祖母の優しさに触れた話

20代最初の頃、私は大きな失恋をしました。
長く付き合っていた彼に、『他に好きな人ができた』と言われ、ある日突然振られてしまいました。
当時は結婚に憧れて夢を見ていた頃だったので、それはもう青天の霹靂で、ご飯も食べれなくなり仕事に行くことが精一杯でした。
そんなこんなで、とうとう体調を崩してしまい、ある日病院へ駆け込んだのです。
待合室は結構な混み具合で、暇を持て余していたのですが、ふと前を見るとドラえもんの漫画本が置いてありました。
何気なく手にとってページをパラパラめくってみると、のび太とおばあちゃんのストーリーが目に入りました。
よくは覚えていませんが、
『ダルマさんは何回転んでも起き上がるよ。転んでも転んでも立ち上がるよ』
と、おばあちゃんがのび太に言っている。そんなことが描いてあったように思います。
それを見て、私も優しい祖母のことを思い出して涙が出そうになったことを覚えています。
失恋してしばらくは、寝ても覚めて心臓がチクチクと痛む感覚がして、『これから私はどうなるのだろう』と、とても不安でやるせない思いでいっぱいでした。
そのことを話せる友達は周りにもいましたが、当時は強がりだったせいか、あまり人に言う気にもなれないのが実際の話で完全に気力を失っていたように思います。

そんなある日、離れて暮らしている実家に用があって電話をしました。
たまたま私の祖母が電話にでました。
数日前に、のび太とおばあちゃんのストーリーを読んだばっかりだったので、何げなく失恋してやる気がでない話をしてみました。
すると、
「あんたは田舎から1人で東京に行った子やから根性ある子やで。だからもっと良い人がまた見つかるで。おばあちゃんがお祈りしとくわな」
と何度も何度も言ってくれました。
祖母の優しい励ましの声を聴いて、それまで我慢していた涙が流れました。
それと同時に、とても温かい気持ちにもなりました。
おかげ様で、少しずつではありますが元気を取り戻していくことができました。
生まれてからずっと関西の田舎に住んでいる祖母からしたら、東京が外国のようなイメージが出来上がっているのか、よく『東京に行ったこと』を褒めてくれました。
そんな凄いことじゃないのにな~、と毎度思っていますが(笑)、祖母の価値観からしたら凄いことなのでしょう。
そして事あるごとに、「上手くいくようにお祈りしといたるからな」と言います。
一体何に対して祈るのかは謎ですが……笑(予想ではご先祖様かな)。
しかし、祖母の祈りのパワーは絶大のような気がしています。
私たちは、「○○が幸せでありますように」と誰かの幸せを願うとき、自分の中にある愛に気付かされます。
子どもが幸せでありますように。
孫が幸せでありますように。
両親が幸せでありますように。
彼が幸せにありますうに。
親友が幸せでありまうように。
幸せを祈る、というのは宗教的な意味ではなく、人間に自然と備わっている力だと思うのです。
その大きな愛や想いは、いつかその人に届くかもしれません。
その想いが届いたとき、愛されて生きてることに気付かされるかもしれません。
私の場合は、『どこかで祖母が私のために祈ってくれている』と思うと、何故か元気や勇気が湧いてくるものです。
そんな祖母も今では随分な高齢で、今では「私が誰か」顔を見せてもわからなくなってしまっています。
しかし祖母からもらった愛情はずっと消えることはありません。
遠く離れて暮らしていますが、躓いたときや壁にぶつかったとき、いつもあの優しい声を思い出します。
祖母がずっと元気でいられるように、次は私が祈っておこうと思います。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

野村 香英

恋愛・夫婦関係などの対人関係全般、慢性的な孤独感からの解放、機能不全家族の問題など、繊細で細やかな「感情・感覚」を扱うことを得意とし、心理セラピーも評価が高い。 「本来の価値や魅力、そして自分を取り戻す」をモットーに、繊細かつ大胆なカウンセリングスタイルは、男女問わず幅広い年齢層に人気。 ※19/9/1より産休中