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Lecture.595-2

人の評価の中で生きる方法(2)〜嫉妬や羨望を受け止める〜

講師:根本裕幸

周りから一方的に押し付けられる嫉妬や羨望の目は、あなたを辟易させ、エネルギーを奪うのに十分なパワーを持ちます。特に内面ではなく、外的要素を評価された場合、理解されない孤独感も高まり、本当に追い詰められることもありますよね。
しかし、そこであえて「お陰様で」と「そうした人の目を受け止めましょう」という提案をすることもあります。それは大人として非常に成熟した態度で、人間関係を円滑にリードする秘訣でもあるのです。

Keywords
嫉妬・羨望 孤独 受け止める お陰様で 成熟さ


●重たい現実と、嫉妬や羨望

さて、これは難しい問題です。

前回ご紹介した、自分が思っている以上の価値や評価をされる彼ら・彼女らがおっしゃっていることは「素直な気持ち」です。嘘偽りはなく、そのことで本当に困ってます。

自分の学歴や外見、職業、社会的地位などの理由により、周りから「本当の自分」ではなく、その「外面」で判断されてしまう(と感じてしまう)わけですから、行き場のない思いは募るばかりかと思います。

その一方で、周りの立場としては、そんな彼らに対して嫉妬や羨望を抱くのは人としてごく自然なことだとも思います。
もちろん、嫉妬心はとても辛い感情ですし、嫌味を言ったり、役割を押し付けるのもまた辛いところですよね。

お医者さんの奥さんだからって理由でPTA役員を押し付ける周りのお母さん方だって、羨望や嫉妬をいやでも感じてしまうのです。
でも、そんな周りのお母さんもそうした思いを持つことも苦しいんですよね。押し付けて「せいせいした」というわけでは必ずしもないわけです。
一方で、押し付けられる奥さんも、「勤務医なんてほとんど病院の奴隷で、母子家庭もいいところなんです。時間的にもPTAなんてとてもやる余裕なんて本当はないんです」という気持ちになるかもしれません。

ここでは議論は平行線です。

「お前はいいよな。事業も成功して稼いでるんだろ?着てるもんが違うもんな。それに比べて俺はあのときと変わらずしがないサラリーマンだよ。知ってるか?あれこれ理由付けてどんどん給料下がってるだぜ。辞めてやりたくても家族持ち・ローン持ちには選択なんてないんだよな。お前はいいよなあ」

そんな元同僚の言葉をむかつくやら、悲しいやら、切ないやらでじっと聞いていた社長さんがいました。

「ほんと、ぶん殴ってやろうかと思いましたよ。私がこの3年の間にどれだけしんどい思いをしたのかなんてあいつらにはわからないんですよね。」

ここでも話は平行線です。

その社長さんに「よく耐えましたね」って言ったら、「もし殴ったり、怒ったそぶりを見せたら、あいつら余計惨めになるんじゃないかと思ってね。どうせ分かってはもらえないだろうし、自分のとこの従業員の愚痴と思って受け止めようと思いましたよ」。とても器の大きな言葉でした。

自分がそう思っていなくても、周りはそういう風に見る、現実の社会にはそういうことがいっぱいあります。

私も「カウンセラーさんだから」という目で見られますよね。
昔はそういうのが嫌で、飲みに行っても、プライベートでは自分の職業を明かさないこともありました。期待されるのが辛かったし、引かれることも多かったですから。

●周りの目を受け止める。(嫉妬への対処方法)

そんな中で、どうしたらいいのでしょうか?

様々なケースがありますが、最終的にはそこで「あえて受け止めましょう」という提案をします。

自分がどう思っていようとも、周りの目をちゃんと受け止める“器量”や“成熟さ”を持ち、“覚悟”をしましょう、と。

そして、『お陰様で』という言葉を多用してくださいね、とお願いします。

嫌味を言われることもあります。

「いいわよねえ、お金があって」

そこで「いやいや、そんな大したことじゃないんです」と否定したとします。
でも、それがあなたの偽らざる本音で、真実だったとしても、その相手はあなたのその否定の言葉で「拒絶された」と感じ、嫉妬の気持ちにさらに惨めさが加わり、よりひどい気分になります。

その結果、何が起こるかは分かりますよね?
「あの人、お金があると持ってすごく嫌味な態度なの。いい気になって。いやんなっちゃうわ」
という噂を流されてしまうのです。

受け止める、ということは、「有難うございます。お陰様でいい思いをさせてもらっています。」と、“嘘でも”返すことです。

もちろん、それは心苦しいでしょう。嘘をつくわけですしね。それに自分のしんどさは理解してもらえないですから。

でも、そこでこだわりを一旦捨ててみましょう。どれくらい良い関係を築きたい相手だったとしても、今の目の前の人をよく見てください。

その人は、今のあなたを理解できる状況にあるのでしょうか?
すなわち、 あなたのことを理解してくれる人は、その人ではないかもしれないのです。
その人の立場に立ってみたときに、きっと今のあなたの気持ちを理解するのは難しいだろう、と分かりませんか?

だから、そこは“一旦引いてあげる”ことも大切なんです。これが器量であり、成熟さだと思います。

そこで信頼してみるんです。いつか、この人も理解してくれる日が来るだろう、と。
「今」を求めてしまうと辛いけれど、「可能性」を信じてみるとその罪悪感は和らぎます。

先ほどの社長さん、元同僚との飲み会では惨めな経験をしましたが、社長さんたちが集まるパーティでその話をしたら、周りの仲間たちが「わかる、わかる!俺もそうだった!」と次々に共感の輪が広がり、ものすごい安堵感を感じたそうです。
さらに、パーティの参加者の発言はとても前向きかつ明るいもので、元同僚たちのような愚痴や僻みはありません。心底、私の居場所はこっちなんだな、と確信し、安心したそうです。

客観的に自分を認知し、そのように振る舞う、これは大人として、本当に成熟性が求められる分野だと思います。

それを受け入れる覚悟をしたときに、よりあなたは成熟し、大人になり、広い器を得ることができます。
あなたを理解してくれる人は必ずいます。
それを信頼して、「受け止める」ことをぜひ実践してみてください。

そんなみなさんのために簡単なエクササイズを用意しました。

(1)あなたが“持っているもの”(人から嫉妬や羨望されるもの)に対して、「感謝」の気持ちを声に出して言ってみましょう。できれば、ゆっくりと10回繰り返し声に出してみてください

例)「この資格を持っていることに感謝の思いを送ります。ありがとう。」「私のこの学歴に感謝します。ありがとう。」

(2)嫉妬や羨望を向けられたとき、嫌味な態度を取られたとき、その場でなくてもいいので、その方に向かって頭を下げ「お陰様で、よくして頂いています」と言ってみましょう。(本人に言う必要はありません。)屈辱的な気持ちが出てくるかもしれませんが、その感情を味わうことで、あなたは確実に一つ強くなることができます。

>>『人の評価の中で生きる方法(3)〜自覚を持って引き受けることは美しい〜』につづく

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