新生活に向けて

今年は桜の開花が例年より早かったそうですね。
入学式には既に散っていた、そんな地域もあったのではないでしょうか。
さて、この時期、「入学した」「入社した」方はもちろん、異動や引越し等々、環境の変化のあった方もたくさんいらっしゃると思います。
引越しや昇進などの環境の変化が心にも変化を与えることは広く知られています。
毎日のたくさんの出来事に忙殺される時期ではありますが、意識的に、普段よりもずっと自分を大切にするために、ゆっくりする時間を作ったり、好きなことをしたり、ストレスを溜めないために話したり、遊んだりすることも忘れないでくださいね。
ところで、私が新入社員だった頃、上司にあたる方から言われた言葉があります。
それは、「毎朝、元気よく挨拶さえすればいいから」というものでした。
「すればいいから」というのは、「それだけしてればいい」というようなネガティブな意味ではなく、「それだけでもやってみなさい」という、応援の意味だったんだろうな、と今は理解しています。
「毎朝、元気よく挨拶すること」
最初は、簡単だと思ったんですよねえ・・・。
でも、やってみると・・・。
最初の3日くらいはいいんです。
特に私は5年ぶりにその部署に入社した新人だったので、色々気にかけてもらえて、笑顔で「おはようございます」と挨拶してから室内に入ると「おはよー」と、目を見て挨拶を返してもらえるんです。
ところが、3日もすると先輩方も慣れてきて、挨拶しても返してくれなかったり、「おはよー」という言葉だけだったり。
すると、私のやる気はぐんぐんダウンです。
「一人だけ張り切って挨拶するのも恥ずかしいなあ」「この部署はこういう所なんだし、私も合わせた方が良いよな」なんて考えて、挨拶は、小さな声で入室前にして、後は、仲のいい先輩と上司にだけ挨拶するようになってしまいました。
それから、10年以上の時間が過ぎて、あの頃のことを思い出してみると、色々なことが見えてくる気がします。
自分が先輩になってみてわかったことですが、新人って、目立つんですよね!
新入社員や、新しく異動してきた方。
古株側から見ると、「変化」をもたらす方々です。
人間が持っている、奥深い「恐怖」。それが「変化への恐れ」だといわれています。
それまでの安定した場所(この場合は職場ですね)に「変化をもたらす者」。
怖がりな先輩たちは(少なくとも私はこのタイプの先輩でした)、戦々恐々としながら新しい闖入者の行動を観察しています。
「コイツは自分たちの生活にどう変化をもたらすのかな?」と、怖がりつつも「良い変化をもたらしてくれる人なのかな?」と期待もします。
そうして、少しづつ、お互いに良い距離で安定していく。
でも、だからこそ、あのときの上司の言葉の意味が分かるような気がするんですよね。
「毎朝、元気よく挨拶すること」を続けることで、私はどんな風に新しい職場に変化をもたらすことができたんだろう?と、思います。
私が与えた変化は、必ず自分の変化や成長となって返ってきますから、どんなギフトを受け取ることができたんでしょう?
単純なことだけど、誰もができることでもないんですよね。
熟練した技術も、専門的な訓練もいらない、ただの「挨拶」なんですけどね。
さて、話は少し長くなるのですが、心理学的なお話も少し。
自分自身を変化させたい、日常をよりよくしたい、人生を今よりもっと良くしたい、って思った時、一番何が必要だと思いますか?
ここまで読んでくださった方は「挨拶」と、思われるかも知れませんが、それだと、半分だけの正解です!
本当の正解は、「コミュニケーションをとること」なんです。
人は、人間関係の中で傷つきます。
でも、同じく、人間関係の中で癒されます。
極端な話、成功も失敗も、コミュニケーションの中にあるのです。
そのコミュニケーションの中でも特に大切なことは、
 ・自分から伝える勇気を持つこと
 ・本当に感じている感情を伝えること
の2つです。
まず、一つ目。
「自分から伝える勇気を持つこと」
これが「挨拶」ですね。
新人でなくても、初めての場所、知らない人ばかりの場所でも、「恥ずかしいから」って、誰かに挨拶してもらうのを待っているよりも、少し勇気を出して自分から挨拶をする方がずっといいですよね。あなたに挨拶された人は、あなたに好感を持つでしょう。周りから見ていていても、自分から伝える勇気のある人は応援したくなります。
挨拶だけではありません。当たり前のことですが自分以外の他人が、貴方の欲求をエスパーのように察知してくれるわけでもないですし、あなたを幸せにするために細心の注意を払っているわけでもありません。
あなた自身が行動して、コミュニケーションを取ってゆく勇気を持つことで、人生は大きく変わってゆきます。
もうひとつは、「本当に感じている感情を伝えること」
残念なんですが、本当に感じている感情を避けて話すことは、失敗感を強める結果を生みます。
自分の感じていること、心の声、身体の声に耳を傾けて、まずは自分に伝えてみてください。
「頑張らなきゃいけないけど、身体はずいぶん疲れてるから少し休もうよ」「うれしい!」「コレが好き!」
それができたら、近くにいる人に。
「ありがとう!」「ごめんね」「好きだよ」
天邪鬼さんは、なかなか自分の気持ちを伝えることができません。それは、照れくさかったり、もしかしたら過去になにか大きな傷があるのかもしれません。本気であればあるだけ、言えなくなってしまう。勇気が必要になりますよね。
でも、自分の中の恥ずかしさや、傷を越えて、自分の本心を伝えること。
やってみるとわかりますが、その勇気を持てると、自信にもつながります。
せっかくの春、新生活の季節です。
あなたの人生も、是非、バージョンアップしてみてくださいね。
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