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Lecture.624

人の幸せを素直に喜べないのは何故?

講師:浅野寿和

人の幸せを素直に喜べない、悔しさや嫉妬を感じる時、とてもイライラしますし、どこか自分を責めてしまいがちですね。そんな時、私たちの心の中では「理想化した自分」と「今の自分」との間で葛藤が起こっているものです。内面の葛藤に気づき、自分の中にある様々な感情と上手に「共存」していく意識を持つことが、このような状況を抜け出す鍵になります。

Keywords
観念 劣等感 理想の自分と完璧主義 感情の共存 許し

◎リクエストを頂きました◎
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私の結婚が決まってから、ほどなくして友人も結婚が決まりました。これはとてもおめでたいことです。なのに、器が小さくてお恥ずかしいのですが、私がようやく手に入れた幸せを周りの人もあっけなく手に入れたことに対して、私はものすごい悔しさを感じてしまうのです。
私は昔から周りが簡単に手に入れるもの(友達、健全な身体等)が自分には手には入らないという思いが昔からあります。今回の悔しさに関係しているような気がします。
どうしたらこの悔しさから解放されるでしょうか。教えていただけますと助かります。
(一部編集させていただきました))
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■私達の心には「観念」と呼ばれるものがあります。いい意味でもそうでなくても「こうあるべき」という考え方、思いのことを指します。

身近な例で言えば「家に帰る時はただいまと言う」「食事をするときはいただきますと言う」というものも観念なんですね。

これは一つの行動や習慣の例ですが、私たちの「自己概念」〜自分が「私はこういう人間である」と感じるもの〜も、一つの観念。その自己概念は、自分の成長過程での様々な体験や、それと結びつく感情体験などが大きく影響しているものなんですね。

いただいたリクエストにあるよな、幼少期から辛い体験や、周囲との差を感じ、心の痛みを感じたり、ネガティヴな感情を感じることが多い場合、自己概念も徐々にネガティヴになってしまうこともあると思います。そこから人との比較の中で、嫉妬や悔しさ、悲しみなどの感情が生まれることもあるでしょう。

ただ、実際に心の中をじっくり見つめると、またあなたの「自己概念」とは別の「観念」があなたを苦しめているとも考えることができるんですね。

それが「ネガティヴな自己概念」や「劣等感などの感情」が作る「理想化した自分」という観念です。

■私たちの心はネガティブな自己概念を抱えているとその逆の想い、「素晴らしい人(私)はこういう人(私)」「自分はこうあるべきだ」といった想いを持つようになるんですね。

どこか自分の中で出来上がった「理想化した自分」です。

私たちはいつも対人関係の中で「他人と自分を比べている」ように感じますが、心理的には「理想化した自分」と「今の自分」を自己の内面で比較し、競争しているんですね。

今回いただいたリクエストで例えると、私が「周囲の人の幸せを見て悔しい」と感じるのですが、心の中では「自分には幸せがふさわしい、簡単に幸せになれる」という想いが「自分が幸せになれないのでは?と恐れを抱えている、もしくは自分に幸せはふさわしくない」という想いに負けてしまった状態になっている、ということになるんですね。

もちろん、このような感覚は、いつも内面で比較・競争を意識していては常に心が葛藤状態や劣等感を感じる状態になります。それはあまりに辛いですから、普段この感覚はなりを潜めています。何かしらのきっかけ、出来事がトリガーになってその内面の感情や感覚が浮かび上がるんです。

また、この「理想化した自分」は「あなたの劣等感や心の痛み」の度合いと比例して「完璧さを持つ理想」として作られていることが多いものです。それは時として自分にとって高いハードルになってしまうんですね。

そしてその高いハードルと今の自分を比較してしまい、挫折感を味わったり、そうなれない自分を過剰に責めてしまう。この時に悲しみや辛さ、それを否定するような悔しさや怒り、時には幸せになれないという恐れが生む独占欲のようなものが生まれてくるんですね。

■さて、今回のリクエストのお話はこうも考えられないでしょうか?

素晴らしい自分でいたい、人を愛したいという欲求がなければ、人の幸せを喜べないことで悩まない。

私たちにとって「理想化した自分」は時に確かに高いハードルになりますが、一方であなたの中に「素晴らしい人でありたい」という欲求、いただいたリクエストでいえば、「人の幸せを喜び、祝いたい」という想いもまたあなたの中にあるということが分かります。

つまり、このような問題から抜けるためには、あなたの心の中で素晴らしい自分と「上手に共存する」ことがポイントだと言えます。

まずは自分の中に素晴らしい自分がいると認めること。そして、徐々に自分の中の高いハードルを外し、今の自分の中でできる限りの「本当に伝えたい思い」や「愛情」を感じて自分を許していきましょう。

もちろんその時に「悔しさ」などのネガティヴな感情を感じていても大丈夫。完璧に愛せなければ意味が無いとあなたを諦めさせるのが、理想化された自分、高いハードルの罠。

ポジティヴな感情もネガティヴな感情も必要だから私たちの中にある。だから共存することが大切なんですね。できることから少しづつ、ゆっくり自分を愛して認めていきましょう。

そうすることで実は本当の意味での「あなたらしさ」が手に入っていくのです。そこでは内面で起こる「理想化された自分」との比較や競争は少なくなりますから、対人関係の葛藤などは次第に和らいでいくでしょう。

■もちろん「理想化した自分」を心の中に持つことや、心理的な競争・葛藤をすること自体が「悪」ではありません。理想は自分を高める上でとても重要なことでもあります。お互いを高め合う競争はポジティヴなものですし、心理的な葛藤は心を強くする側面も持ちます。

しかし、何事も自分をただ苦しめる理由にしてしまっては、本来の意味をなさなくなってしまいますね。まさに「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

上手に自分の内面と付き合うことが幸せや成功の秘訣と言えますね。

(完)

関連する講座へのリンク集
25.心を縛る鎖のお話〜観念の心理学〜
67.許しの心理学2〜恨みつらみを許してみよう〜
164.許しと手放しの心理学
455.妬み・嫉妬の下には痛みがある〜自分の痛みを優しく扱ってあげよう〜
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