言いたいことが言えない理由 ~「今のあなたは、過去の誰かである」というケースから~

人に言いたいことが言えずにストレスになる。私たちがこのような相談をお受けすることって少なくないんですね。
そこで様々に考えられるその心理的理由を、今回は「今のあなたは、過去の誰かである」という切り口から見つめてみたいと思います。

◎リクエストを頂きました◎
===================================
私は言いたい事があってもその場で言葉にできず、あとになって「ああ言えばよかった」と後悔したり、あとから腹が立ってきたり、悶々とした気持ちを抱えたまま引きずってしまいます。

若い頃は自分も思ったことや感情をを口に出すタイプだったような気がします。もちろん他人を傷つけたくはないのですが、せめて消化不良にならない程度に言葉で表現したり気持ちの切り替えを早くできればと思うのですが、どうしたらいいでしょうか?

(一部編集させていただきました)
===================================

人に言いたいことが言えずにストレスになる。私たちがこのような相談をお受けすることって少なくないんですね。

では、どうしてそうなってしまうのでしょうか?

例えば、言いたいことが言えない理由として

・過去に自分が「自分の言いたいことを言って失敗した・誰かに迷惑をかけた・悲しませたり傷つけた」という経験があると、心が「罪悪感」を感じて、言いたいことが言えなくなる。

・私たちは「何もしなければ傷つかない」ので、「私が空気を読んで、言いたいことを我慢していれば、周囲も自分も傷つくことはない」という、心理学で言う「防衛」的な思いを持っている。

・あなたが我慢すると怒りの感情が湧き出し、相手に対して攻撃性を持つことがある。それが投影となって相手に映し出されてしまう。なので、自分が何かを言い、相手が我慢すれば、相手に嫌われる\責められるといった恐れを持つ。だから怖くて言えなくなる。

などの理由が考えられますし、私もそうお伝えすることもあるんです。が、今回はこれらとは少し別の角度からこのケースを眺めてみたいと思います。

「今のあなたは、過去の誰かである」という構図から生まれる罠。

例えば、リクエストにあるように「あなたが過去に言いたいことを言えていた」のであれば、過去あなたの話を聴いていた人が、今のあなたと同じ「言いたいことを言わない人」であったというケースも考えられます。

家族で言えば「犠牲的な親」はその対象によくなりますね。特に親は私たちにとって身近で大切な人であると同時に、言いたいことが言える対象になることが多いですからね。

そこで例えば

あなたは「言いたいことを言う」。しかし「相手は(今のあなたと同じように)誰から何を言われても我慢する人」であれば、あなたは「心理的に【加害者】の位置に入る」ことになります。受け止めている相手は【被害者】の位置ですね。

すると、あなたは我慢している相手を見ることになりますから、相手を傷つける意図はなくとも、相手を責めている、傷つけている感覚を覚えます。この感覚は罪悪感や、大切な人を傷つけた背徳感であることが多いですね。

そんな時、あなたはこの罪悪感などを感じることから降りたくなるでしょう。だからあなたは言いたいことを言わなくなることがある。言えば相手も傷つくし、自分が苦しむという観念を持つからです。

つまり、あなたがこれ以上罪悪感を感じたくないと感じ「自分から言葉を封印した」ということも考えられるんです。

ただここでは少し厄介なことも同時に起きます。

それが「相手を傷つけないこと」は悪ではないという事実。例えば、あなたがどれだけ言いたいことを飲み込んでも、結果的に人が傷つかないなら、客観的な事実としては善であると感じる人が多数でしょう。

だから、あなたの心がこの方法を破ることに「罪悪感」を感じるんです。「善なることを止める自分は酷い人間だ」という感じで。すると、あなたの心は「このやり方を変えてはいけない」と感じ、今の自分のやり方に固執し始めます。

結果、あなたは言いたいことが言えず困るけれど「いつも我慢して辛くなってしまうのは私が悪いんだ、仕方がないんだ」と自分を責めるような事しか浮かばなくなる。そんな心の罠がここに潜んでいるのですね。

このような状況から抜け出すためにどうしたらいいんでしょうか?

一番大切なことは罪悪感を選ぶのではなく「自分を許す」こと。自分だけ言葉を封印するのではなく、お互いに言葉を持てるように、ある程度対等な関係性を作っていくことです。

その簡単なやり方は、やはり「しっかりあなたの言葉を準備して持つ」ことだと思います。お互い大人であれば、日常的に話す言葉をちゃんと使えば分かり合えることって少なくありません。まずはあなたの周りで「人と上手に付き合っている」人の言葉を学んでみましょう。それが手間のかからないやり方です。

また、心は習慣のものなので、自分を許し、少しずつ抵抗のないところで本音を話すよう癖をつける事も大切です。もちろん感謝の言葉を忘れないようにして。お互いにお互いを尊重できる関係が作れれば、この問題は小さくなっていきますよ。

それでもあなたの気持ちが前に向かないという時、辛くなったり何だかスッキリしない時ならば、カウンセリングなど心理的なアプローチを考えていただければと思います。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。