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Lecture.599

「リーダーシップの法則」とは、自分が先に幸せになること〜犠牲のリーダーシップを越えて〜

講師:池尾昌紀

一般的に「リーダーシップ」というと、犠牲、プレッシャー、責任の苦しさなど、ネガティブなイメージがあるように思います。
けれど、心理学でいう「リーダーシップの法則」とは、こうしたネガティブさとは逆の視点なのです。
誰かのために、何かのために、あるいは誰かを救おうとしてリーダーシップを発揮していく時、犠牲を伴っては誰も救うことはできません。
一見すると助けることができても、リーダーが苦しんでいては、助けてもらった方もその姿を見て苦しむことになります。
誰かを救うための方法は、まず自分が幸せになって、みんなのモデル(ビジョン)になり、その姿をみた人達が自らの力を使って進んでいけるようになること。
そこでは、誰も苦しまず、みんなが楽に幸せになることができます。

Keywords
リーダーシップ 犠牲 自分の幸せ 誰かを助ける 魅力

◎リクエストを頂きました◎
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心理学でいうリーダーシップとは、自分の問題より人のことを大切にすることだと聞きました。
これは一歩間違うと犠牲や、自分の問題から目を背けることになりはしないかと思うのですが、どのような違いがあるのでしょうか。
自分のことを一旦置いておいて人の面倒を見てあげると、「いいことをした」という実感が得られ気分は良くなりますが、それは気分が良くなったというだけで、自分の問題の根本解決にはなっていない気がします。
まず人のことを大切にしてあげて、そのあとで自分の問題に向き合うことが求められているのでしょうか?
リーダーシップの法則について今一度教えていただきたく、よろしくお願いします。
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リクエストをありがとうございました。

一般的に、「リーダーシップ」と言われる視点には、犠牲が伴うというイメージがあるように思います。
このやり方でリーダーシップを取っていくと、我慢したり、犠牲したりといった、自分のことは後回しにして、誰かを助けたり、誰かのために働くことになってしまいます。

こうしたやり方をやってしまうリーダーというのは、自分の心の奥底に「自分はだめなんだ」「自分には力がない」などの思いが眠っていて、無意識にこうした弱い部分を隠すために、がんばって誰かのために、あるいは会社などの組織のために、力を使ってしまう場合があります。
こうした場合のリーダーは、自分の弱さという自らの問題に気がつくことができないまま、リーダーシップを使っていると言えるでしょう。
だからこそ、犠牲をしたり、我慢をしたりすることになり、自分が楽しむということができません。
すると、こうした人の周りにいても、楽しい気持ちにはなりにくいですよね。

私たちの考える心理学の「リーダーシップ」とは、こうしたものとは違っています。
むしろ、全く逆の視点で、誰かのためにまず自分を大切にする、という視点なんですね。
一見すると、傲慢な、わがままな感じがするかもしれません。
でも、これは自己中心的な考え方とは違うのです。

どういうことなのかを、「山登り」に例えて説明させていただきたいと思います。

 グループで山登りをしています。リーダーはあなた。後少しで山の頂上につく所まで登ってきましたが、周りのメンバーは疲れて足が動かず、その場に座り込んでしましました。
  みんなは、あなたに先に行ってくれと主張します。
  あなたならどうしますか?

先にご説明した、犠牲してしまうリーダーシップの視点で考えてみましょう。

みんなを置いて自分だけで頂上にいくわけにはいかない。
そこで、みんなを背負って頂上に登ろうとします。
ところが、それで頂上に行けるはずがありません。
結局、自分も疲れて倒れてしまい、グループの誰も頂上にいくことができません。

もし、ものすごい力持ちのリーダーだったら、それを可能にしてしまうかもしれません。
でも、リーダーがみんなを順番に背負って頂上に着いた時。
みんなはどんな感じがするでしょうか。
きっとリーダーはヘトヘトでしょう。息をするのもやっとかもしれません。
こんな状態では、頂上の美しい景色も、美味しい空気も味わえません。
そんなリーダーの姿を見たら、みんなも楽しめないと思いませんか?

つまり、犠牲で誰かを助けても、助けた方も苦しいし、助けられた方も苦しんでしまうのです。

それでは、どうしたらみんなで頂上に行く事ができ、頂上の素晴らしさを楽しめるのでしょうか。
心理学でいう「リーダーシップ」の視点でみた時の答えは

「みんなを置いて、自分だけ先に頂上に行く」なのです。

 そして、頂上で、めいっぱい楽しみます。
  頂上がどれほど素晴らしいところかをみんなに聞こえるような大きな声で言います。
  空気が美味しくて、景色は壮大で、心が洗われるようだ。
  ここにきたら、今までの苦労はみんな吹き飛んでしまうな、と。
  すると、その声を聞いたみんなは、そんなに素晴らしいところなら行ってみたいと、自分の力で頂上まで進んで行くことができます。

心理学のいう「リーダーシップ」とは、このように、まず自分が幸せになるやり方です。
自分が先に目標を達成し、モデル(ビジョン)になることで、みんなの励みになったり、力になったりできるのです。

また、心理学では、リーダーシップの原則として「助けを求める声に応える」という表現をします。

あなたの周りには、気がついていないだけで、あなたに助けを求めている声があるはずだ。その声に気づき、その声に応えようと思ってみる、という考え方です。

私たちは、リーダーの位置につくと、そのプレッシャーなどから、自分の考え方や状況に囚われて、周りが見えなくなってしまうことがあります。これは、チームが置かれている状況が切羽詰まっている時には、さらに起こりやすくなったりします。

そうすると、自分の心に余裕がなく、単に目の前の状況を変えることに思いがいってしまい、全体が見えなかったり、進む方向がわからなくなってしまうこともあります。

そんな時には、助けを求める声に応えよう、と思ってみてください。
今、自分は苦しんでいる。でも、周りにはもっと苦しんでいる人がいるかもしれない。
今まで気がついていなかっただけで、誰かが自分に声に出せない助けを求めているかもしれない。

そうした声に応える時には、先の山登りの例を思い出して見て下さい。
そうした声に責任を感じたり、背負ってしまおうとする必要はありません。
声に応えるために、何をしようか、どこへ向かっていこうかと考えてみます。

ここでも大切なポイントは、自分の幸せを大切にすること。
つまり、楽しい、うれしい、といった喜びの感情を十分感じて、自分が幸せだと感じられる方向へ進んでいくということです。

あなたの周りに、心から楽しんでいる人、やりたいことがやれている人がいたとしたらどうでしょう。
とても魅力的に感じて、そばにいたいと思ったり、その人が語る夢を応援したいと思いませんか?

こうした自分の幸せに基づいた、楽しい、うれしいという気持ちから進んでいくリーダーの元には、人は自然と集まってくるし、そんなリーダーに魅力を感じて、一緒に力を発揮したくなります。

こうすることで、自分のためだけに目標を達成するのではなく、誰かのために目標を達成する。
そのことで、自分がうれしいだけでなく、周りの人にも喜びを与えられる。
こうした喜びは、自分一人だけでなく、誰かとともに喜べるものになります。

ありがとうございました。

(完)

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306.自分らしい魅力とリーダーシップの育て方
518-1.リーダーシップの心理学(1)〜映画から学ぶ“お願い”〜
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