恋のパターンを見てみよう~いつも女としてみてもらえないのはなぜ?~

よく伺う恋愛のパターンに「いつも女としてみてもらえない」というケースがあります。

自分ではそのつもりが無いのについ男らしく振舞ってしまったり、自分を表現できなかったり。そんなパターンの背景にある深層心理と対処方法、癒しのプロセスをご紹介します。

自分ではそんなつもりは無いのに、いつも「異性として見てもらえない」というパターンを持つ方がいらっしゃいます。
キャラクターが男勝りな姉さんや、中性的で性を感じさせない女の子などに多いかもしれません。
男性ならば、優しいんだけど女性的な雰囲気が強すぎて、危険な感じがしないタイプでしょう。

どのパターンもなぜか異性を感じさせないように振舞ってしまっていることが多いんですね。
心の中はとっても女性で「本当は恋をしたいのに」とか「早く結婚して家庭を築きたいのに」と思っているのに現実はなかなかそんな風には行きません。

「そんなつもりないんだけど性格なのかなあ・・・」とか、「いまさら女にはなれないしなあ・・・」とか、どうしていいのか分からなくて途方に暮れてしまう場合もあります。
今日はそんな「異性に見られないっ!」と言うパターンを深く掘り下げてみましょう。

●異性として見られないパターンとは?

女としてみられないパターンをもう少し詳しく挙げて見ましょう。

1つ目のパターンは自立して男性以上に男性らしくなっている姉さんタイプ。
男性との競争意識も強く「私に似合う男なんてあんまり居ない」という感じがしています。、
だから、自分も女として見られない一方で、自分自身も男を男として捉えにくくなっていることが多いんですね。

2つ目は女子高育ちなどに多い、自分の中で男性・女性の区別がない場合。
心の人口比率が圧倒的に女性が高いので、男性という存在がまるで無いように振舞ってしまいます。(男性に対しても女性に接するのと同じように振舞います)
大人になって自立が強まっていくと、上の1つ目のパターンに変わっていくこともよくあります。

3つ目は中性的に振舞っていて女性らしさを出さない場合。
見た目や雰囲気ははとても女性らしい場合が多いのですが、自分を徹底的に隠してしまいます。
そのままの自分では受け入れてもらえないと思って自分をずっと抑圧している場合もありますし、過去に(特に性的な)トラウマを抱えている場合も少なくありません。
本当に中性的な生き方がしたい場合はいいのですが、そうでない場合は自分を癒しながら本来の姿を手に入れていきたいですね。

●女としてみられるとは???~魅力を感じる心の仕組み~

さて、「異性としてみられないんです」というテーマをまずはひっくり返して考えてみましょう。

そもそも異性として見られるってどういうことなんでしょうね。
皆さんが異性を感じるときってどんなときでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。
同僚でも友達でも、異性を感じる人ってどんなタイプかな?って。

その答えのヒントは「異」というところにありそうです。
私達はロマンスを感じるとき、「自分と違うところが魅力に感じる」という法則があります。
例えば、背の高い男性は反対に小柄な女性に惹かれ易く、男気で生きてる男性は守りたくなるようなか弱く見える女性を好きになりやすいんですね。
いわゆる「東男(あずまおとこ)に京女(きょうおんな)」というパターンで、自分にない要素を相手に求めるんです。
(その違いが最初は魅力に感じるのですが、後でケンカのタネになりやすいのが面白いところです)

これは心理的には自分にないものを相手に求める“相補作用”と言われます。
これは私達が自然に持っている心の法則で、そもそも男が女を、女が男を求める根本的な理由もこの作用によるものとする考えもあるくらいです。
ということは、皆さんもごく自然に振舞っていさえすれば、勝手に異性として認識されるはずなんですよね。

でも、私達は生まれてから今日までの間に様々なところで傷つき、その痛みから自分を守るためにたくさんのルール(観念)を作ってきました。
(傷つかないように心に鎧を纏ってしまうのです)
そうすると、大人になるにつれて鎧が重たくて不自然な振る舞いをしてしまうことが多くなり、その結果の一つとして自分を異性として見せられなくなってしまったりするんです。
分かりやすく言えば、そうした鎧のお陰で自分を隠してしまうんですね。

この“異性として見せなくなる”というのがポイントで、過去の経験があなたの中の“性”を隠してしまっていると考えてみるのはいかがでしょうか?

