不倫の心理2(4)~その代償と報酬~

人によって違いますが、不倫が終わった後のには不安、不安、自己嫌悪、不信感などの“後遺症”が残ることが多いんですね。

恋愛することへの自信が持てないばかりに、新しいパートナーができるまでに時間を要したり、また、新しい彼ができたとしても、不安が強すぎてどう接していいのかが分からなくなったりもします。
しかし、コミュニケーションなどを使って心を癒していくことで、乗り越えることができますし、その結果、より深い安心感と喜びを得ることもできるのです。

さて、最終回の今回はそうした自分を愛せない不倫という関係について、その代償についてお話させていただきたいと思います。
とはいえ、苦しい話だけではなく、起きることには意味がある、という点からも「報酬」についても触れたいと思います。

●不倫の代償と報酬

不倫が終わった後では、さまざまな点で他の恋愛とは違う影響を残すようです。

まず、十分に満たされることのない(不足感が常にある)恋愛だったために、なかなか不倫そのものから抜け出すことが難しくなってしまうんです。
変な例えですが、おなかが空いて入ったレストランで、オーダーした食事を2,3割残して席を立つような不満足感といいましょうか、「あと一口、もう少し」という思いでずるずると続いてしまうことの方が多いんですね。

また、罪悪感から「癒着」が生まれるので、これを手放すのもまた辛くて、「結果的に3年不倫をしていたけれど、その間の2年間は別れなきゃ、もうやめよう、と思いながら過ごしていた」というお話もよく伺うんです。

そんな場合は特に、不倫の後の後遺症は大きくて、なかなか次の恋愛に進めなかったり、燃え尽きたり、あるいは、男性不信などが強くなってまた自分を傷つける恋愛を始めたりすることも多いんですね。

 

昔あった実際の話を一つご紹介しましょう。
長らく不倫をしていた彼女が疲れ果てて、ぼろぼろの状態から立ち直って行きましたが、彼に振り回された結果、強い男性不信になってしまったんですね。
お父さんとの関係ももちろんありましたし、過去のほかの恋愛の影響も含めてじっくりとプロセスにお付き合いさせていただきました。

そして、ようやく問題を乗り越えてフリーな人と出会い、付き合い始めることができたんです。
でも、嬉しいよりも、不安が強いんですね。
むしろ、すぐに「別れようかと思ってしまう」ほどに。
それにも色んな意味があるんですが、逃げ道がなく、もし彼を失ったらどうしよう、という不安も強くなるんです。

そのため、マニュアルを求めるかのように、毎回私に色んな質問をして下さいました。
「私から連絡してもいいんですよね?でも、どういう風に連絡していいのか、分からないんですよ。こんな感じでいいんでしょうか?(とメールの原案を見せる)」

「昼からデートなんて、ちょっと信じられなくて、間が持つかどうか不安なんですよ。なんだかふつうのデートってどんなでしたっけ?」

「彼氏と歩いていても人目が気になるんです。それに、今もちゃんと付き合ってると言えるのかどうか不安が拭えなくて」

「不倫してたことって黙ってたほうがいいですよね?彼に何か悪いような気がするし、そういう女と思われるのも怖いし」

「何か彼に私は相応しくないような気がしてしまうんですよね。私みたいな女に、って思ってしまうんですよね」

などなど。
マニュアルを求めたくなるのは自信のなさや不安の証なのですが、それくらいフリーな人との恋愛と不倫とは異質な感覚があるのかもしれません。

私はその頃、
「まさにその気持ちを、全部彼に話してみてくださいよ。嫌われるのが怖くて言えなくて我慢していても、結局、不安が不満に変わるだけだから。『こんなこと言ったら嫌いになるかもしれないけれど』とか『いつも同じことばかりでごめんだけれど不安なの』って頭に付けて。で、彼の言葉を一生懸命受け止めようとして、『ありがとう』って言ってあげたら彼も喜ぶからから大丈夫。彼だってあなたのこと、助けたい、何とかしたいって思ってるわけだからね。で、こんな話、恋愛初期のロマンスのときしか、受け止めてもらいにくいから(苦笑)。だから、僕に聞きたいなってことも全部包み隠さず話してしまってね」
て、お願いしてました。
彼に心の内を話すということは、彼を信頼するということです。
コミュニケーションというのは、表面的なことではなく、こうした気持ち、内面的なものも伝えて初めて成り立つと思うんですね。
それに、恋愛の初期はお互いに理解しよう、近づこう、大事にしようという意識がとても強いですから、始めのうちに内面的な繋がりを築いておくと、後々様々な問題が生まれてきたときにもコミュニケーションを重ねることが可能になるんです。

さて、彼女は無事その人と結婚して、今は幸せな家庭を築いていらっしゃるようです。(便りのないのは良い知らせ、ですから)

結婚に際しても不安は付きまとっていましたけれど(彼が浮気するんじゃないか?とか)、でも、恋愛の最初に怖れや不安が強かった分、絆ができれば信頼関係はどんどん深まるんですね。

それに奥さんのことを意識しなくてもいい、とか、彼のことだけを見ていればいい、とか、自由に会えるし、言いたいことも言えるし、とか、そういう恋愛の魅力を再確認されてからはカウンセリングの頻度も減って、自分で幸せを見つけられるようになっていきました。

ここでは新しいパートナーを持つことで、自分を癒していくプロセスを簡単に紹介しましたが、どんな方法を使ったとしても、この心の中に生まれた「不信感」「罪悪感」「自己嫌悪」「不安・怖れ」、そして、「疲労感・徒労感」を癒していくことが大切なんです。
でも、その感情から逃げてしまうと、同じ事を繰り返すばかりか、さらに強い刺激を求めてもっとしんどい恋愛にはまってしまうことも少なくないんですね。
だから、少々怖いかもしれないし、自信なんてまったくないかもしれませんが、勇気を出して自分の内面を見つめてあげてください。

誰もが陥る可能性を持つ“不倫”をしていたからといって、幸せになれないわけではありません。
ましてや、それで人生がダメになるわけではなく、それを学びとして、乗り越えることで、逆にその経験がさらなる幸せを招くこともあるのです。

(完)

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