「自分らしさ」の出し方・活かし方(4)~自分らしさを出した時の罠に陥らないために~

前回、過去に満たされなかった痛みから求めるニーズを相手にぶつけてしまうというのが、自分らしさを出した時に陥る罠であるということをご紹介しました。

しかし、ニーズ自体や、それをを満たすことを求める事自体は悪いことではありません。ニーズを満たしてもらいたい気持ちも含めて、罠に陥らずに自分らしさを出し、それを活かすヒントをご紹介します。

前回は、自分らしさを出した時に、かえって状況が悪くなってしまう罠をご紹介しました。今回は、そうした罠に陥らないためのポイントをご紹介します。

●自分らしさを出した時の罠に陥らないために

自分らしさを出す時罠に陥るのは、「自分らしさ(自分の気持ち)」=「ニーズ」となってしまっているという背景があります。

そのニーズを満たすためには、ニーズを満たしてもらいやすい環境を整えていくというのがポイントになります。

これまで我慢をして抑圧をしていた分だけ、勢いがついて出てきてしまい、まわりや相手への配慮が不足しがちになってしまいます。

客観的に自分に置き換えて考えてみると理解しやすいと思うのですが、相手の人からすごい勢いで「あれしてよ!」「これもしてよ!」「なんでこうしてくれないのよ!!」と求められると、いい気分にはなりませんよね。

また、自分が対応できる範囲のものならまだしも、それ以上のものを一度に求められたり、それに応えられない時に、さらに不満をぶつけられると、「満たしてあげたいな」というふうには思いにくいですよね。

相手がこんな気持ちになっているというのは、ニーズを満たしてもらいにくい環境ということができます。

では、何があれば、「できるだけのことはやってあげたいな」という気分になれるでしょうか?

ニーズというのは、人ならば誰でも持っているものといってもいいものですよね。
自分の中にニーズがあるのはもちろんのことなのですが、それを求める相手にも、その人なりのニーズがあります。

自分のニーズに目を向けるのと同じ割合で相手の中にあるニーズに目を向けてあげる、自分のニーズを尊重するのと同じくらい相手の中にあるニーズを尊重する… こうして、自分と同じくらい相手のことを大切に扱ってあげる、などが、ニーズを満たしてもらいやすい環境作りには有効です。

そして、相手にニーズを満たしてもらうことを求める時には、それを「ぶつける」という形ではなく、「お願いする」という形でのコミュニケーションを取ることも、そのニーズを満たしてもらいやすい環境作りに役に立ちます。

勢いがついてそれで一杯一杯になってしまっている時には、なかなか難しいことかもしれませんね。

そんな時には、そういった自分の中にあるニーズを一旦自分自身で受け止めてみる、自分自身でわかってあげるというステップを挟むことで、勢いを落とすと共に、自分自身にも余裕ができてきます。

また、自分らしさ(自分の気持ち)というのは、「ニーズ」以外にも様々な種類のたくさんの気持ちがあります。

その中から、与えることに関する気持ち、例えば、「もっとやさしくしてあげたい」といったものも、自分の気持ち、自分らしさには変わりありません。

もっとやさしくしてあげたい人に実際にやさしくしてあげる、というように、実際に与えていくというのも、自分らしさを出して、自分らしくある状態ということができます。

自分の与えたい気持ちから人にやさしさを一杯与えている人って魅力的ですよね?

その魅力こそが、「自分らしさ」であり、自分の持つ魅力なのです。

「与えたい」という気持ちから与えていくと、与えれば与える程満たされていい気分になっていきます。

与えたやさしさを受け取ってもらえると、もっとうれしくていい気分になれて、「受け取ってくれてありがとう」と、感謝の気持ちが湧いてきます。

カウンセリングの中で、お客様と共にそのお客様の心の中をよくよく覗いてみると、「やさしくしてあげたい」の他にも「楽しませてあげたい」「安心させてあげたい」「笑顔にしてあげたい」など、与えたい気持ちというのがたくさん詰まっています。

そうしたやさしさや思いやりやあたたかさといった気持ちこそが、その人らしさであり、その人の本質であり、その人の魅力なんですよね。

罠に陥ることなく、自分らしさを出して、それを活かすポイントは、自分と同じくらい相手のことを見て、尊重しながら取っていく『コミュニケーション』と、うまくコミュニケーションが取れている時にできる「繋がる~与える~受け取る~感謝する」という『循環』と言えるでしょう。

そのカギは、『与えること』。

自分らしさをより活かすために、心の中にある「与えたい気持ち」に目を向けてみて、その部分を発揮してみることにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

(完)

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