望んだものが手に入るとはこのことか!

こんにちは、三島桃子です。
いつもコラムを読んでいただいてありがとうございます。
「灯台もと暗し」とはよく言ったもので、カウンセラーといえども自分のことはよく見えていないことがけっこうあります。
そして悩んで、葛藤して、ある日ふと気付くのです。
「あああ!これはあれだ~、何年も前から頭では知っていたあれだ、あの心理法則そのままじゃないか~!」と。そして、内面がひとつ成熟するのです。
そういう部分は、ご相談をくださるお客様と同じですよね。
今回もそんなエピソードをひとつ。
以前からコラムに時々書かせていただいているのが母のことです。
私は長い間、母との間に「癒着」がありました。
「癒着」とは、別々の人間であるのにも関わらず、心理的にくっついてしまって、相手と自分との境界があやふやになってしまうような状態のことです。
癒着のある親子は、親がやたらと子どもに干渉したり、子どもが必要以上に親を心配したり、どちらかが相手にすごく依存してしまったり、ということが起きます。
結果的にはバランスのとれた関係がなかなか築けなくなり、子離れも親離れもできない状態に陥りがちです。
私自身もそういう状態でもがいていたのですが、カウンセラーを目指す中で、自分の気持ちともずいぶん向かい合ってきて、母との癒着は少しずつ薄くなっていきました。
癒着がなくなると、今まで問題だと思っていたことが問題ではなくなり、気分的にはとてもすっきりします。
私もかつてにくらべると、ずいぶん気持ちがすっきりしました。
でも、母のことで最近になってもひっかかることがありました。
母は、私と7つ上の姉を比べて、「お姉ちゃんの方がすごい」というようなことをよく言います。
子どもの頃からそうでした。
「お姉ちゃんの方が絵がうまい」「お姉ちゃんは優しいのにあんたは優しくない」「お姉ちゃんは華がある、あんたはそうでもないね」
まあ話の前後もありますから、母の言葉だけを取り出してどうこう言うのも何なんですが、こういう母の言葉が私の気持ちにすごく残って、頭の中でエコーしてしまい、「そういう言い方しなくてもいいやん」と悲しくなったり、腹が立ったりすることが以前から時々ありました。
でもいいかげんこういうのやめたいな、と思いつつ、何となく考えていたんです。
すると…。
(私の心の中のつぶやき)
えーと、もともとは、お母さんの口癖は「お姉ちゃんに比べて、あんたは恵まれている」だったんだよね。お母さんは、お姉ちゃんが生まれてすぐ仕事に復帰して、お姉ちゃんを人に預けっぱなしだったけど、私を生んだ時は仕事をやめていて自分の手で育てた。子どもの時、お姉ちゃんは体が弱くて、私はそうでもなくて、お姉ちゃんはメソメソ泣き虫で、私はワーワー元気に泣く子で。そんな違いは、自分のせいじゃないかとお母さんは思ってたみたいで、お母さんはお姉ちゃんに十分なことをしてあげていないという負い目があって…。
それで、なんか私は罪悪感を持ってしまっていた…。私だけ恵まれて、お姉ちゃんに悪いなあって。だから、お姉ちゃんの方が優れていることになるようにしようって、何となく思っていた…。(今考えると姉に対しても何か失礼な話なんですが…)
そう、「姉が優れていて、私はそれほどでもない」というのは、私が企てたストーリーだったのかもしれない。そうしたらお母さんが安心するから。姉に対して自分が罪悪感を感じなくてすむから。私が企てた…つまりは私が望んだ…。
望んだものが手に入っていた?
「良くも悪くも、望んだものが手に入る、自分にとって幸せな状況も、つらい状況も、自分が選んだものだ」という心理法則は何度もきいてきましたが…。
「私より姉の方が優れている」という自分が望んだ状況が実現しているのだとわかると、自然に、「ああ、もうこの状況を望むのはやめよう」と思えました。
同時に、母の発言に対して腹を立てる気持ちがすうっと消えたような感覚になりました。
母には母の事情がありますから、これからも「お姉ちゃんの方が優れている」という発言はあるかもしれませんが、「私よりお姉ちゃんの方が優れていることにしておく世界」を手放した私は、そういう発言にひっかかってやたらと悲しくなったり悔しくなったりすることは多分ないはずです。
まあ人間ですから、ちょっとカチンとくるかもしれませんが、全体的には苦笑いで流せるのではないかと思います。
母のそんな発言も減ると思います。
母のニーズに私が応えてしまっていたところがありますから、私の方が変われば、状況は変わると思います。
これからは、自分を幸せにするもの―例えば、母や姉との自然で良好な関係―を素直に望みたいと思います。
望んだことはかなう、ということがよくわかりましたから。「望んだものが手に入る」とはこのことか、とつくづく納得した私なのでした。

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2件のコメント

  1. 素敵な話をありがとうございます。
    私も時々してしまうんですが、小さな子供が何か我慢をしているように見えるとき、「可哀そう」と言ってしまうと、その子の親を責めているように聞こえてしまうので、「○○ちゃんは偉いね」というような言い方をすることがありますよね。
    ただ、その子に兄弟がいたりする場合に、他の子はちょっと差別されているように感じたりするかもしれませんよね。
    一般的に、上の子は我慢することが多いので、「お姉ちゃん(お兄ちゃん)ばかりほめられて…」と思う下の子もいるかもしれません。
    大人のほんの少しの気遣いで、子供心を傷つけずに済むんですよね。
    私も気をつけたいなと思いました。

  2. >akiさん
    コメントをいただきありがとうございました。
    akiさんのコメントを読ませていただいて、改めて、親としてはバランスをとっているつもりで上の子をほめたりしてしまうことってあるんだなと実感しました。
    私自身も子どもがいますが、一人っ子なので、そのあたりはぴんときていなかったのだと思います。
    親子関係の課題はなかなか手ごわいところもありますが、これからもいろいろなことをコラムに書かせていただければと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。