◇「お好み焼き」と「存在意義」

今、成井家では小麦粉が余っています。
母は使い道に困っており「お好み焼きでも作ろうか?」と言っていますが、そ
のまま1ヶ月以上経ってしまいました。
そして冷凍庫には、レンジでチン!するだけでOKの市販の冷凍お好み焼きがあ
ります。
昔、我が成井家では”お好み焼き”は父親の仕事でした。
自営業で忙しく、自宅で眠る事も少なかった父とは残念ながら家族団らんの思
い出があまりありません。本当に小さかった子供の頃は違うでしょうが、小学
校低学年の頃に賃貸から分譲のマンションに移ってからは、父が家の中にいた
時間は本当に少なかったように思います。
それでも月に何度か夕食を一緒に採る機会があり、そうした時に父が率先して
家族に振舞ったのが”お好み焼き”でした。
兵庫県の姫路生まれの姫路育ちなのに、父のこだわりは広島焼きで、いろいろ
ウンチクを並べたりしていました。
ヘラで重なりあったお好み焼きを上手にひ
っくり返す父の姿に子供の私は大興奮で、「自分もやりたい!」とヘラを奪い
取ってチャレンジしてもことごとく失敗していました。
その失敗を父がまた綺
麗に直してくれて〜、それがまた尊敬だったりもしました。
父は「うまいか〜?」と言いながら次々焼いていきます。
そしていつも自分が食べるのは最後になってからでした。
今思うと、そこにも愛情があります。
そんな父が亡くなってもう8年。
お好み焼きを自宅で作る機会はもうほとんどありません。
昔は買足しても足りなかった小麦粉が余っている様子を見て、父が居ないこと
を改めて実感すると同時に、笑顔でお好み焼きを口いっぱいに頬張っていた自
分の姿を思い出しました。
平凡だけれども最も温かい思い出です。
カウンセリングをしていると、時には「死」や「存在意義」などの哲学的な部
分に関係する話も良く出てきます。
自分は何の為に生きているんだろう?とか、自分は何の役にも立っていないの
ではないか?とか、自分は居ても居なくても一緒なのではないか?とか、誰か
らも必要とされていないのではないか?とか、自分が居なくなっても世界は何
も変わらないだろうな・・・とか。
実は私自身も昔そう思っていました。
でも、冷蔵庫の中の小麦粉1つを見ても、そこには誰かとの思い出を象徴した
り、誰かの存在を証明する事実があります。
「1人の人間が生まれ、そして生きている」というのは、それだけでとても大
きい影響力を持つのです。
あなたにも、その素敵な影響力はあります。
あなたが今、”生きている”と言うことは、それだけで偉大な事なんですよ。
小麦粉1つで、自分が生きている事の重要さや偉大さを実感を感じた今日この
頃なのでした。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

成井 裕美

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。