのか、そして、どれほど愛情が大きいのかを意識すると、そんなに価値があるなら、少しくらいわがままを言ってもいいのかな、と思いやすくなります。

あなたには価値があります。それがとても大切なことなのです。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

池尾 昌紀

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。
「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。