セックスレス~責める気持ちと与えられない罪悪感~

セックスレスのカウンセリングにおけるアプローチと、背景にある心理、そして、どう解決していけばいいのか?を順を追ってアドバイス。

セックスレスで悩まれている方々の中には、
「相手がまるで取り合ってくません」というご相談もありますし、
「問題意識を持って何度も何度もパートナーと話し合いました」
とおっしゃるご夫婦もあります。

「それでも一向に良くならないんです」とか、
「話し合いを重ねるたびに嫌な気持ちになって・・」などすでに
お二人で向かい会えているのに解決しない、
という状態でご相談に来らることもあります。

お互いかなりの勇気を持って、話し合いを続けて来たのに、
セックスが二人の関係にすごく大切なことだと、
認め合っているのにうまく行かない。

するとお互いの心の中は色んな感情でいっぱいになってしまっています。

セックスレスに陥っているお互いの感情は何を感じているのでしょう?

カウンセリングでは、お二人で取り組まれている場合もそうでない場合も、
まずその関係で、またセックスに対して何を感じているのかを確かめていきます。

 ◇「求める側」の心理◇

与えて欲しいのに与えてもらえない・・
それはとても苦しい心理状態です。

セックスを求める心理には、
それで何かを感じたり、
もしくは何かを埋めあわせたいという気持ちが隠れています。

普段抱いている「不安」をセックスで癒したいと感じている場合や、
普段すごく「寂しく」て、愛されていると実感したい場合もあります。

例えば、
パートナーの仕事で忙しくなって、二人の時間が無くなって来たり、
パートナーの行動に何か疑問を感じたりすると、
心の中では、私に向けられている愛が無くなって来たんじゃないか、
という不安でいっぱいになってしまい、
何かでその不安を拭ったりしたいと思うでしょう。

愛されていることをちゃんと実感したい。
そして満たされたい。安心したい。

これは私達が生きている限り誰しも求める気持ちですし、
またパートナーに与えて欲しいと求めるのも、ごく自然なことですよね。

そんな気持ちをずっとこらえて、がまんしている訳ですから、
いつまでも与えてくれないパートナーに、
「怒りや不満」をたくさん感じているでしょう。

◇「求められる側」の心理◇

求められる側はどうでしょう?
求められる側の心理の深いところでも、
実はパートナーに愛されたいとかパートナーを満たせる自分でありたいと感じています。
そして、相手がそれに満たされてなかったり、
与えられない自分に不満を感じていることは日々感じています。

すると心の中には、相手を満たせない自分に対して「罪悪感」を持ちます。
また、相手を満たせない自分に「至らない自分」を感じていることもあります。

心の深いところでは、
相手を満たせない自分を責めていたり、
セックスで好きな人に喜びを与えられない自分は、
不充分な男性、女性なのじゃないだろうかと感じていることもあります。

男性として女性として完璧な自信を持っている人って少ないでしょう。
どこかで、私達は自分が完璧ではないと感じています。

こちらも、
心の中はこんな罪悪感や至らないのではという不安でいっぱいな訳ですから、
求められる側も、やはり苦しくて仕方ないのです。

会話があったとしても無かったとしても、
心の中がこのような「怒りや不満」また「罪悪感」で満ち溢れていると、
それについて話し合ったとしても、お互いがその心の中の感情を強めてしまうことが多いです。

そして結局、
そのことについてもう話をするのも嫌、という状態になってしまいます。

感情を癒す

カウンセリングでは次に、
心の中を満たしているたくさんの感情を癒していくことから始めていきます。

私達の中に渦巻く感情は、感じたり、受け入れて行く事で解放されていきます。
また、感情を癒していくとまったく意識してなかった感情が出てくることもあります。

例えば、
主人を受け入れられなくなった妻の感情の中には、
子供が小さい頃、何も助けてくれなかった主人に対する不満がたくさん残っていて、
夫に対する不信感や愛されていないという気持ちが渦巻いていて、
夫を受け入れられなくなった、ということも多いです。

