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Lecture.881

疾病利得〜社会復帰への最初のステップ〜

講師:熊谷佐知恵

自分が疾病利得にあったことを冷静にみられるようになると、次第に社会復帰へのプロセスが気になりますよね。数ヶ月の休養や休職の場合とは異なり、長期に渡って社会生活から離れてしまった後の復帰って、その間に遅れをとってしまったような焦りや経験の少なさからくる不安でなかなか動き出すまでに苦労してしまうことも少なくないのではないかと思います。でも、だからこそ、なおさら、人生の遅れを取り戻そうと焦ってハードルをあげてしまうよりも、今できることからステップを踏んで行けるのが理想です。
「生まれながらにしてもう一度、生まれ生き直す」というプロセスを意識しながら、段階的なチャレンジと達成感を感じられることがコツ。
今、自分はどんな段階にいて、どんなチャレンジが必要なのか、人生の大きな流れを捉えながら「自然にそうしたくなる」自分の変化に気づいていくと無理なく一歩が踏み出せるのではないでしょうか。

Keywords
隠れた目的 社会復帰 自信を取り戻す プロセス 受け取る 

◎リクエストを頂きました◎
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私は長年、精神的な理由で、社会生活を送れていません。
少しずつ良くなってはきているのですが、どうしてもあと一歩が踏み出せません。
自分が疾病利得の状態にあることも理解しています。
この、疾病利得を脱け出す方法やヒントがあったら、教えていただけると嬉しいです。
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リクエストをありがとうございます。
今回、担当させていただく熊谷佐知恵です。どうぞ、よろしくお願いします。

●疾病利得(しっぺいりとく)とは?

疾病利得とは病気によって得られる利益を指す言葉です。

病気という存在が「何か嫌なこと」からあなた自身を守っている状態とも言えます。例えば病気でいればみんなに優しくしてもらえる、勉強や仕事など、やらなければいけないことをやらなくて済むといった利益があると考えられる場合などがそれにあたります。

内的な葛藤やストレスが続き、そのプレッシャーが心や体の疾患となって現れることもありますが、似たような現象として事故や怪我、トラブルなどにより、これまで取り組んでいたことをすべてストップせざるを得ないような場合も、心理学では、隠れた目的を達成するための必然的な出来事だったなんていう捉え方をする場合があります。

いずれにしても、無意識の作用で「何かから自分を守る必要があった」という意味で一見不幸な状況の中に利得と言えるようなことを見出した状態を指している概念だと思ってみてくださいね。

●社会復帰になかなか一歩が踏み出せないのはなぜ?

さて、疾病利得があったことを冷静に受け止められるようになった頃、気になりだすのが社会復帰というテーマになります。

一度止めてしまった社会生活を送るための習慣にもう一度歩みだそうとする時に、改めて不安や怖れを強く感じてしまうことも少なくないように思います。

なぜならば、自分の意志でそうなったわけではないことが大きな要因になるからです。

たとえば、断りきれなくて無理をしすぎてしまっていたことで疾患を患ってしまった場合などは、改めて、断るといった課題に取り組むことも出てきますし、加減を掴むには自分をより深く知ることや、なぜ断れなかったのかに気づいておく必要もあるでしょう。あるいは、社会生活をストップする前の焦燥感やストレスでいっぱいの頃に戻ってしまいそうな怖さが出てくることもあるのではないでしょうか。

●大きな流れを把握する

長期間、社会生活をストップしてきてしまった人たちにとっては、「生まれながらにしてもう一度、生まれ生き直す」というようなプロセスといえます。
なぜならば、これまでのやり方や生き方に無理や限界があって長期休養の必要があったのですから。

ただ、これまでと違うのは、ここからは無意識に用意されていた環境を生きるのではなく、意識的に生き直すという部分が色濃く出てくるということです。

家や自分の部屋は、まるであなたを守る子宮のような場所だったかもしれません。
これからあなたが取り組もうとしているのは、そこから自らの意志で生まれ出て社会に向かい、社会に溶け込んで生活していくようなスッテップが必要です。
そのためには、公園デビューや幼稚園、小・中・高と学校に進学するようなチャレンジや段階的な学びや気づきがあるかもしれません。

生まれてから当たり前に与えられていた環境を、今度は学校という枠組みを超えた関係や社会や世界の中で、少しずつ自覚を持って体験し直すといいのではないかと思うのです。

今、自分はどんな段階にいて、どんなチャレンジが必要なのかわかっていると、必要以上に人と比べて焦ってしまうことも少なくなります。

●恩恵を受けているという自覚は大切

家族や福祉、あるいは社会保障によって、長期間、家に篭る事ができていたという気づきは、赤ちゃんが子宮の中の恩恵を感じているようなことと言えるかもしれません。
実際に私たちがお母さんの子宮に宿った時、それがどうだったかなんて覚えていませんが、その頃の情景と家に篭っていた期間の体験を重ね合わせてみると、いろんな奇跡的な力で自分は守られ生まれることができ、そして、ここに生かされていることに気づいていけるかもしれませんね。

まずは、そういった事柄(恩恵)を少しずつ拾い集めていけるといいでしょう。

そうは思えなかった時期が長くあったとしても、昔も今も、自分は愛され、守られている。

こんな風に、過去を振り返り、今を受け取り直すことができたなら、あなたの中に再び、あるいはそれがまるで初めての体験として、内側から力が湧いてくるのを感じられるのではないでしょうか。

●現状に充分飽きてくると自然に動きたくなってくる

自分の中の愛の状態が整ったのなら、今度は、外にその愛をどうやって表現するかを考慮してみてください。どうやったら、いっぱい愛を届けられるか?です。

現状に充分飽きてくることで自然に動きたくなってくるのが人間(笑)

その際に、急に動きだろうとするのではなくて、複数の現実があることを知った上で、部屋を片付ける、家族や家事の手伝いをするなど、幼児が初めてのお使いに出掛けるようなつもりで、(それは自分のためでもあるのですが)誰かの役に立つというような経験を簡単にできそうなことから始めてみるといいでしょう。

●すべては変化するもの

それがナチュラルで自然なことです。

私のカウンセリングでは、クライアントさんが「自然にそうしたくなる」状態で一歩一歩進んで行けるようにサポートすることを心掛けていますが、一連の社会復帰までのプロセスを私たちのようなカウンセラーに定期的な分かち合いを通じて見守ってもらいながら進めてみるのもいいですね。

思考と感情と行動が一致して、「無理なく自然にそうしたくなる」そのようなチューニングポイントを見つけ、Baby Stepを踏み出せますように、何かヒントになりましたら幸いです。

(完)


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