●10年目の結婚指輪

僕達夫婦は結婚して今年の秋で丸9年。今、ちょうど10年目に入ったところです。
そんなある日、僕は、奥さんのはめている結婚指輪が、長い年月が経って随分キズができていることに気がつきました。
10年目にもなれば、指輪もそんなになるんだね、と話をしていた時、僕は、ふと、「そういえば、俺の結婚指輪どこにあるんだろう」と口に出しました。
「失くしちゃったんじゃないの?」という奥さんの言葉を背に、確かにここに仕舞ったはずだと、探してみると、やっぱりありました。
「あったよ、ちゃんと仕舞っておいたから」
そう言いながら、僕はなんだかとてもうれしくなりました。
そして、このまま指輪をはめてみようかな、と思ったのです。
僕は、大学生の頃から、指や腕にアクセサリー等をつけると、手首が痛くなるという症状がでるようになっていました。
指輪やブレスレットはおろか、腕時計もできないため、今日のように携帯電話を持ち歩くようになるまでは、時計といえば、懐中時計のタイプか、何ももたないというくらいだったのです。
そんな僕も、指輪を買うことになりました。
今の奥さんである恋人と結婚するからです。
二人して、いろんなお店を見て歩いて、シンプルだけど、自分達にぴったり!という結婚指輪を探すことができました。
ところが、僕は指輪をすることができません。
せっかくの結婚指輪だからと、結婚当初は試みてみましたが、やっぱり手首が痛くなってしまうのです。
それでも、せめて身につけることだけはしておこうと、持ち歩いたりもしましたが、それこそ失くしてしまいかねません。
そんなわけで、結局、僕は、10年目を迎えた今まで、結婚指輪をしていませんでした。
それどころか、指輪の存在そのものを忘れていたのです。
本当に、たまたま思い出した結婚指輪。
それが10年目に入った今であることが、僕にはなんだか、指輪をはめる、いいきっかけのような気がしました。
今なら指輪ができるかもしれない。
そう思って、その瞬間から結婚指輪をすることにしました。
すると、しばらく経っても手首は痛くなりません。
結局、その夜は、手首は痛くなりませんでした。
翌朝、起きてみても、変化はありません。
おお!これはもしかしたら、いけるかも!
僕はとてもうれしくなり、そのまま指輪をし続けました。
その夜。
次の朝。
そして、また、その夜。
何夜も、時が過ぎていきましたが、問題は起こりませんでした。
ある時、奥さんが僕が結婚指輪をしているのに気が付いて、「指輪してるの?」と驚きました。
そして、彼女は、こう続けたのです。
「指輪をしている男の人って、私、何か好きだよ」
こうして、今日まで、結婚指輪は僕の指に納まっています。
今まで仕舞ってあったから、ピカピカ光って。
まるで、結婚したばかりのようです。
普段、何気ない動作の中で、指輪をしていることに気がつくと、何故だかいつもうれしくなります。
そのうち、指輪をしていることが当たり前になって、気にならなくなるのでしょう。
そして、僕の指輪も毎日の生活の中でキズができたりしていくのでしょう。
奥さんの指輪と同じように。
まるで、二人で人生を生きている証を刻むかのように。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

池尾 昌紀

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。