ありのままでいても独りじゃない

「変わってるよね」

そう言われたら、どんな気持ちになりますか?

ショックを受けちゃう?
ありのままの私なんて受け入れられないんだって感じちゃう?

人によって感じ方は様々だと思いますが、過去の私はそう言われるたびにとてもショックを受けていました。
まるで自分は社会の中で失敗しているような独りぼっちなような、そんな不安や怖さを漠然と感じていたのです。
だからこそ、友達の口から聞いた言葉の衝撃を私は今でも忘れることができません。

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「変わってるって言われたら、私にとっては褒め言葉」

初めて彼女の口からそう聞いた時、私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたことでしょう。
その時、私はまだ高校生になったばかり、変だとは思われたくない時期の真っ盛りでした。

本当は人と話すのも緊張するほど怖がりで恥ずかしがりな自分、団体行動は苦手で女の子同士のツレでお手洗いに行く意味がわからないと本当は思っている。
当時は小説家になりたいって夢がありましたが、それも笑われてしまいそうな気がして、誰にも言えませんでした。
端から見ると楽しそうな充実した学生生活だったと思います。
けれど、私は毎日、学校が終わるとぐったりして家では起きあがれなくなるような日々が続いていました。

そんな中「変わってるよね」と言われる彼女に出会うのです。
周りが成績や先生からの評価を気にするのに「夏休みの宿題なんて全部やったことない」って言っちゃう彼女。
「変わってるって言われるの嫌じゃないの?」って聞いた時、返された言葉でした。

そう思える彼女をとても強くて素敵だなと思いましたし、とっても憧れました。
彼女と一緒に過ごすことでそれまでのグループからは外れてしまったけれど、自分の好きなことや夢も話すことができて、起きあがれなくなるような日々はなくなったんです。

当時、地方では皆が同じように地方の大学に進学して就職していくことが多かった時代。
彼女は学年が変わることも承知で「行ってみたいから」と海外に留学し、先生達に「無理だ」と言われながらも東京の大学に進学していきました。

彼女に憧れ、同じように強くなりたいと思いながらも、私の中には、相変わらず人目を気にする私がいました。
自分の好きなこと、やりたいことも怖くてできない。
そんな自分を弱くて情けないとも思うけれど、普通の人に見えることが自分を守る為にも一番だと感じていました。

今思うと、周りの人ではなく私自身が「あなたは変わっている」と誰よりも一番、自分を傷つけていたんです。
私達は自分で自分のことが嫌いなところが多い分、誰かにも嫌われると感じて自分らしさを隠してしまいます。
でも、それをするとまるで透明人間のように印象に残らなかったり、仮面を付けてニセモノの私を演じている気がして疲れてしまうんですよね。

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彼女との交流は彼女が東京に行ってからも続いていて、東京で一度、会ったことがあったんです。
けれど、その時の彼女は何だか少し元気をなくしているように見えました。
「留年しちゃって」と彼女は苦笑していましたが、何か考えているようでもありました。
当時の私は、そんな彼女に「何かあったの?」と聞いてあげることもできず、ただ「大丈夫だよ」としか言えませんでした。
それから一年して、私は彼女に子供ができて結婚したことを手紙で知るのです。

その当時、最初に聞いた時は「もっと早く言ってくれたらよかったのに」と思いました。
けれど、すぐ後から考えるとそれは、とても怖くて勇気がいることだったのだろうなと思ったんです。

出会った頃の彼女は16歳、彼女が妊娠した頃だって23歳くらい。
私を含めて他の友達は学生だったり、働いていたりする時期です。
何を言われるだろうと言う気持ちもあったことでしょう。

今は、人によってそれぞれの生き方や価値観があると多くの人が知るようになりました。
「変わっている」だって「個性」や「才能」だと多くの人が感じられるようになってきています。
でも、16歳の多感な頃に「変わっている」と言われるのは、私もそうだったように彼女にとっても辛いと感じることはあったと思うんです。

それでも、「褒め言葉」だと思えるくらい彼女は自分の個性を受け入れ、家族や友達の「大丈夫」と「そのままのあなたが好きだ」という愛を受け取る勇気を持っていたのでしょう。
そんな彼女だからこそ、相手のありのままを見ていて、私自身も自分らしくいられる瞬間をたくさん与えてもらっていたのです。
それは、人によっては変わっていると見えるかもしれないけれど、決して独りではなくむしろ誰かと一緒にいられる世界でした。

小説家になる夢は諦めてしまったけれど、何年かして「カウンセラーになりたい」と言った時も、彼女は「無理だ」とは言いませんでした。
可愛い子供たちに囲まれながら、ただ笑って「大丈夫だよ。きっとなれるよ」とだけ言ってくれたのです。

カウンセリングをしていると、昔の私のように「変ってると言われたくない」「ありのままでいると責められるんじゃないか」って感じている人と出会うことがあります。
でも、一番、自分にその言葉を言っているのは誰でしょう?
あなたがあなたらしくいられる姿を応援してくれたり、幸せな姿を見たい、その勇気に感動したと思っている人は実は身近にもいるのです。
その応援を受け取る勇気を持てば、世界は大きく変わるのかもしれません。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大麻 織江

お客様からは「話していて安心できる」「気持ちが落ち着く、整理できる」と定評がある。自身の過去のいじめから来る対人恐怖(男性恐怖)、過食症を克服した経験を持ち、繊細な感受性でお客様ひとりひとりの心に寄り添い、どんな時もお客様の魅力と光を見続けるカウンセリングを心情としている。