イメージの心理学~ヴィジョンとファンタジーの違い~

「ヴィジョン」と「ファンタジー」というのは、共に想像力の産物なのですが、似ているようで全く異なるものだったりします。

「ヴィジョン」と「ファンタジー」、そして両者の違いを紹介します。

カウンセリングの中で行われるセラピーの中に、イメージワークという手法があります。
イメージワークとは、ある状況を想像し、想像した際に出てくる感情や感覚を感じて解放していくというものです。

心というのは、現実と想像の区別がつかなくて、過去や未来を想像した時に出てくる感情や感覚を”今”感じることができます。
そんな心の性質を利用したのが、イメージワークというセラピーです。

こうした心の持つ性質や、人が持つ想像力というものを活かしてヒーリングや自己成長を行っていきます。

●ヴィジョンって?

心理学で、このイメージの力を使う場面の一つに、「ヴィジョンを描く」というのがあります。「ヴィジョン」というのは、夢や目標というとわかりやすいかもしれません。

「こうなったらいいな」「もっと成長して、こんな自分になりたい!」と思い描くものが、ヴィジョンと呼ばれます。

ヴィジョンを描き、その状態をイメージすることで、その時に感じるであろう感情を”今”感じてみます。
そして、そこで得たポジティブな感情が、ヴィジョンの実現に向けて前に進む原動力になります。

例えば、「クリスマスに彼氏と2人で超ラブラブでロマンチックなホーリーナイトを過ごす」というヴィジョンを描いたとしますね。

おしゃれなホテルのレストランで、ちょっと豪華なディナー。
ふと窓の外に目をやると、眼下には、クリスマスツリーのような灯りのきらめく夜景。
テーブルでゆらゆらと揺らめくキャンドルの炎の先に浮かび上がる彼と、二人で過ごすクリスマスに乾杯。
次々と、しかしゆったりと運ばれてくるお料理と、彼との楽しいおしゃべり。
悩みながらも彼のことを想いながら選んだクリスマスプレゼントを、とっても喜んでくれる彼。。。

こんな状況を想像してみると、どんな気分になりますか?

その気分というのは、まだ彼氏がいなくても、クリスマスがずっとずっと先でも、イメージすることで”今”感じることができるんですね。

そしてそれを味わうことができると、ヴィジョンの実現のために頑張ろう!という気になれます。

●ファンタジーって?

「ヴィジョン」と似たような感じで、イメージの力を使う場面の一つに、「ファンタジー(空想)」と呼ばれるものがあります。

ファンタジーというのは、そのファンタジーの世界の中で満たされることで十分だと感じ、それを現実の世界に還元しようとする動きがなく、むしろファンタジーの世界に浸ったり、しがみついたりします。
「現実の世界では実現不可能だ」「そんなもの本当は手に入りっこない」などという思いから、現実世界の代替品としてファンタジーの世界を作り出すのです。

言い換えると、現実世界で実現できなかったり手に入らなかった時に感じる心の痛みに対する痛み止めや、せめてもの慰みとしてファンタジーの世界を作り出し、その世界の住人となるのです。

「私に彼になんてできっこないわ…」という時に、現実世界で実現することができない代わりに、ファンタジーの世界の中で彼ととびっきりロマンチックで素敵なディナーを楽しみます。
そうすることで、「私を愛してくれる彼氏がいない」「一人で過ごすクリスマスは淋しい」といった心の痛みを和らげることができるのです。

●ヴィジョンとファンタジーの違い

ファンタジーもヴィジョンと同じくイメージを描いて、そのイメージの中で感じることができる感情を感じて満たされている状態です。
では、ヴィジョンとファンタジーとでは、何が違うのでしょうか?

「こうなったらいいな」「もっと成長して、こんな自分になりたい!」と描くイメージには変わりはありません。

先程の例と同じように、「クリスマスに彼氏と2人で超ラブラブでロマンチックなホーリーナイトを過ごす」というイメージを描いて、そのイメージの中で感じることができる感情を感じて満たされます。

ここまでは一緒なんですね。

ヴィジョンというのは、描いて感じて味わった後、その描いたヴィジョンを現実のものとするためにどうしたらいいか?というのを探して、それを実行していきます。

彼氏のいない人ならば、どうしたら彼氏ができるのか?を探して、自分を磨いたり、出会いのありそうな場所に出かけたりします。

彼氏のいる人ならば、クリスマスの過ごし方を彼氏と相談したり、情報誌やインターネットなどでおしゃれなホテルの素敵なレストランの情報を探したり、予約を入れたりします。

そんな過程の中でうまくいかなかったり疲れてしまったりすることもあるかもしれませんが、そんな時には、再びヴィジョンを描いて感じて味わうことで充電ができ、「もう少し頑張ってみよう!」と実現へ向けての歩みを進めることができます。

そんな努力の結果、彼氏もでき、クリスマスに2人で過ごす約束もし、おしゃれなホテルの素敵なレストランの予約も取り、何週間も悩んだ末に選んだプレゼントを携えて、晴れてヴィジョンの実現となります。

その時に感じる感情というのは、イメージの世界で感じたものよりも何倍も素晴らしいものになるでしょう。
それまでの自分の努力の賜物でもありますし、本物の彼、本物の素敵なレストラン、本物のロマンティックな雰囲気、本物の彼の喜ぶ笑顔… というふうに、現実をリアルに感じますからね。

それに対し、ファンタジーというのは、その世界で楽しむこと自体が目的になっていたり、現実の世界で感じる心の痛みを避けるために、現実世界に目を向けようとしなかったりします。
そして、ファンタジーの世界から現実に帰って来た時、虚しくなったり、心の痛みが強化されてしまいます。
その結果、ファンタジーにしがみついて浸り込むという状態になります。

このように、ヴィジョンというのは、今の自分の心の中や現実などと向き合い、肯定的に受け入れて描く時のイメージで、ファンタジーというのは、今の自分の心の中や現実から目をそらし、拒絶、絶望、もしくは否定的に受け入れて描く時のイメージと言え、ファンタジーの裏側には痛みの感情が隠れていると言えるでしょう。

●イメージの力を活かす

ヴィジョンが良くてファンタジーが悪いというわけではありません。
ヴィジョンはもちろんのこと、ファンタジーも、慰みや痛み止めとして、これ以上あなたの心が傷つかないように守る作用のある、役に立つものです。

しかしながら、「『こうなりたい』とイメージをするんだけど、なかなか実現しないな~」という時や、「ヴィジョンを描いている時はいい気分なんだけど、意識を現実に戻した時に落ち込んだり虚しくなってしまう…」という時などには、それがヴィジョンなのかファンタジーなのかをチェックしてみてはいかがでしょうか?
そして、ファンタジーであった場合には、その裏に潜む心の痛みを見つけて癒していくことで、そのファンタジーをヴィジョンに変えることも可能です。

そうして、その描いた素晴らしい世界を現実のものとして味わうのに役立ててみていただきたいと思います。

この記事を書いたカウンセラー

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