色があなたに伝えてくれること

今日あなたが選んだ服の色は、何色ですか?

バッグの色は? 靴は? アクセサリーは?

もしかしたらそこに、あなたが気づいていない、あなたの思いが隠れているかもしれません。

今、私が気になるのは深い緑の色。
その色から、私の心の声に気づいたことをお話しします。

私はこの春、ある転機を迎えました。
人事異動…それは私の日常ががらりと変わるできごとでした。

毎日が新しいことばかりで、覚えることの多さに必死でしたし、新しい部署の上司や同僚とうまくコミュニケーションを取ることにも、私は一生懸命でした。

そんな慌ただしい日々の中で、色との出会いが私の心をやさしくほどいてくれたのです。

●黒い服が教えてくれた隠れたい自分

実は私、色が大好きなんです。
カラーコーディネーターの資格も持っていますし、色彩心理にとても関心があります。

色の持つイメージ効果、例えば「赤」は暖かく、「青」は涼しく感じるように、色が私たちの心理に与える影響については知識がありました。

知識として知っていても、自分の心と色がこんなにも深くつながっているとは、心理学を学ぶまでは感じたことはありませんでした。

思い出したのは、心理学を学び始めたころの自分。

あのころの私は、黒い服ばかり着ていました。
クローゼットの中も、黒、黒、黒ばかり。
まるで黒い色に吸い寄せられるように、知らず知らずのうちに手に取っていたんです。

当時の私は自信がなくて、いつも周りの人の顔色ばかり気にしていました。
「どう思われるんだろう」「嫌われたくない」そんな不安がいつも心の中にありました。
人前で自分の思いを話すことが、とても怖かったんです。

今ならわかります。黒を無意識で選んでいたことを。
あの重い黒い色は、まるで暗い洞窟の奥に隠れるかのように、自信のない自分を隠したいという、私の心の叫びでした。

色は、心の声を映し出していたんです。

●深い緑のバッグと、私の疲れた心

そして今の私。
異動後の忙しさの中、ふとあることに気がつきました。

いくつかあるバッグの中から、なぜかいつも同じ深い緑色のバッグばかり私は選んでいたんです。

もうひとつ、不思議に思ったこともありました。
黄色いハンカチがとても気になり手に取って、買っていたんです。
今まであまり興味のなかった黄色い色に、なぜか心が惹かれたのです。

「あれ? どうしてだろう?」
そう思った瞬間、胸の奥の方がチクンとしました。

「もしかして私、癒されたいのかもしれない?!」

緑は、自然を思わせてくれる色。山や森、木々の葉を思わせる色です。
安心感ややすらぎをくれて、心を落ちつけてくれる「癒しの色」

新しい環境に早く馴染もうとして、周りに迷惑をかけないように一生懸命走り続けていた私は、自分がどれほど疲れていたのか、気づかないふりをしていたのかもしれません。
どこか無理をしていたのかもしれません。

自分では「まだ大丈夫」と思っていたけれど、無意識に選んでいた深い緑の色のバッグ。

色彩心理学では、無意識の選択にその人の心の内があらわれると言われています。
言葉にならなかった私の思いを、色が代わりに伝えてくれていました。

深い緑の色のバッグが、毎朝私に語りかけてくれていたのは
「よくがんばっているよね、少し立ち止まって、深呼吸してみて」
という、やさしいメッセージだったのかもしれません。

●黄色が灯した心の希望

そして今まで興味のなかった、黄色いひまわり色のハンカチ。
黄色は、明るさや楽しさを象徴し、光に最も近い「希望の色」です。

私がこのハンカチに惹かれたのはきっと、新しい部署でコミュニケーションをうまく取りたい、いい関係を作りたいという気持ちや、早く仕事に慣れて力になりたいという、前向きな意欲の表れだったのではないかと思うんです。

不安なこともあるけど、この部署で心を開いてもっと自分らしくいたい。
そんな願いが、黄色い色にこめられていたのかもしれません。

少しずつ光の方へ出て行こうとしている私、そのサインがこの黄色い色だったのかもしれないと気づいたんです。

●色は心の声を映し出す鏡

私たちは時に、自分の本音に蓋をしてしまうことがあります。
忙しさに流されて、気づかないふりをして。

色は、そんな私たちの代わりに、心の声をそっと教えてくれていることがあります。
私たちは無意識のうちに、そのときの自分に一番必要な色を選んでいるのかもしれません。

何気なく選んだ服の色、バッグ、小物…それらは、私たちの心と静かにつながっています。

「今、あなたは何を感じているの?」
「何が欲しい?」
「何に疲れてるの?」

色に意識を向けてみることで、自分自身と会話をしてみませんか。

私にとって、色を意識することは、自分の心の声に耳を傾ける大切な時間になりました。

今日あなたが手に取った服の色は、何色でしたか?
バッグや靴、小物はどんな色でしたか?

今日のあなたの色は、あなたに何を伝えてくれていますか?

私の経験が、あなたの心にそっと届きますように。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

「私にはなんの魅力も価値もない」と自己嫌悪し、自分を隠してきた生きづらさを乗り越えたことから、お客さまの中に隠れている魅力や才能を引き出し、本来の自分らしさを取り戻すことを大切にしている。 やわらかな雰囲気を持ち、どんなことでもやさしく受けとめてもらえた、前向きになれる、と好評である。