分かりやすさのために短いストーリーを次に紹介しましょう。

●小話~女としてみられない女の子のストーリー~

例えば、お転婆な女の子のお話。
小さい頃から、男の子に蹴りを入れたり、まるでガキ大将のように活発な女の子でした。
だから、すごく女性的な雰囲気を持つお母さんから「あんたは本当に男の子みたいだね。将来が心配だよ」などと言われて大きくなりました。

子供の頃は意識的な性差はあまりありませんから、女の子の部分を否定されても、ちょっと引っかかる程度でさほど心の痛みにはなりません。
でも、思春期の頃になると体も変化するし、意識も恋愛など異性に向かい始めるし、否が応にも自分の“性”を意識させられるようになります。

彼女も年頃になって男の子を意識し始めるのですが、お転婆に生きてきた手前、急に手のひらを返したように女の子らしく振舞うのはとても恥ずかしくてできません。
それと思春期は反抗期でもあるので親に反発したくなるんです。

だから、とても女性らしいお母さんに、女の子として劣等感を感じて反発し、ますます女の子らしさが表現できなくなってしまいます。
でも、ちょっと興味を覚えて、こっそり見えないところでお化粧を覚えることはあるかもしれません。

そうすると、内側にはとても女の子な部分を秘めたまま、表面的には男らしい女性が出来上がっていくんです。
こういうタイプは同性からとてもモテることが少なくないんですね。
でも、異性(男の子)からは「仲間」や「連れ」のように扱われ、「よっしゃ、今からひとっ風呂浴びて熱く語り合おうぜ」というロマンスとはかけ離れた扱いをされるようになります。

ところが、ずっとお転婆で男の子とは対等に張り合ってきましたから、彼女にとってもそれは楽で自然なもので、今さら女の子として扱われるのも気持ち悪いんですね。

そして、男の子を好きになっても告白する事はできず、また、近付いてくる男性がいても、つい蹴飛ばしてしまってなかなか付き合えなくなったりします。
(でも、アクセサリのような恋人を作ったり、スポーツのようにセックスを楽しんだりはOKなのです。)

男女関係ではとてももどかしいのですが、自立した男性性が強い女性なので、仕事面ではけっこう成功したりするんですね。
周りから期待され、はつらつと働く憧れの先輩というポジションに収まります。

でも、どこか虚しく、どこか寂しいんです。
心の中に穴が空いているような感じがします。
これは自分らしく生きていない時に心が送ってくれる大切なサインですが、今更、それに気付いてもどうしようもないように彼女は感じてしまうので、無理に抑圧し「そんなことでくよくよしたらあかん」とますます自立して頑張ろうとしたりします。

それでも、心の奥にある不安は消えません。
何か大切なものを忘れてきたような、強い焦燥感に襲われる事もあります。
そして、何かのきっかけで自分が崩れてしまうような、そんな危うさと、そんなことではいけない!と厳しく律し続ける自立的な部分が葛藤し続けます。

これはもう自分を偽り、隠し続けることができなくなってきたサインです。

そして、すっかり自分のものだと信じていた彼に裏切られ、予想以上に傷ついている自分に気付いたとき・・・、
自分が中心に進めていたプロジェクトが失敗し、今まで積み上げてきた信頼を失ったとき・・・、
自分ではコントロールできない状況がおきたとき、音を立てて自分が崩れ始めたように感じるのです。
それは本当に絶望としか言い得ない、そして、自分でも何が起きたのか分からなくなる瞬間なのです。

●分析と癒し

彼女の場合、女性らしいお母さんとの葛藤が根っこにあります。
本当はお母さんからたくさん女性らしい部分を受け継いだのに、それを丸ごと心の中に封印し、「お転婆~男らしい」という硬い殻で覆ってしまったような感じです。

そして、自立するたびにその殻を鍛えて来たのですが、その内側の女の子の部分が死んだわけではありません。
本来の自分の姿の一部なわけですから、ずーっとひたすら日の目を見るのを待っているんですね。
だから、ちょっと自分の予想を越えたトラブルに遭遇したのをきっかけに自分でもびっくりするくらい脆く崩れてしまうんです。

