パワーストラグルを越える ~自立の関係から抜ける~

私たちは、自立するときに、自分のやり方を大切にするようになります。

それは成功の秘訣である一方で、こだわりすぎると、新しいやり方やもっといいやり方を否定してしまう可能性を秘めています。
中でも、それぞれが自分のやり方や正しさを主張する「パワーストラグル(権力争い)」は、
よく、がけっぷちでの綱引きに喩えられます。
勝っても負けても奈落の底に落ちてしまう、答えのない幻想です。
このとき、信頼していないのは相手ではありません。

実は、自分がより成長し、よりよいやり方を受け入れていくということに対する疑いなのです。
深いレベルではお互いの同意のもと、前に進まないためのエゴの陰謀なのです。
ですから、本当に欲しいものは永久に手に入りません。
では、どうすればいいのでしょうか。
根底にあるのは、親密感への恐れです。
今回は、自立的なかかわりを超え、前に進む選択をすることについてお伝えしたいと思います。

◎リクエストを頂きました◎
===================================
いつもメルマガを楽しみに読ませていただいています。
私の母は若い頃から会社経営しており、父との離婚後、会社の規模を大きくすることが生き甲斐でした。心理学講座で教えて頂く、「自立型」の人間です。とてもたよりになりますが、強くふるまいすぎるので、困る事も多々あります。周りとパワーストラグルがおきることもしばしばです。

最近、仕事も第一線を退いたのですが、ぐちや不平不満が増えてきて、このままでは母の周囲から人が離れていくような気がします。
私は実家を離れて働いていますが、そろそろ実家に帰って、母の手伝いをしようかとも考えています。しかし、母の強さとぶつかりそう、母のコントロールの強さに、耐えられなくなるかもしれないと思うと、決心がつきません。
こんな自立型のひととは、どう付き合えばいいのでしょうか。
(一部編集させていただいています)
===================================

 

●「自立」と「依存」

「自立的なひと」「依存的なひと」と私たちは言いますが、そもそもこの表現は、誰かとのかかわりにおける私たちの姿勢について使われるものです。
つまり、会社の部下に対しては「自立的」であるけれど、パートナーに対しては「依存的」というように、相手や状況によっても「依存」「自立」というのは変わってきます。
ですから、人間関係全般にわたって自立的な傾向にある、ということはあっても、その人が「自立」という固有・不動のものではありません。
そして、互いの関係性そのものが変われば、変化していくものでもあるのです。

また、一般的には、「自立」が上、「依存」が下からの目線(立場)のような感覚があり、自立の方が優位、依存は甘えられる、などの印象があるでしょう。
しかし、私たちがお互いに最もしあわせを感じられるのは、依存でも自立でもなく、対等な関係性なのです。

●「自立型」とのかかわりと、パワーストラグル

ご相談にある「パワーストラグル」とは、自分のやり方が正しいという主張であり、競争です。
お互いに自立的な関係で多くみられ、よく「綱引き」に喩えられます。
このとき、相手を何とかしなくてはと常に相手を見ているため、「自分のしあわせ」や「自分が本当に欲しいもの」を見てはいません。
競争に勝っても、主張した権利(主に正しさです。正しい結婚、正しい関係など)は手に入りますが、それしか手に入りません。
本当に欲しいもの、しあわせや親密感は手に入らないのです。

表向きには、相手に問題があるように見えますが、深いレベルでは競争には必ずお互いの「同意」があり、前に進むことを恐れるがゆえの、前に進まないためのエゴの陰謀なのです。
鍵は、前に進むことを選択すること、つまり自分の本当の望みや自分のしあわせを選択することです。
前に進む方法は、大きくわけて二つがあります。

●お互いの関係性を前に進める

相手との関係性において「本当に欲しいもの」をもう一度見直してみましょう。
「つながり」「親密感」「平和」など。
それを得るために、できることを考えてみましょう。
「正しさ」よりも、「本当に欲しいもの」を選択し続けることです。

パワーストラグルは「自己の正しさ」の主張なので、相手の意見を尊重する、承認する、相手を信頼するということが抜け道になることが多いようです。
リクエストにある状況ならば、お母さんの今までのやり方を全面的に承認してあげるといいかもしれません。
そして、最重要ポイントは、「心から」それをするということ。
「負けておいてあげるわ」というのは、パワーストラグルでの罠なんです。
そこにあるのは表向きの平和だけ。
本物のつながりや親密感はありませんから、本当に欲しいものは手に入らないのです。

●自分自身が前に進む

いつもは気にならないのに、試験前に急に部屋の掃除をしたくなるといった経験はないでしょうか。
前に進むことから目を背けたくなるとき、急に問題(部屋が散らかりすぎているなど)が生じたように感じる、これがパワーストラグルの正体でもあります。
問題にとらわれるのではなく、前に進むこと(試験勉強)が求められます。

でも、勉強をしても部屋は片付かない、と気になりますね。
前に進んだとき、問題はどうなるのでしょうか。
問題はなくなりません。
なくなりませんが、あなたが前に進んだとき、問題はもはや問題ではなく、ただ、対処するだけのことになります。

「前に進むこと」は、仕事で前進するなど、自分にとってのしあわせに向かって進むことです。
リクエストのような場合、ご自分のパートナーシップを前に進めるのもいいでしょう。
私の経験では、パワーストラグルで親との関係に目が行くとき、「結婚」というテーマが隠れていることが少なくありません。
未婚ならなかなか結婚に至らない、結婚したいけどしたくないというダブルメッセージ、既婚なら結婚生活がパワーストラグルにはまっているなどです。

パートナーシップにおいて、自分を信頼し、自立を手放して対等な関係性を持つことができたら、パートナーシップが自立で終わっているお母さんに、さらに進んだ、もっとしあわせな関係性があると、身をもって伝えることへも繋がります。
そして、そんな自分が、お母さんを含めた周囲のひとたちへのインスピレーションにもなりうるのですね。

 

パワーストラグルにはまったと気づいたら、自分が前に進むと決めるときなのです。
正しさは自分が前に進まないための言い訳にすることもできます。
(お母さんが大変なのに、私だけがしあわせになるわけにはいかない、など)
また、相手が負ければ同じ船に乗っているあなたにも危害はもたらされます。

正しさや勝ちよりも、あなたのしあわせを選択してくださいね。
前に進んだとき、あなただけではなく、あなたの周囲にも、恩恵をもたらすことでしょう。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

アバター

退会しました。