信頼を体感する

以前、介護のセミナーに出席した時、ちょっと面白い実習があったので、それをご紹介したいと思います。
セミナーの講師の方は、実際に介護施設を経営し、現場での経験も豊富な方で、興味深いお話をきくことが出来ました。
介護サービスを利用する際には、それぞれの利用者に見合ったサービスを提供するために、サービスを受ける人の身体や意識の状態、生活パターン、家族の状況などを把握するのだそうです。
これを利用者アセスメントと呼ぶそうですが、このアセスメントの時点で、どれだけ詳しくその人の状況が理解できるかで、サービスの効果も左右されてくるのだそうです。
アセスメントでは、サービスを受ける人やその家族から聴き取ったこと(バーバルアセスメント)だけではなく、表情、姿勢、動作、距離感など、観察した情報(ノンバーバルアセスメント)も重要なものとなります。
熟練した介護士さんは、椅子に座っている姿勢を見れば、利き手、利き足、利き身体がわかるのだそうです。
“利き身体”とは、あまり聞きなれない言葉ですが、私たちは、狭い所を通ろうとする時に身体の左右のどちらか側を前に出して身体を回転させたり、仰向けに寝た姿勢から起き上がるときには左右の肩のどちらかを先に浮かせて起き上がりますが、その動かす体側が利き身体なのだそうです。
例えば、歩行の介助をする時に、介護する人が利き身体の側に立つと、動きがブロックされて介護される人は非常に動きにくくなりますし、介護する人も動かない人を介助することになるので、大変になります。
また、介護では、介護する側とされる側の“信頼関係”が大事なのだそうです。
信頼関係がないと、介護される人の身体に力が入り硬直して動かしにくく、逆に信頼関係があると、介護される人が力を抜き身体を預けてくれるので、自由度が増して動かしやすくなります。
そこで、セミナーでは、“信頼”を体感する実習をやったのですが、私も実際に行なってみて、目からウロコでした。
まず、自分一人で立って背中を反らせます。
次に、二人一組で背中合わせになって、一方の人がもう一方の人の背中に身体を預けながら、後ろに反ってみます。
どちらが、後ろに大きく反ることができたでしょうか?(みなさんも、実際に行って、体感してみてくださいね。)
ほとんどの方は、二人一組でやった時の方が深く反ることができたことでしょう。それが、その人本来の身体の柔軟性なのだそうです。
また、初対面の見ず知らずの人より、よく知っている仲のいい人とやった方が、身体を預けやすく反りも深くなります。
カウンセリングの時に、「信頼してみましょう=人を頼って任せてみましょう」とお話しすることがありますが、“信頼”を身体で表現するとしたら、こんなことかもしれないなと思いました。
またそれは、信頼関係が深まるほど、協力し合ってお互いが力を発揮できるパートナーシップを表しているようにも思えました。
私たちは、普段の生活の中で、気づかないうちに身体に力が入っていたり、身体が縮まっている時があります。
頭を使って身体や気持を動かしているように思いますが、無意識のうちに気持が身体を動かしていることもあります。
私たちの身体は、無意識に心の有り様を、表現しているのかもしれませんね。
頭と気持が一致していれば、何事もスムーズに進みますが、一致していないとストレスや身体の不調に繋がるのだそうです。
これから年末に向けて、仕事もプライベートも忙しくなる時期ですが、たまには自分の身体や気持に意識を向けてあげる時間を取って、楽しい時間を過ごしたいものですね。

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