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Lecture.796

周囲の人の「助けて」にこたえられない〜罪悪感より愛を選ぶ〜

講師:大塚統子

いろいろな人に「自分を犠牲にしてでも助けたい」と感じるようなケースでは、助けたかった人が別にいたり、助けてもらえなかった自分を抱えていたりすることがあります。本当に助けたかった人との関係を見直してみる、自分が助かることに取り組むことで、「無理をしてでも助けなきゃ」という気持ちが変化し、より楽な助け方がしやすくなるでしょう。
相手の痛みと自分の痛みで癒着した状態では、適正な距離がとりにくくなります。距離をとることに罪悪感が刺激されます。しかし、罪悪感から相手を助けようとしても、自分が無理をして苦しくなるばかりか、相手が変化するきっかけを奪ってしまうことにもなりかねません。
愛からの助け方は、相手を大切に思っていることを伝えながら、NOはNOと示すことです。そして、「あなたにはそこを抜け出す力がある」「あなたは幸せになれる」と相手を信頼することです。
まず自分が幸せになり、罪悪感ではなく、愛を選択しましょう。

Keywords
助けたい 癒着 変化の妨げ 罪悪感 信頼 

◎リクエストを頂きました◎
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周りの人の「助けて」との悲痛な叫びが聞こえるような気がします。大切な人なだけに、攻撃を受けたり、お金を差し出したり、昼も夜も関係なしの長文の愚痴メールさえ許してあげたいと思ってしまいます。
ところが最近はそういう人からのメールや電話がかかると、めまいと頭痛と吐き気がきて起き上がれなくなってしまいます。さっきまでの平和で幸せな時間から一瞬で暗闇に落とされます。
もちろん、こういうことをされたら私は辛い。と伝えていますが、治まるのは一時です。だから今は距離を置いています。
本当に信頼できる人たちと関わる中で、癒されのびのびと解放されています。理想は助けを求めてる人たちもそういう関わりの中で一緒に笑いあえたらな。と思います。
ですが私が何を言っても伝わらなかったので諦めが勝っています。きっと私の言葉に力はないし、その人の欲しいものさえ差し出していれば自分を守れるんだと思います。内心とても悲しいです。その人たちはいつも心の片隅にいますし、その人たちの夢も見ます。大好きなんです。これはやはり自分自身の問題でしょうか。
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○ 本当に助けたい人は誰?

いろいろな人に「自分を犠牲にしてでも助けたい」と感じるようなケースでは、本当に助けたい人が別にいることがあります。

例えば、心の奥で「父親からひどい扱いを受けていた母親を助けたかったけれど、子供の自分は無力で、母親を助けることはできなかった。」と思っていたとします。そうすると、助けを求めている人を放っておけない気持ちになります。しかし、本当に助けたいのは母親ですから、いくら他の人を助けても、助けた気がしないのです。そしてまた、助けを求める別の誰かを見つけては、「助けられなかった」という感情を繰り返し感じます。

このような場合、一番助けたかった母親に対して、自分がしていたことを考えてみましょう。父親を悪く言う母親の愚痴話、聞きたくなかったけれど、つきあっていなかったでしょうか。全面的に母親の味方になっていた時期はありませんか。

母親が置かれていた状況を変える形での助けにはならなかったかもしれませんが、延々と愚痴に付き合ってくれる人がいたこと、味方になってくれたことは、母親の気持ちを支える助けになっていたのではないでしょうか。子供なりに一生懸命がんばって助けていたと、自分のがんばりを認めてあげましょう。あなたが傍に居たことで、母親が笑顔になることだってあったはずです。

「母親を助けられなかった」のではなく、「少しは助けになっていたのかも」と思えるようになると、必要以上に「人を助けなきゃ」という思いに振り回されにくくなるでしょう。

○ 助けが必要なのは自分

もうひとつ、「助けてもらえなかった自分」を抱えていると、周囲の人に「助けて」と求められていると感じやすくなります。

例えば、両親が共働きで、自分がさみしくて仕方がないのを我慢するしかなかったとします。そうすると、「あの人、さみしいんだな」と、他人のさみしさに敏感に反応します。そして、その人のさみしさを埋めようとして、無理をすることがあります。

表面上は「助けたい」という善意なのですが、深層では「さみしさ」でくっついている関係です。自分がさみしいのか、相手がさみしいのか、境目がわからなくなりがちです。相手のさみしさを、まるで自分のさみしさの一部のように感じているので、切り離そうとすると大きな痛みを伴います。だから、多少の無理を強いられても、がまんして「助けよう」とし続けてしまうようです。

このような場合、まず自分が助かることに優先して取り組みましょう。助かった自分でなら、別のかかわり方がしやすくなるでしょう。

○ 罪悪感より愛を選ぶ

くっつきすぎていた相手と適正な距離をとろうとすると、「自分だけ申し訳ない」「自分勝手じゃないか」「人としていけないことをしているのでは?」「見捨てるのはひどい」と、罪悪感が刺激されることがあります。

相手が前よりもひどい状態になって、「私にはあなたしかいないのだから」とすがったり、「こんなに辛いんだから○○してくれてもいいでしょう」と脅したりすることもあるでしょう。人は、罪悪感を刺激して自分の欲求を満たす方法を、無意識的に知っているようです。

ここで大事なのは、罪悪感を感じたくないからと、相手の無理難題に付き合わないことです。本心では嫌なのに無理やり応じていると、身体に拒絶反応が出ることもあります。罪悪感を避けようとして「助けよう」とするのは、自分のためにも相手のためにもなりません。

例えば、借金を繰り返す彼がいたとします。返済に困るたびに人に泣きついてきて、「しょうがない」と助けていたとします。そのやり方で毎回何とかなっていたとしたら、彼は「借金をしないようにしよう」とは思わないでしょう。

相手は、今のやり方で自分が望む状態が手に入っている限り、現状を変えようとは思いません。必要以上に手を差し伸べることは、相手の変化の妨げにすらなってしまうことがあります。

さらに言えば、不幸を取引材料にしてコミュニケーションを続ける人は、「自分はいいことをしていない」のを心のどこかで感じています。嫌がられながら助けてもらわなければならないのが自分だと誤解してしまっているのです。

極端な話、罪悪感から相手の要求に応じることは、相手にも罪悪感を感じさせることになっていきます。助けるつもりが、逆効果になってしまいます。

相手のことが大切なら、たとえ「なぜ助けてくれないの」と罪悪感を刺激されたとしても、嫌なことは嫌、できないことはできないとキッパリ伝えることが愛です。そして、相手を大切に思っていることを伝えながら、「あなたにはそこを抜け出す力がある」と信頼を送り続けましょう。

「罪悪感ではなく愛を選ぶ」と決めて、まず自分が幸せになって、「あなたも幸せになれるよ」と適正な距離で応援しましょう。時間はかかるかもしれませんが、「私のことを信じてくれる人がいる」のは、きっと相手の助けになるでしょう。

(完)


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