叱責や批判を恐れてしまう心理~もっと自分を認めよう~

叱責に対して過敏に反応してしまうという心理を見つめていくと、過去の経験から来る怖れが強く影響していることがあります。その怖れから自分を守る防衛として良い人、良い部下になろうと意識してしまうこともあるでしょう。この状態から抜け出すポイントは「自分に対する評価を見つめなおす」こと。あなたがあなたをどう扱っているか?がとても重要な要素になるのです。

◎リクエストを頂きました◎
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職場での上司との関係について、一方で上司に認められることに執着してしまったり、少し叱責されただけで、強いショックを受けてしまったり、まるで幼少期の頃の「教育熱心な親」と「出来が良く期待されすぎている子供」の関係のようになってしまうことがあるのです。

部下の立場としては、仕事を頑張りながら、メンタルヘルスを保つために、どのように心を持っていたらよいのでしょうか。
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いただいたリクエストのように「叱責に対して過敏に反応してしまう」というお話。日常やビジネスシーンでこの「叱責」を恐れるがゆえに様々なストレスを抱えていくと、毎日が少し生きづらくなるかもしれませんね。

特に「叱責」に関するお悩みの多くは、親や上司など自分より力がある、目上の人から受けた時に強いショックを受けてしまい、その瞬間からアタマが真っ白になってしまったり、緊張のあまり動けなくなってしまうことが多いようです。

このようにあなたが何につけても叱責されることが怖い、嫌だと感じていれば、あなたはきっと「叱責されない」ように立ち振る舞うようになるでしょう。

いただいたリクエストにある「出来がよい」自分になることがそれに当たりますね。そう考えると「上司に認められている」状態は、あなたが怖れを感じない状況である現状確認の根拠のようなものになりえます。そこから結果的に、上司に認められることに執着してしまうことだってあるでしょう。

これを心理学では防衛と言い、怖れから自分の心を守るために取る行動で、その事自体はとても人の心のしては自然な流れなんです。程度の差はあれ誰だって怒られれば怖いと感じますし、怒られたくないと危機回避的な行動をとりたくなるものなんですよね。

では、この叱責などの「怒り」に対する怖れや強いショックを受けてしまうのはどこから来ているのでしょう?

多くは幼い頃殻の経験、例えば、親(特に父親)や先生、先輩などに強く叱責された経験や、その時ひどくショックを受けた経験があなたの心の痛みとなってまだ刺さったままであることが考えられます。

その心の痛みは、人それぞれ、いろいろな形で残っていることがあるんですね。

例えば、分離不安。過去の経験で「叱責される」=「一人になること」と感じている場合、一人になることを恐れるがあまり良い人、良い子を演じていってしまうことがあるかもしれません。

また、「叱責と暴力的な要素」が結びつくと、叱責されることで、強い肉体的な痛みを覚えるのではないか?という恐怖感を感じることがあります。

更に、「叱責と恥」という感覚が結びついているケース。例えば、学校や会社など集団の前で強く叱責されることと、そんな自分が周囲から侮蔑の目で見られているような感覚がつながっていると、恥という感覚を過剰に怖れるがゆえに、その端を感じるキッカケである叱責を過剰に恐れることがあるんです。

このように心の内面を深く見つめていくと、その人なりの「叱責」にまつわる経験が影響して今の現実を作っていることがあるんですね。

ただ、ここでの最大の問題は「強く叱責されることで傷ついてしまう自分に対するあなたの観念ではないか?」と私は思うのです。

例えば、あなたが叱責を受けとても強いショックを受けたとき、そんな自分がダメだと感じていたとすれば、あなたが叱責を回避しようと頑張ること自体が「ダメな自分から逃げるための行為」だと感じたり、自分は良い部下を演じているだけで本当は弱くてダメな人間であるという判断を下してしまうかもしれません。

すると、その自分への判断は確実に「自己嫌悪」を強め、自己肯定感を感じにくい状況を作り上げていきます。心理的には無価値感や罪悪感などの自分には価値がないといった感覚を強めていくでしょう。この状態は自分の行為に疑いを持ってしまいやすい状態であるとも言えますね。

すると自分の欠点ばかり意識するがゆえに、更にあなたは叱責を恐れるようになるでしょう。そして、感覚的には自分の欠点ばかり見つめていますから、いつかこの欠点に対して叱責を受ける、誰かに責められるだろうという感覚が生まれやすくなりがちで、さらに誰かの叱責が気になってしまうというルーティンにハマりやすくなります。

このような状態から抜け出すアプローチとしては、過去に抱えた感情の開放や自分に対する観念の書き換えが大切になってきます。

例えば、叱責を怖れている自分をこれからどう扱うか?という部分。苦しんできた自分を批判するのではなく承認することや自分を過剰に批判しないことはとても大切です。でないと先に書いた自己嫌悪のループから抜け出すことが難しくなり、延々と叱責への恐怖を感じることにもなりかねません。

このプロセスを経た後で、過去の怖れと向き合い突破していくことにチャレンジしてみましょう。これはカウンセリングでご提供することがあるものですが、あなたが飲まれている恐れ、「幼い頃は非力で叱責に抵抗することができなかったが、今はそうではないこと」を理解し抜け出していくプロセスや、あなたに叱責を向けた人の感情を理解し許していくことで、強い怖れは徐々に軽減していく可能性があります。

とにかくまずは自己承認ですね。問題意識を強めるより日頃頑張っている自分をしっかり承認してあげましょう。一つ一つあなたの行動を何度も承認することが一つの処方箋といえるでしょうね。

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。