●スイート

「ハニー」とか、「シュガー」とか、よく洋楽や映画なんかでは、恋人や自分の”かわいこちゃん”のことを、
「ダーリン」と並んでこう呼んでいたりしますね。
”Sweet”、辞書で調べると、「諸感覚で”気持よい”が原義」と書いてあったりします。
実は、私のダンナはケーキ職人。お店を出してから今年で9年目になります。
もともと知り合ったのが、その前に務めていたケーキ&喫茶のお店で、独立してから一緒に甘いながらも厳しい商売を目の辺りにしてきました。
よく、友人にはこう言われます。
「え〜、いいなぁ。」
「夢のある仕事だよねぇ」
「毎日ケーキ食べるの?」
飽き性の私も、なぜか甘いものだけは飽きることなく食べていたりします。
でも商売柄、主人の作るケーキの”品評家”である私は、最近になって「おいしい」ケーキしか食べないことにしました。
ケーキにも”食べごろ”があるんです。
作りたてがおいしいのは言うまでもありませんが、ほどよく時間が経った方がおいしいケーキもあります。
お酒に漬け込んだドライフルーツを焼きこんだタルトなど。
普通、あまり食べ過ぎると「いけない」という意識が働いて、食べなかったりするのかもしれませんが、節制がききません。食べたい時には正直に食べたい、だけど食べればウルサイので、もっぱら主人が「あかん!」と言う始末。
食べるまではまるで、おねだりをする子供、そして食べればあーだこーだと文句を言うオカン(お母ちゃん)になってしまうわけです。
でも、本当は子供でもオカンでもなく”スイート”になりたいんですが・・・
結婚をしていたり、長年連れ添っていたりすると、パートナーとの関係は最初の甘い感覚なんかなくなって当たり前、だと思われがちです。
いろいろな面を知って、ときめきや新鮮さが失われていく・・・
でも、本当はそうではないことを、カウンセラーをしていると、これまた目の当りにするんですね。
友人の中には、おバカなほど、おアツイ夫婦がたくさんいます。
ま、私たち夫婦も相当おバカなんですけどね。
苦い、辛い、すっぱいなどの味覚の中で、甘い、という感覚は、なぜか神経に浸透しやすいのだそうです。
疲れたときに甘いものを食べたくなるのは、身体の中で最も繊細な脳にとっての栄養が”糖”だからなんですね。即効性があるわけです。
食後にデザートを食べるのも、実は身体にとっては理にかなったものなんだそうです。
この『甘い』という感覚、対人関係で感じる事ができるのはパートナーとの間でなんですよね。
みなさんは、感じていますか?
辞書を見てもうひとつ発見があったんです。
”Sweet”には、「よい声の」とか、「思いやりのある」という意味もありました。
甘い「香りの」という意味も。
まさに、諸感覚にとっての”気持ちよい”が盛りだくさんな言葉なんですね。
酔いしれる、とは少し違った感覚です。
私たち日本人は、あまり目と目を見詰め合ってお互いの愛を感じあう、ということをしませんね。
殺し文句も、落とすまでの武器になってしまいます。
”照れ屋”な民族、”恥ずかしがりやさん”であることが国民であることの必須条件、のようなところがあります。
それは、「気持ちよい」と感じる事に、どこかストイックなところがあるからかもしれません。
世の中には、それはそれは山ほど、この「気持ちよい」を感じることができるものが、たくさんあります。
温泉にマッサージ、エステもスポーツも、カラオケだってそこに含まれるかもしれませんね。
風俗もまたしかりです。
あらゆる「気持ちよい」が溢れるこの世の中で、最も身近で、最も手に入れるのが難しいと感じてしまう、パートナーとの関係で得る事のできる「気持ちよい」、私の夢は、この”スイート”をもっともっとたくさんの人に感じてもらうことなんです。
苦しい経験や、孤独や悲しみ、憎しみや嫉妬さえも、全ての痛みは、それらを乗り越えたところに、
この”スイート”を感じるためにあるような気さえしています。
離婚寸前まで激しく争っていたとしても、それでも愛を選択すれば、そこには想像以上の安らぎややさしさがあるからです。
ケーキ屋さんは夢のある仕事・・・
実際ほとんど力仕事、そう思えることの方が少ないのが事実なんですが、それでもケーキを作り続ける主人を見ていて、 いつも勇気付けられます。
家庭でも、友人とでも、職場ででももちろん、お見舞いに行く人も、お祝いに行く人も、誰もがみな誰かに「喜んでもらおう」という気持ちをもって、ケーキを持ち帰ってくれます。
その思いやりを、心の中で育てること、大切な人との間で育てること、そして、それを味わう、楽しめる、そんな生きる事の醍醐味をもっともっと、たくさんの人に知ってもらいたい、そんな気持ちでひとりひとりの方とお話しする仕事。
手段は違っていても、私たち夫婦の夢はひとつです。
もしも今、苦い思いをされているなら、ほんの少しの「スイート」を。
思いやりや、やさしさを、声で態度でその振る舞いで、誰かに伝えてください。
作り方は、私たちまで。豊富なレシピをご用意しています。
源河 はるみ

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。