でも、そこからが本当のスタート。
より自分らしくなるチャンスがやってきたのです。
本当に壁にぶつかり、押しつぶされるような場面でないと自分の生き方を変えることは難しいのかもしれません。

このプロセスは、始めは絶望や喪失感が強く、どんどん弱くなっている自分に呆れてしまうこともあるのですが、そこから抜け出してくると表情も雰囲気もとても柔らかく、すっきりしたものに変わっていくことが多いようです。
(実はこれが殻を破って出てきた女の子が成長している証拠、すなわち、女性性が成長している証なのです)

その中で恥ずかしいけれど、女らしさや自分らしさをどんどん見つめていきます。
そうすると「今まで自分にはないと思っていたところ」とか「本当は気付いていたんだと思います」と感じる“すごく女性らしい部分”が顔を覗かせるようになるんです。
それはすなわち、お母さんから受け取ったギフトなんですね。

だから、ここでお母さんと向き合い、許していくと、視界が一気に広がります。
それはまるで、今までの自立してがんばってきた人生が、窮屈で、退屈したもののように思えたりするようになるんですね。

お母さんに「大好き!」って伝えてみましょう。
お母さんの娘でよかった!と伝えてみましょう。

そんな提案にチャレンジしてみると、目からウロコが落ちるように、今までのわだかまりが解けたりするんですね。
(実際に伝えられたらいいのですが、イメージワークやロールプレイなどのセラピーでも、その効果は十分見込めます)

●自分を許すために。

女として見られない女性の場合、自分を厚い殻で覆ってしまっていることが少なくないんですね。
だから、自分を表現すること、特に、女として自分を表現する事は、すごく恥ずかしくて、抵抗があります。
(それがスポーツとか、セックスとか、台詞があるとか、大義名分が使える時はすんなりできることも多いのですが。)

だから、その恥ずかしさを越えていく事が、自分を解放してあげる手段になるのです。

ちょっとイメージを膨らませてみてください。
楽に座って深呼吸して、自分の胸の辺りに大きな扉をイメージしてみます。
そして、その扉をゆっくり開いていきます。
胸の奥深くまで風が通り、光が入り込んできます。
どんな気分がするでしょうか?
良い悪いではなく、ただその気分を味わってみてください。

また、イメージの力を使って自分の姿を鏡に映してみましょう。
その鏡にはどんな表情の自分が映っているでしょうか?
そして、その自分に向かってこんなメッセージを実際口ずさんで見てください。

「よく頑張ったよね。十分よくやっているよ。」
「私は大丈夫ってもう言わなくてもいいよ。」
「しっかりしなきゃなんて今は思わなくていいからね。」
「もうそんなに頑張らなくてもいいよ」

そんな労いの言葉を、まるで後輩の女の子にかけてあげるようにしてみましょう。
これは自分の心と対話するアプローチの一つ。
すぐに答えが返ってこなくても、抵抗を感じても、しばらく続けてみてください。
少しずつ心がほぐれ、力が抜け、本当の気持ちに気付きやすくなっていきます。

そうして、イメージの力を借りて自分を安らかに、自分を許し、解放してあげることもできるのです。

また、今回はあまり触れませんでしたが、性的なトラウマを抱える場合は女性であることに強い罪悪感を抱えてしまっているケースも少なくありません。
よって、自分が女性であることをさらに許していくプロセスが大切になってくるんですね。
気長な作業ですが、できないことではありません。
諦めずに、自分のペースで、向き合い続けましょう。

そうして、殻を破り、本当の自分らしさを取り戻していくと、自然と女性らしい雰囲気が溢れてきたり、今まで以上に女性らしいものに興味を抱いたり、心のバランスが取れていくでしょう。
もちろん、その姿はあなたが想像していた女性らしさとは異なっているかもしれません。でも、あなたが自然に近付けば近付くほど、あなたは「女性」として見られるようになり、また、あなたも男性を異性として認識できるようになっています。
「すごく女らしいね」とあなたを見つめる視線を、しっかり受け止められますように。

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