心のどこかで、
セックスのたびに「罪悪感」を感じたり、
セックスのたびに「怒りや不満」を感じたり、
セックスのたびに「自分の足りなさ」を感じたり、

そうすれば、自然にその嫌な感情を感じたくないし、
それを感じさせる「セックス」自体を避けたくなるでしょう。

セックスレスの問題というのは、
実際にはセックスというコミュニケーションの底に隠された、
お互いの感情の問題という事も言えるのです。

大喧嘩の次の朝、お互い相手と顔を合わしたくないですよね。
これは、相手を見ると昨日のまだ癒されない感情を感じるからなのです。

心の中に渦巻いている感情を解放して癒してくことが、
二人の距離を近づけていくことになるのです。

●セックスに対する感じ方を探ってみる

また二人の関係性の他にもそれぞれが持っている、
「性」や「セックス」に対しての感覚も影響することもあるでしょう。

私達はもともと 性に対して多かれ少なかれ、
恥ずかしいとか悪い事、また はしたないという感覚を持っています。

それは、私達が成長段階で感じてきた感情もありますし、
私達が育った環境や文化の中で強化されてきた感覚もあります。

決してそれは間違いであるわけではなく、自然な感覚なのですが、
この恥ずかしい、悪い事、はしたない、などの感覚が強いと、
二人の性生活の妨げになってしまうことがあります。

例えば、
男性も思春期の頃、自分の身体が変化したり、
自分が今まで全然興味を感じなかった女性の裸などにも、
多いに興味を持ち始めます。

その時、
自分自身でもその変化に戸惑ったり、そんな自分を「いけない」と感じるのですが、
この時にあった周りの環境で、その感覚の強さも変わってしまいます。

絶対に見つからないように隠していた「いやらしい本」が母親に見つかった時。

「あんたこんなものに興味を持ち始めて・・
あんまりこんな本ばかりみていたら アホになってしまうで!(笑)」

と軽く叱られるのか。

「・・・お母さんは、あなたをこんな風に育てた覚えはありません(泣)」
「二度とこんな不潔なものを家に持ち込まないで・・・(号泣)」

と反応されるのででは、
もともと性に対して感じていた「罪悪感」の強さは変わってくるでしょう。

このような私達が性に対して持っている感覚を探っていけば、
その感覚やその強さを変えていくことも出来るのです。

セックスに対する意識を変えてみる

パートナーとの間に存在する感情や、性に対する感覚を癒していけば、
セックスに対する認識も変わってくるはずです。

例えば今二人に、まったく自由なお金 が100万円入ってきたとします。
さてあなたならパートナーとどの様に使いたいでしょうか?

もちろん、あなたはあなたが欲しいものがあるでしょうし、
パートナーはパートナーでずっと欲しかったものがあるかも知れません。
もしかしたら二人は、その使い方について喧嘩になるかも知れませんよね。

だけど、その喧嘩ってそんなに深刻なものにはならないでしょう?
「じゃ20万円ずつお互いが使って、60万円で二人で海外旅行に行こう(喜)」
なんてことになるかも知れません。

セックスも、本当はこれと同じ事ではないでしょうか?
セックスは、 二人が豊かさを感じあったり、愛を分かち合ったり、安らぎを感じあえる、そんな二人がいつも持っている道具なのですね。

ただ私達は 性 に対する独特の感じ方を持っています。
またお互いが罪悪感だったり、相手を責める感情を持ったりして、
うまく使えなくなってしまっているだけなのです。

セックスレス・・そんな問題を持ってしまったら、
まずその問題の下に隠されている感情を癒していくことで、
二人の間に知らぬ間に出来てしまった心の距離を縮め、
そして、男性も女性も生まれながらに持っている豊かさを分かち合う道具として、
セックスを再認識できるチャンスが訪れているのだと思います。

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